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いまひとたびのWebアンソロ

ジャンルのために何かしたい、好きなCPや好きなキャラのために何かしたい、何か、みんなが喜ぶ素敵なことを。

そう思っている方はいませんか?同人アンソロジー(紙媒体での同人アンソロジー。以降「アンソロ」)を作りましょう。アンソロはいいぞ。アンソロを作ってください。時間とお金とやる気と熱意があれば、あなたの推ししかいないアンソロが作れます。

素晴らしいアンソロの作り方noteがありますので、是非こちらを参照しながらあなたの愛を形にしてください。

さまざまな理由で紙媒体でのアンソロを作るのは難しい…でも何かしたい、そんな方はいらっしゃいませんか。Webアンソロジー(Web媒体での同人アンソロジー。以降「Webアンソロ」)があります。Webアンソロジーを作りましょう。Webアンソロはいいぞ。「懐かしい…」とか言ってる場合じゃない。Webアンソロを作れ。

ちなみに私は2回Webアンソロの主催・1回アンソロの主催をさせていただいています。そしてうち1回は現在公開中です。この企画の公開が終わって暫く経ってからこのnoteを書こうと思っていたのですが、このような状況下なので需要があるのでは?と思い、書き留めることにしました。さまざまなやり方があるかと思いますが、一つの例として参考にしていただければ幸いです。

0. Webアンソロはいいぞ

Webアンソロのいいところは一つです。

「同人原稿経験がなくても寄稿できる。」

Web掲載のため同人誌ほどガチガチな仕様である必要がないので、初めて原稿をする人でも参加できる気軽さがあります。また、やりようによってはお祭り感も出るのではないかと思います。

また、Webなのでカラーページが何枚あっても大丈夫ですし、小説原稿の文字数無制限も可能なところもいいところです。

1. Webアンソロ主催に向いている人

「Webアンソロは楽」と思わない人です。

最初から脅してすみません。勿論、やり方によっては労力は少なく、素敵な企画ができると思います。

ですが、最初から「楽だから…」という心持だとせっかくの企画が頓挫しかねません。纏めるだけでも意外と時間や労力がかかるので、特に大がかりな企画の場合は「最後までやり遂げるぞ」という強い気持ちがいると思います。

逆を言えば、気持ちと時間さえあれば今まで同人誌などを出したことがない人でも、Webアンソロの主催になれると思います。(何もかも初めての方は共催などを立てるなど複数人で行うことを強くおすすめします。)

2. テーマを決める

どのようなテーマで募集するかを決めます。ジャンル、CPや関係性、お題…様々なテーマがあります。自分の欲望に忠実になりましょう。ただし、成人向けテーマの場合は未成年が触れられないように公開方法も同時に検討しましょう。

3. 公開方法を決める

アンソロと異なり、WebアンソロはWebであるが故に、Twitter上のみで行うものから特設Webサイトを制作するような大掛かりなものまでさまざまな公開方法があります。自分の企画の趣旨や、企画に使える時間や労力などをみながら決めましょう。

① Twitterだけで募集・公開する

公募型・忙しい人や気軽に参加してほしい方におすすめ

Twitterで告知・Twitter上のハッシュタグなどで作品の募集・公開をする方法です。Pixiv百科事典ではWebアンソロは「複数の作家の作品をwebサイト上でまとめて公開するもの。」となっており、ハッシュタグでの募集だけでは定義から外れるかもしれません…。togetterなどのWebサービスを利用してまとめるなども良いでしょう。ただし、利用に問題ないか事前に規約を確認しましょう。

②Pixivなどのイラスト投稿サイトで公開する

依頼or公募型

Twitterなどで告知し、Pixivなどのイラスト投稿サイトで主催がまとめて公開する方法です。投稿サイトでの扱いには注意や配慮が必要です。(Pixivなどのアカウントをどうするか、どのように作者を紹介するか、公開期間後はどのように扱うかなど)

③特設サイトで募集・公開する

依頼or公募型・本格的にやりたい方におすすめ

一般的なWebアンソロの形です。主催が特設サイトを作り、募集・公開などを行います。Webサイト作成の基礎的な知識が必要です。手間はかかりますが、その分「Webアンソロ」感が出ます。

私は③の方法でしか行ったことがないため、①②に関して詳しいことはわかりませんが、今まで見かけたWebアンソロ企画には①②のような形もありました。他にも良い形があるかもしれません。是非調べて自分に合ったものを選んでください。

4. 募集方法を決める

公開の方法を決めたら、募集方法を決めます。

①依頼型

好きな作家さんに制作いただける可能性がある、投稿される数が決まっているため事務作業の目安がつきやすいです。半面、「身内感」が出る可能性はあります。

②公募型

沢山の人に参加いただける可能性があります。ただし、実際にどのくらいの方に参加いただけるかはわからないため、沢山の方に参加していただいて盛り上がりたい!という場合は広報の重要性が高まります。

