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【音楽ジャンル】ロシア及び旧ソ連構成国の現行Post-Punk/Indie Rockについて#4

【音楽ジャンル】ロシア及び旧ソ連構成国の現行Post-Punk/Indie Rockについて#2
に書いた、気に入っている現行Post-Punkバンドの紹介記事の続きです。
今回は国別にしてみました。

country: Belarus

Зубы:)
BANDCAMP
BelarusのMogilevという都市の独りPost-Punk
レコメン音源に同じくBelarusのMolchat Domaを挙げている。こちらはもっとギター主体でゴシックロック感が強い。
リリースペースが早く、出す度にじわじわとクオリティが上がっていき、ついに出たフルアルバムサイズの音源は何故か8bit系の適当なアートワークなのですが、内容は良いです。
先行してリリースされてた8曲目が特に好きなんですが、この曲も含めて演奏時間が短過ぎる傾向があるのでもう少し長くして欲しい。

Nürnberg
BANDCAMP
ベラルーシの首都ミンスクのリズムマシーンを使用するタイプのPost-Punk二人組。
2017年頃から音源を出し始め、Sierpien Recordsからカセット/CDで出した二本のフルアルバムはその後LPで再発している。
そのアルバムは同じくミンスクのバンドMolchat DomaのギターのRomanがmixingなどレコーディングに協力しています。
音の作りも丁寧でロシア語圏外でも人気も高くなってきて、このジャンルの中堅〜主力といったポジションになった印象。

фарфоровые коты

ラテン文字表記: farforovye koty
BANDCAMP 
NürnbergのVo.のソロ名義
Nürnbergより曲調の幅が広いです。

ЦЕРЕМОНИÁЛ 
Spotify   Instagram  
首都ミンスクのColdwave/Post-Punk二人組。
今のところサブスクのみでこの一曲が聴ける。
曲調はPost Soviet系のPost-Punkど真ん中。NürnbergのVo.にアーティスト写真を撮ってもらっているようです。冷たい感触のギターのアルペジオなど音的にもNürnbergに影響を受けてる印象です。


Проспект Шмидта
Spotify   Bandcamp 
Mogilevの、おそらく二人組。
他のPost Soviet系のPost-PunkバンドよりアグレッシブでNoise Rock寄りの曲も多い。
↓は21年時点での最新音源。


country: Ukraine

Delirium
BANDCAMP
ウクライナ東部のスラヴャンスクという街の、リズムマシーンを使用したPost-Punk/Cold Waveバンド。
Instagramを見ると学生くらいの年齢に見えますが、音の方はPost Soviet系のPost-Punkの第二、第三の世代らしいシリアスな暗く冷たい質感。
ウクライナで活動する所属してレーベルからリリースされたチャリティーコンピに収録された曲は一周回って正統派Gothic Rockの様になっています。
↓はスタジオライブとインタビュー動画。


Zirkular Dion
BANDCAMP
ドイツのDetriti Recordsから二枚のアルバムをカセットでリリース済のEBM系のアーティスト。
DAFやDie Kruppsの2nd辺りの音に近いold school EBM/prot EBM
音圧だけで攻めるタイプではなく、軽快さがあって好きです。


grotta
BANDCAMP
ウクライナの都市ザポリージャのDarkwave系ミュージシャン。
Darkwaveといっても EBMに近くて重心低め、それでいて歌メロがしっかりしている。
中期のDepeche ModeをぐっとGothに寄せた感じと言っていいかな。
2022年5月付のこの一曲が最新のリリース。


The Glass Beads
BANDCAMP  Instagram
ギリシャの大手darkwave系レーベルのFABRIKA Recordsからアルバムをリリースして有名になったDarkwave/Coldwave二人組。
現在のトレンドとは距離のある、ゆったりしたテンポで歌をじっくり聴かすロマンティックなゴシックロックサウンド。


Sexual Purity
BANDCAMP
Darkwave系男女ユニット。元々はBoy Harsherのフォロワー的な音でしたが、最新アルバムではBPMをグッと落としゴシック感を強めて個性と迫力が出てきました。初期のHTRKも連想します。


Рутина
BANDCAMP
首都Kyiv在住の独りPost-Punk/Synthwave
基本的な音はヨーロッパのトレンドに連動したモダンな音ですが、ボーカルにどよんとした重さがあって良いです。
あとこの系統の人に珍しく全身タトゥーだらけで見た目はラッパーぽい。
アルバムのアートワークに使われている写真は中銀カプセルタワービルですよね。


