雲丹に翻弄された話
あ〜仕事したくねぇ〜
休日をダラダラと過ごしながらこれから来る繁忙期を想像していたある日の事、ふと思い付いた事。
"久々に家でお酒を飲みたい"
かつて馬刺しにハマっていた私は月1くらいの頻度で冷凍の馬刺しをLIFEで購入し、細々したツマミと共に好きな柚子のお酒を楽しんでいた。
給付金だって入ったのだ、少しくらい贅沢をしても良いだろう。そう思いながら近くのスーパーへと足を運んだ。
しかし、思わぬ事態が起こる。雲丹が売っていないではないか。これはどうしたものか、遠くに足を伸ばす予定も無かった為雲丹を諦めツマミだけを買って行こうかと悩んでいたその時、ふと目に入る1つの小瓶。
そう、粒ウニである。
イメージです。(買った商品では無いです。)
粒ウニ…?加工食品なのだろうか…。しかし、原材料名を見る限り味付けされた雲丹の様だ。とりあえず雲丹ならなんでもいいやと思っていた手前何も考えずそれを手に取り購入した。値段は740円ほどだった。
雲丹が740円。流石に安くないか…?
と疑問にも思ったが逆に言えばこれが美味ければこれをリピートすればいいのだ。なぁに物は試しと思い帰路に着いた。
宴じゃい!
ヤポポポポポポイ
ハービモラ
そんな言葉が聞こえて来そうなテンションで買ってきた小瓶とボイルのヤリイカ、そしてお酒を取り出していく。遂に雲丹をツマミに酒を飲める。余りお酒を飲まず、1日3食雪印のコーヒー牛乳を飲んでいる私もこの時は興奮気味であった。
さぁ、気になる一口目は…
え?
毒?
あまりにも強い苦味にステータスが髑髏マークになってしまった。おかしい。こんな筈は無い。一旦お酒でリフレッシュを…
☠️
駄目だ、シュワシュワ感で口内の苦味が際立ってしまう。辛いものと炭酸を同時に摂取してるあの感覚と一緒だ。糞、なんと言う事だ。
いやでも開けて上の部分を掬ったからなんか駄目な部分でも溜まってたかなぁと思いつつ、中をほじくり返す様に掬い口へと運ぶ。
頼む、冗談であってくれ…!
夢ならば
どれほど
よかったでしょう
「ウェッ」
そう聞こえて来そうな程のしかめっ面をしながら悶絶していた。これは食物なのか?身体が毒と認識してしまう様な物が食物としてカウントされていいのか?
風評被害にならぬ様釘を刺しておくが、上に載っている商品は今回食べた粒ウニでは無い。あしからず。
思わずツイートをする私。
これに対して、祖父の家が漁師だった友人からリプが来た。
"高いウニ、近いうちに買って食べてみて。
この世の最低のウニを覚えているうちに。"
高いウニ…確かに食べた事無いな…食べてみたいな…。
てか一緒に買ったヤリイカも不味いな…捨てるのも勿体ないし、煮付けてみるか…。美味いな…。この世の魚介は醤油、酒、みりん、砂糖で煮付ければ大体食えるな…。
そんな事を思いながら数日が経過した…。
ある日仕事の合間にご飯を食べようとぶらぶらしていると、とあるパスタチェーンが目に入った。何となくメニューを見ていると気になるものが目に入った。
『うにといくらの醤油ペペロンチーノ』
最近雲丹で失敗した自分にとって、ある程度の品質が保証されている雲丹というのは魅力的に映った。そして、吸い込まれる様に店に入り注文をした。
美味かった。文句無しに美味かった。しかし、上品なお吸い物と冷たい水で少し熱の篭った雲丹を口に放り込みながら思ってしまった。
《お前、それでいいのか?》
高いウニを夢見ながら、こんなパスタに1500円も使って、お前何やってんだよ!
そうじゃねぇだろ、お前が食うべきものはよ…!思い出せあの日を、何も恐れず触れ合ったHeartとHeartは最上級…!
俺は…
俺は…
この期に及んでまた少し渋ってしまった…。でも人生で1番良い雲丹だ。そう失敗はしない筈だ。
これは、美味い雲丹を食べようとして銭を失い続けた男の末路だ。皆はこうならない様に使うべきところで金使おうな。
コロナの影響で色んな特産品安いらしいから、暇な人は食べたい食品をネットで漁ってみてもいいかもしれません。
・追記
届きました。美味しかったです。
-終わり-