公募型の中でも、応募枠を設けて事前申請を受け付けたのち寄稿するもの、申請は不要で全て受け入れるものがあります。前者は事務作業の目安がつきやすいため、初めて企画される方におすすめです。

③ミックス型

公募型の中には事前に裏からお声がけして確保したり、企画内企画などのために個別で依頼する場合もあります。

5. 企画書・募集要項を作る

公開方法が決まったら企画書を作ります。企画書はとても大事。特設サイトでの募集、複数人の主催の場合は、企画用メールアドレスが必要になりますので、まず企画用のGoogleアカウントを作り、Google Documentなどを利用して作るのがオススメです。

※以降、「特設サイトでの公開」を前提にお話しします※

①募集テーマ、Webアンソロタイトル

最初に決めた募集テーマとWebアンソロタイトル(仮題でも)を記入します。タイトルを入れると頑張るぞという気持ちになります!

②公開までのスケジュール

②-1 告知日・公開日・公開期間を決める

Webアンソロの告知を、やるぞ!と決めた勢いで告知する方もいますが、依頼型の場合は特に避けた方が良いでしょう。(前後のはっちゃけた言動などが不安感を与える場合が…。)

また、公開期間は特に重要なのですが、Webアンソロ(特に特設サイト)は主催のあなたがいつか亡くなった後も、インターネット上に永遠に取り残される可能性があります。つまり、寄稿作品が主催や寄稿者の意図しないところで誰かに見られ、何かされてしまう…可能性があります。作品を守るためにも必ず公開期間を決め、Webアンソロのすべてが終了した後はサイトや告知Twitterなどを削除するなどしましょう。

②-2 締切を決める

締切後、自分が十分に準備ができる期間を考えて設定します。締切後の作業としては、原稿チェック、修正依頼・修正・再入稿、Webサイトへの掲載作業、サンプル作成・公開作業、公開準備があります。

悲しいことですが絶対に絶対に絶対に締切を過ぎてしまう人がいます……修正依頼も何件かはあると考えた方がよいでしょう。そして、サイト掲載は思っているよりもずっと時間がかかります、十分すぎるほど余裕を持ちましょう。公募の場合は同時に公募期間も決めます。

②-3 その他日程を決める

(今は無理そうですが…)イベントなどで告知フライヤーを配布する場合はフライヤー配布日とフライヤー原稿の締切日、サンプル公開日などを決めます。メインイラストや企画内企画のイラストなどをお願いする場合は、別途締切を設定します。

③募集要項・入稿形式

募集要項

1) 募集作品形態を決める:イラスト・漫画・小説…など

2) テーマをもとに募集作品内容を決める

未発表の新作?女体化やパロディネタ(現パロ・年齢操作など…)はOK?R指定の有無は?グロは?エンディングのネタバレは?ジャンル内別作品などとのクロスオーバーは?他CPは作品内に入っていても良い?モブは出して良い?など、企画趣旨に沿って内容を決めます。

複数のエンディングのあるゲーム作品などの場合は、「●●ルート」などという指定が必要になる可能性もあるかと思います。

3) その他の注意書きを決める

サンプル作成のためのトリミング・Twitterなどへの掲載の旨、企画終了後の再録の可否(公開可能日を明記)、制作状況をSNSなどに投稿してよいかなどの注意書きを決めます。

また、コメントカットなどが必要な場合はこちらも必要事項として記載します。

入稿形式

作品形態ごとの入稿形式を決めていきます。

1)仕様

カラー/グレスケ/モノクロ、大きさ(pixel)、解像度、ページ数、RGBモード(WebなのでCMYKは向かないですね)、拡張子(jpg/png/psd/doc/pdfなど)などを決めていきます。

大きさは、サイト上への掲載なのであまり大きくなくても大丈夫です。私の場合は各辺が600pixel以上であれば十分でした。塗り足しなどももちろん不要です。ただし、漫画などでトーンを使用される方は掲載時にモアレが発生することがあったため、その場合は許可を得た上でPhotoshopでモアレが出ないよう加工するなどしていました。

2)入稿方法

仕様と一緒に入稿方法も記載しておくと良いでしょう。主催メールアドレスへの添付、メールフォームの利用などで入稿していただきます。ファイル名の指定(name_001.png, name_002.pngなど)、zipファイルなどへのデータ圧縮の有無、ギガファイル便などのファイル転送サービスの利用をするかについても記載します。

6. 依頼

メインイラスト、依頼型の場合は依頼原稿、Webアンソロのロゴなどのお願いしたい項目をリストアップし依頼していきます。こちらもGoogle Spreadsheetなどを利用して管理すると便利です。