Лунар

ラテン文字表記: Lunar
BANDCAMP   Instagram
Kharkiv在住のShoegazer/emo/Indie Rock band
音もそうですが、歌詞やInstagramでのメッセージも人々への愛溢れ煌めいてています。
よかったら歌詞などDeepLなどで翻訳して読んでみてください。
現在はメンバー全員集まってのレコーディングが難しいのか打ち込みをベースにした曲を上げています。
このバンドも所属しているэлек///чествоのコンピレーションなど聴くとウクライナ国内の特に20代前半の若いIndie Rockをまとめて聴くことが出来ます。

country: Georgia

SKAZZ
Instagram
音源はSpotifyやYouTubeで聴く事が出来ます。
軽快なビート感があるPost-Punk/Indie Rock

↓のIAREはSKAZZのVo./Gt.が参加してる別バンドらしいです。 


TATIL 22 
BANDCAMP
ジョージアはIndie Rock/Post-Punk系のバンドは少ない印象ですがライブはどんな雰囲気でやってるか気になります。
TATIL22はおそらくバンドでは無く一人でやってる名義で情報が少ないのでどういった人かあまり分かっていないのですが、冷たいPost Soviet感のある音でこのMVも良いですね。


country: Kazakhstan

Депо 
今のところ唯一の音源はこちらで買えます。
Post-Punk系二人組の新人。
音はPost Soviet/Russian Doomer直系。
↓このMV好きです。

スタジオでの演奏動画もアップされています。


country: Uzbekistan

Если Можно
ウズベクの首都タシケントのPost Soviet系の独りPost-Punk
音的には日本人が一般的にイメージするイスラム圏のムードは無く、しっかりこの系統の音。
正統派のGothic Rock的なコクがある。
各種サブスクで最新のEPを聴くことが出来る。
それとEPの前に出た初リリース曲はMVも作られていてウズベクのロック好きな若者の姿を垣間見る事が出来ます。


country: Russia

Ploho 
シベリアの中心的都市ノヴォシビルスクのバンド。活動開始時期的にもPost Soviet的なPost-Punkを作ったバンドの一つと言ってもいいでしょう。
ベラルーシのMolchat Domaも影響を受けてて、コラボで曲を作ったり一緒にライブをしたりカバーをしたりしてますね。
13年〜15年に録音された初期の音源のコンピがSierpien Recordsから自前のBCに移植されてます。1991という曲が特に好きです。
↓は2022年に入って発表会されたセルフカバー。
原曲はновостройки(新建築)というタイトルだっけど、東ドイツの公営住宅などに使われる建築プレッテンバウに替えられています。

中心メンバーのVictor UjakovはBitcevsky Parkという名義でエレクトロニックな音を作っています。

Chernikovskaya Hata 
ロシア連邦中央部のufaという工業都市のバンド。
Черниковская Хата とキリル文字で表記される時もある。
最初のリリースは2015年で、今のところ最新の音源は2018年。現在進行形で活動しているかはちょっと分かりません。
フルアルバムサイズの音源は2016年作に1枚作られています。
Post-Punk的な重心の低さはあるものの、80年代末のafter New Waveなロックサウンドといったボーカルラインが映えるメロディアスな作風で、情緒感が日本のロックに非常に近いので是非聴いてみてください。
6曲目の切なくドラマティックな情景が浮かぶ曲が特に好きです。

Форум(Forum) というソ連時代に人気のあったバンドのヒット曲Белая ночь(Belaya Noch)のカバーもしています。
Policeの影響を感じる原曲と聴き比べて見るとバンドの個性がよく分かります。


Интурист
ラテン文字表記: Inturist 
BANDCAMP
モスクワ在住、Vo.Gt.その他色々演奏するEvgeny Gorbunovのソロプロジェクト。マルチメディアアーティストとプロフィールにあります。
No Wave/脱臼Funk系Post-Punkな感触とドライブ感があって、特にこの2ndアルバムは傑作だと思います。


ДК Посторонних 
ラテン文字表記: DK Postoronnih
BANDCAMP
サンクト・ペテルブルグ在住の、リズムマシーンを使用するタイプのPost-Punk/Coldwave二人組。
1stアルバムは2017年にDetriti Recordsにカセットでも発売されていて、これはMolchat Domaの 1stのカセットと同時期のリリースだったはず。
2ndアルバムはSierpien Recordsからカセット/CDが出てるけど、音楽的には1stの方が軽くて硬いリズムマシーンの音が気持ちよくて好きです。ギターのフレーズも80年代のPositive Punkなどをよく研究している感じがします。
↓は2021年3月にリリースされた音源で、原曲はウクライナ民謡ですが、後に英詩がつけられてクリスマス唱歌として世界中で歌われるようになった曲のカバーです。


dolgostroy
BANDCAMPSpotify
セベロドビンスクという白海に面した造船所や原子力潜水艦港のある都市のSynthwave/Coldwave2人組
80's的なメロディアスな曲調が特徴的で特に四曲入りの初音源が一番良いですね。


Fluent Panic
Instagram BANDCAMP soundcloud
独りPost-Punk系の新人。住んでる都市は表記されていない。
まだ単発で数曲リリースしたばかり。
Post Soviet系のフォロワーでもあるけど重心やや低めのかっこいい曲を作っているのでフルアルバム発売まで辿り着いてほしい。


