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愛され続けるヴィチャイ会長の魅力と貢献

 現地時間2018年10月27日20時37分。ヴィチャイ会長ら5人を乗せたヘリコプターは離陸して間もなく墜落。5人全員が亡くなるというショッキングな事故があった。この事故から間もなく1年半が経つが今も尚、ファンや選手に愛され続けている。そんな彼の魅力、クラブへの貢献について知り、改めて彼のありがたみを感じたいと思う。ぜひ最後までご覧ください。

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ヴィチャイについて

ヴィチャイ・スリヴァッダナプラバはタイ国籍の実業家。1989年にキングパワーというタイの免税店を設立。以降ビジネスを広げていき巨額の資産を得ており、2010年に当時2部のレスターのスポンサーになり、会長に就任。当時クラブは経営難に陥っていたが、積極的に投資をして経営を立て直し2014年にはプレミアリーグ昇格を果たした。2016年には奇跡の優勝を果たすなど会長に就任してから確実にクラブはレベルアップしていた。しかし、2018年に事故により60歳で亡くなる。レスターの会長、キングパワーのトップは息子のアイヤワットに引き継がれた。

ヴィチャイの魅力

ヴィチャイの魅力はサポーターとの距離の近さ。ホームゲームには毎試合のように訪れ、ファンと一緒に試合を楽しんだ。ゴールが決まった時にはサポーターと一緒に喜び、何度も見たくなるあの笑顔でハイタッチする光景はもうお馴染みだ。彼はクラブをただのビジネスと見るのではなく、クラブを愛し、クラブに尽力してくれる。口は出すけど金は出さない会長や、気難しい性格の会長、クラブを自分のもののように扱う会長などサッカー界には数多くの会長がいる。しかし、ヴィチャイは優しく、選手やファン想いで、クラブのことを第一に考える素晴らしい会長だ。さらにすごいのは、気配りができるだけで、本来の仕事で結果を出さない、いわゆる森◯監督のような人ではないことだ。クラブの経営を立て直し、より強いクラブを築き上げた経営者としての実績も魅力だ。

ヴィチャイの魅力が伝わるエピソード

多くのエピソードがあるが、例えば、当時クラブを率いていたラニエリの誕生日が近い試合前のロッカールームに、ケーキを持ってきて選手たちとハッピーバースデーを歌い祝ったというエピソードがある。また、ヴィチャイ自身の誕生日には、スタジアムに来た観客全員にビールやカップケーキなどを無料で提供したエピソードもある。さらに、優勝したシーズンが終了すると選手たちに高級車をプレゼント。これらのエピソードからヴィチャイの人の良さ、選手やファン想いで距離が近いこと、太っ腹なところなどが伺える。

ヴィチャイがクラブにもたらしたもの

1番大きいのは経営難を救ったこと。スタジアムを失う羽目に合いそうだったクラブを買い取り、経営を立て直した。レスターが今もあるのはヴィチャイのおかげだ。

ヴィチャイは選手たちに抜群の信頼を得ていて、誰もがヴィチャイを慕っている。少し前のレスターは苦労人が多いこともあり、選手たちは「ヴィチャイのおかげで今の自分がいる」という想いから「ヴィチャイのためにプレーする」「ヴィチャイのためにここに残る」というモチベーションに繋がっている。彼の貢献度は数字だけでは計り知れない。実際に、優勝した直後に契約解除金がかなり安かったバーディーに「クラブに必要だ」と訴え、残留を決意させたという話もある。

また、現在はかなりの額を選手獲得に費やしているが、優勝する前は決して多額の移籍金を費やすタイプではなかった。しかし、ノンリーグ時代のバーディーに1m£を費やした。ノンリーグの選手に1m£の移籍金を払うというのは渋ってもおかしくないが、信頼する監督やスタッフなどの声をしっかりと反映させた。他にもマフレズやカンテなど無名の若手に比較的安いとはいえ、スカウトのウォルシュの声を聞き入れ獲得した。結果的に、そんな彼らが奇跡の優勝を成し遂げたのだ。もしヴィチャイがウォルシュの声に「コイツは誰だ」「実績がない」などと言って、優勝を果たしたたった1人でも移籍をためらっていたら、あの奇跡は起こらなかった。そして、カンテやマフレズなど強豪クラブに多額の移籍金で羽ばたいていくこともなかった。

今、強いクラブになったのは、経済的に豊かになり、レスターにいい選手が来てくれる起点になった、奇跡のシーズンがあったからだ。もちろん実際にプレーした選手たち、そんな彼らを率いたラニエリやスタッフ、そしてそんな彼らを見抜いたウォルシュの力も大きい。しかし何度も言うが、ヴィチャイが現場の声に耳を傾け、信じて決断したからあの奇跡が起きた。そして今の強いレスターがあるのはヴィチャイのおかげだ。

ヴィチャイのいないレスター

ヴィチャイがなくなって選手やファン、息子のアイヤワットはショックに包まれた。それでもアイヤワットがヴィチャイの後継者となり再出発した。実際に亡くなってからは結果も出て、不調に陥る前の11試合で5勝3分3敗というまずまずの成績だった。しかし、その後は結果が出なくなった。そこで息子のアイヤワットはピュエルを解任。後任選びも的確で、セルティックに務めていたロジャースを呼び、今季はCLを狙うチームに成長した。今季はすでにレンタルでプレーしたティーレマンスを約40m£で獲得するなど積極的かつ的確な補強をした。

アイヤワットもヴィチャイ同様ファンや選手に愛されていて、スタジアムにも頻繁に訪れている。ヴィチャイが亡くなっても現場とフロントとファンとは一枚岩であることに変わりない。さらに今月のヴィチャイの62歳の誕生日にアイヤワットは慈善プログラムをスタートさせた。今後もレスターファンの中でヴィチャイは生き続けるだろう。

まとめ

ヴィチャイは選手やファンに亡くなった今も尚愛され続けている。それは、ヴィチャイがオーナーになってからクラブのために全てを尽くしたからである。ファンと笑顔で触れ合い、選手を気遣い、経営者としてクラブを立て直し、現場の声を反映させる素晴らしい会長だ。現在はアイヤワットが後継者となりさらに上を目指している。ヴィチャイの名誉笑顔、そして計り知れない貢献は、今後もファンの中で生き続けるだろう。

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