お願いしたい人が決まったら、まず企画メールアドレスから依頼メールを出し、先方のご都合などに問題ない場合、お願いしたい原稿の詳細をお送りする流れです。

① 依頼メール

挨拶・企画概要と依頼したい旨とともに、「なぜあなたにお願いしたいのか」を熱く伝えます。依頼メールはラブレターです。語彙力があろうがなかろうが伝えたい気持ちをしっかり伝えましょう。また、メールの文末には返信の締切日を記載しておくと良いでしょう。

依頼メールには謝礼の有無についても記載します。Webアンソロは支出はあっても収入はゼロ、頒布物もほとんどないなので、謝礼は負担にならない無理ない範囲が良いと思います…。謝礼ありの場合、gifteeなどの住所や振込先をお伺いしなくても良いサービスを利用するのも良いかもしれません。(ちなみに女性向けですとアンソロでも頒布物+α程度が謝礼の場合が多いように思います)

残念ながら先方が難しい場合も、検討いただいたお礼をお伝えします。

② 詳細メール

依頼を快諾いただいたら、お礼とともに詳細な依頼内容を返信します。また、その際に掲載可能なペンネーム、今後ご連絡可能なメールアドレス(必要によっては①でお願いしてもよいかもしれません)、ご紹介可能なTwitterやPixivアカウントなどをお伺いしておくと、後で慌ててうかがうようなことがないかと思います。

7. サイト制作

Webアンソロのメインとなるサイトを制作していきます。ついでに告知Twitterアカウントなど必要なものも取得しておきます。

使いやすく見やすければ、基本どのようなものを使っても良いと思うのですが、検索避けができるものにしましょう。スマートフォン用のレイアウトも可能なものだと親切でしょう。私はhtmlの知識が10年前の個人サイト制作で止まっているのでWIXという無料HP作成サイトを利用しました。ちょっと広告がアレ…ですが、無料で直感的に使えますし検索避けもOK、共同編集者設定もOK、アップロードできる画像の容量も大きいので便利です。

Webサイトをこれまで作ったことがなかったり、htmlをもう忘れた…という方は、企画書の段階でどのようにWebサイトを作るか必ず検討し、少しいじりはじめておくとよいでしょう。サイト作成に詳しい知人を召喚しても良いかもしれませんが、Webサイト上での作業が多くなるため自分でも最低限できた方がいいです。

ちなみに、Webアンソロのテーマカラーや使用フォントを事前に決めておくと、綺麗なサイトができると思います。

8. 告知

水面下の準備が終わったら、やっと告知をします。慣れている人ならサイトは後日公開!とかでもいいような気もしますが、初めて企画をしているならばサイトは半分くらいは作っておいた方が安心かも知れません。

公募型の場合は告知後、公募期間に公募を開始します。

えー!Webアンソロ?!楽しみー!という声が最高です…これだけでもう企画してよかった…。

9. フライヤー

この状況下だとなかなか使いづらいですが、同人誌即売会などでフライヤー配布も楽しいです。ただし、前も言いましたが収入はもちろんゼロなので必要な方、やりたい方だけ配布すればよいと思います。

即売会ではフライヤーの配布方法が決まっている場合もあるため注意してください。また、フライヤー配布協力申請フォームをサイトに作っておくと協力依頼の際に便利でしょう。

10. 締切後

原稿が到着したら、内容が依頼内容や要項に沿っているか確認します。必要な場合は修正・再入稿など対応を依頼します。また、ご寄稿いただいたお礼や感想も忘れずに伝えると良いと思います。

お預かりした原稿は作者名などとともにWebサイトへ掲載していきます。ページは非公開にしておくのを忘れずに。サンプル公開する場合は、サンプルも作成します。

11. 公開

全ての準備が整ったら、Webアンソロを公開します。これまで頑張ってとてもえらいのでハーゲンダッツとケーキを食べます。寄稿者やご協力いただいた方に公開のご報告メールをすると親切だと思います。

12. 公開期間終了後

謝礼などの対応もすべて完了後、Webサイトや告知Twitterアカウントなどを削除します。たまに終わったWebアンソロのbotを使った告知ツイートを見かけますが…寂しいですし、寄稿作品が置き去りにされているのもいかがなものかと思いますので、寂しくても削除するなり、非公開にするなりして目に触れないようにしましょう。


過不足ありそうですが、だいたいこんな感じで進めていきます。

アンソロなりWebアンソロなり、主催は天国と地獄です。正直、事務作業が多すぎて「仕事か?」という感じです。家帰ってきて仕事してるの本当に意味が分からないです。修行かな…。

でも、世界で一番最初に最高の作品を見ることができますし、公開した時の喜びは最高です。辛いこともあったけど主催してよかった…と思うと思います。

このような状況下ですし、いまひとたびのWebアンソロで元気になってくれたら嬉しいです。もちろん、同人誌やアンソロももりもり発行していきたいですね!


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