Поцелуй Отца
Spotify   YouTube
ダークでドライブ感のあるタイプのPost-Punkバンド、なのか一人でやってるかも不明。
今のところサブスクのみで聴ける。
一応、ロシアのレーベルICONIC PROMOに所属してるという事になってるのかな。
おそらく他のアーティストの別名義なんだと思う。
↓は一番最初に発表された曲。


Telemost
Spotify
Русский пост-панкから出したアルバムのタイトルは津波の意味。Post Soviet的なRussian Post-Punkの思いっきりど真ん中の音。
7曲目はタイトル通りレーニンの演説が使われているのでしょうか。アートワークは葛飾北斎の冨嶽三十六景,神奈川沖浪裏を素材にしています。
ギター/ベースのリフで作るムードにポジパンぽさを感じる所が好きです。


Июльские Дни

BANDCAMP 
Nizhny Novgorod州のバンド。14年頃からコンスタントに音源を発表している。
重めのドラムの推進力のある楽曲が特徴。
↓は22年4月現在の最新シングルТочкойの世界観があって見応えのあるMV

Tura州のPost-PunkバンドのКультурное Наследиеの音源に参加する形のコラボ曲も良いです。
Культурное Наследие x Июльские Дни - Снегопад 


Театр Яда 
Spotify discogs
エクスペリメンタルなロックバンドというか80年代のDarkwaveとPost Industrialの中間地帯的なムードのある音の人達で、中心人物のVo.の死亡で2012年に活動を停止でしている。Coilとか好きな人にも勧めていいかも。

Глухой Телефон 
Spotify
バンド名は伝言ゲームの意味(たぶん)
男女ボーカルのIndie Rockバンド。
Smithsのカバーもしてて、確かにこのバンドのオリジナル曲もその辺りの雰囲気があります。
配信のみで聴けます。
女性ボーカル曲と、男性ボーカル曲で多少趣が変わってる気がします。


Малисный Абсурд
BANDCAMP
自宅録音系独りIndie Rockの人で作風もbandcampのアーティスト写真もちょっと変。
↓この曲も狙って作ったのか結果的にこうなったのかよくわからない不思議なバランスの曲。


РИТУАЛЬНЫЕ УСЛУГИ
Spotify YouTube
元々ギャル風味があったけど、だんだん貫禄がついてきたロシアのサンクトペテルブルクの女子二人組。
楽器も堪能なようで音源でよく使われるフルートは自前で吹いてる。
モダンな打ち込みのビートにインディロック的なギターとベースが乗るけど、ユニゾンで歌われるボーカルにロシア的な物悲しさがあるのが特徴。
↓はスタジオライブ動画。


Kondratie
BANDCAMP
ロシアのPermという都市の独りDarkwave
Instagramの写真など見るからにかなり若い人。
初リリースは2020年から。そらからかなりハイペースで音源をリリースしている。
2022年5月にリリースしたアルバムには、おそらく同世代のDarkwave、ウクライナのgrotta、オーストリア在住のСкубутが参加している。
さらに別名義があって、minimal synth系のtoska po domu
本体よりもPost Soviet系Post-Punk色のある  црквьがあって結構な曲数を制作してます。


4 Позиции Бруно
BANDCAMP   discogs
20年以上活動している、バンドというか音楽制作グループでPost-Punkや広義のAlternative Musicがルーツにある音楽性だけど、家内制手工業感とDUBの要素が強い。
BCに大量の音源が登録されているけど
↓のこの曲は買えなくてサブスクで聴くしかなさそう。


以下は情報を上手く拾えなくて、詳しい情報がよくわからなかったバンド/ソロミュージシャン

Full Crescent
BANDCAMP
Synthwave/minimal synth/preEBMの系の音の人。
bandcamp上ではロシアとなっていますが曲のタイトルと歌詞はフランス語。


Die Blume
Spotify
独りPost-Punk系の人でアルバムタイトルと曲名はロシア語だけど名前はドイツ語。暗黒ポストロック+音響フォーク+80sノイズの中間地域的な音で、この系統の人達の中では珍しい。リバーブを深くかけた暗くローファイなフォークからノイズトラックまで。
若手の登竜門的なレーベルРусский пост-панкからアルバムを出している。


obida

Spotify  YouTube
キリル文字のタイトルがあるからたぶんロシア語圏のバンドだと思ってるのですがはっきり分かりませんでした。音源もサブスクでしか聴けませんが二枚のアルバムがリリースされています。
Post-Punkの派生と思われる音楽性でローファイだけど陰鬱なポストクラシカルの要素もあって特に一枚目River I on Our Ideが好きです。
基本的にインプロ中心で制作されているようです。VKのюжная грустьというレーベル(?)のアカウトで情報は発信されています。

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