Ben CHILWELL ~器用な現代的SB~
ーーーレスターの下部組織出身で、左SBのレギュラーを張っているチルウェル。ルーキーイヤーでいきなり優勝を経験し、CLにも出場した経験がある。18-19シーズンにフクスからレギュラーを奪い、プレミア屈指の左SBと評価されており、イングランド代表でも最近はレギュラーを務めている。そんな彼のプレースタイルを紹介する。ーーー
基本データ
身長178cm、体重76kgで現在23歳のチルウェル。利き足は左。2016年末にプレミアデビューを果たして以来、3年ちょっとで既に95試合に出場している。今季は23試合に出場して、2得点3アシストをあげている。イングランド代表でも11試合に出場している。
スタッツから見える特徴
スタッツを鵜呑みにすると、比較的空中戦が強い。1試合あたり2.2回勝っていて、これは20試合以上出場している左SBの選手としては3位だ。ちなみにその上は、リュカディーニュ(2.7回)、ダンバーン(4.1回)。ただし、バーンに関しては198cmと大柄な体格で、CBもやる選手なので実質2番目といえる。大体の選手が0.5~1.5の間にいるので、かなり強いといえるだろう。また、ドリブルの回数は比較的多い部類にい入る。他に、目立つものはないが、攻守において全体的にバランスが良く、水準以上のものが多い印象。キーパスの数やクロスの数は、ロバートソンやディーニュなどトップクラスの選手と比べると少ない。
ここからは主観的な特徴!
プレースタイル・長所
チルウェルは、上下のアップダウンを繰り返しながら、状況に合わせて最適なプレーを選択できる。パスやドリブルの基本技術も高く、相手にプレッシャーをかけられても慌てることなく、冷静にプレーできる。クロスに関しては、たまに逆のタッチライン際まで飛ぶクロス(アウェイだとサポーターに煽られるやつです)が発生してしまう。クロススピードはそんなに速くないが、フリーの見方を見つける能力が高く、丁寧なクロスを送るので、タイミングが合えばお膳立てできる。フリーの見方を見つけることができるのは、常にルックアップした状態でボールを持てるからである。ルックアップしているだけでなく、首を振る頻度も高いので、周りの状況を常に把握できているのが彼の良さだ。確かな技術力と、状況を把握する力があるため、プレス耐性が高い。実際の試合でも、チルウェルがプレスを剥がしたところから攻撃がスタートするシーンが多々ある。あまり目立たないが、レスターのポゼッションを支えている。
守備面では単純な対人能力は強くないが、簡単に裏をとられたり、コースを切る向きや角度を間違えたりするシーンは少ない。また、CBの背中を守る守備や、アンカーの脇を抑える守備も出来る。フィジカルに頼った守備ではなく、賢くて堅実な守備をするタイプの選手だ。
弱点・改善点
弱点は先ほども挙げたが、単純な対人能力。1対1の局面で結構簡単にはがされて、クロスを上げられたり、シュートを打たれたりすることが多い。そのため、フィジカルが強くドリブルで挑める選手(アダマトラオレやサラーなど)には弱い。また、クロス対応もそれほど上手くない。先ほどスタッツ上空中戦が強いと紹介した。確かに自分が後ろから飛び込む側の前向きな状態での空中戦は強いかもしれないが、後ろから飛び込まれる側になるクロスへの対応は悪い。ボールウォッチャになったり、前に入られたりすることもある。また、賢い選手ではあるが、歯を食いしばったプレーはあまり多くない。スライディングでブロックしたり、相手のクロスに飛び込んだり、後ろ向きの選手にガツんと当たったりするのはあまり見られない。
ロジャース体制での役割
今までのチルウェルは、繋ぎの器用さよりもひたすら上下のアップダウンを繰り返すところが目立っていた。ピュエル体制時には、スプリント回数がリーグ屈指の回数だった。ただ、ロジャース体制ではビルドアップにも関わり、より出し手になる回数が増えた。右のリカルドぺレイラは持ち前の攻撃力を全面的に生かすため、右の幅をとっているが、左のチルウェルは低い位置でのプレーや中央に寄ったプレーも増えている。左の相方を組むのがバーンズなのでバーンズのドリブルの良さを生かすためにも彼のスタイルの変化は理に適っているだろう。
ごめんなさい。なぜか文字が薄いのでスペース空けてあります
これはキングパワースタジアムで行われたニューカッスル戦のヒートマップ(情報元sofa score)。これを見ても、ぺレイラは右のサイドに偏っているのに対し、チルウェルは横に広いのが分かる。また、左隣にあるそれぞれのパートナーの位置にも違いがある。右のペレスは右のハーフスペースあたりが濃くなっているのに対し、バーンズは左の大外が濃くなっている。これを見ても、右サイドは内ペレス、外ぺレイラというメカニズムに対して、左サイドはバーンズが外ならチルウェルが内、バーンズが内ならチルウェルが外と状況によってメカニズムが違うことが表されている。
少し話がずれてしまったが、チルウェルはロジャース政権になってから、よりビルドアップに加わる場面が多くなり、プレーマップにも現れている通り、左の大外だけでなく、内側でのプレーも増えている。走り回るスタイルから、よりバランスを重視したスタイルに変化した。
まとめ
クラブの下部組織出身のチルウェルは既に100試合近くプレミアリーグに出場している。
スタッツ上は意外にも空中戦が強い。
技術力と状況を把握する力があるため、プレス耐性が高い。
守備では、フィジカルに頼った守備ではなく、堅実で賢い守備をする。
対人能力が弱く、フィジカルやスピードに特徴がある選手には弱い。
クロス対応が苦手。
監督がロジャースになってから、左の大外でのプレーが多かったが、中でのプレーも増えビルドアップにも関わっている。
攻守においてバランス感があり、足元もしっかりした現代的なSB
最後に
既にシュマイケルとジャスティンについて似たような記事を書いたのですが、この記事含めてこれからよりプレースタイルや選手としての特徴に着目していこうと思います。
そして、この企画名(選手1人1人に焦点を当てて紹介していく企画)を
「スポットライト」
としたいと思います。
他の選手についてもどんどんやっていきますのでよろしくお願いします。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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