![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/150825517/rectangle_large_type_2_b78614728452c1f5d0a56e757b5ffe5a.png?width=1200)
【童話】針なしハリネズミ#1
ハリネズミのウィッピー・ガムは
体中にハリがついているのに
ついていないのと同じでした。
「どうしてぼくのハリは
かたくならないんだろう?」
ガムはいつも不思議でした。
他のハリネズミたちは
みんなハリをピンッと伸ばして、
ツンツンのハリにすることができます。
ガムはどんなにがんばっても
ハリがフニャフニャのまんまです。
「これじゃあガムはいつまでたっても、
一人前になれないな」
学校の先生は言いました。
小さかったころは、
みんなハリをかたくすることが
できません。
みんな練習をしてちょっとずつ
かたくなっていったのです。
最初は皮をむいたバナナをさす練習。
次に皮のついたバナナをさす練習。
それができたらミカンをさして、
最後にリンゴをさせるようになれば、
もうりっぱなハリネズミの仲間入り。
ガムは決して練習を
サボっていたわけでは
ありませんでした。
それどころかだれよりも
一生けんめいにハリを
かたくしようとしていました。
にもかかわらず、
友達のマフルクが皮のついた
バナナを刺せるようになった時も、
ガムは皮のついていない
バナナで練習。
ガキ大将のクレイバーが
ミカンを刺せるようになっても、
ガムはまだ皮のついていない
バナナで練習。
クラスのアイドルのミルレインが
リンゴを刺せるようになっても
ガムはまだまだ
皮のついていないバナナで練習。
いつになっても、
ガムのハリが
かたくなりはしませんでした。
先生もあきれてしまって、
しまいにはガムのハリは
かたくすることができないのだと
あきらめてしまいました。
'
(つづく)