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『吉田さん』

noteの存在を知ったのは、旧Twitterで『吉田さん』がたまに記事を書いていたのがきっかけだった。


たまに目にするつぶやきには、
「自分は社会の中で上手く生きれない」
と言った内容のことがよくつぶやかれていた。

自分を蔑む言葉の中に、私もどこか安心感を感じていた。なんとなく彼が悩んだり、感じたりしているものが自分と似ているような気がした。

この頃、仕事でうまく行かないことばかりで余計に目に止まったのかもしれない。

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次第に『吉田さん』がどんな人でどんな人生を歩んできたのか気になるようになった。もしかしたら、私のように何でもない人間なのではないか、と。


だけど彼には才能があった。



とても綺麗で繊細な絵を描く才能があった。 
どこか闇を感じる色彩と細部まで描かれた絵は彼の繊細や性格を表しているように感じた。


ーー私にはこんな絵を描く才能は無い。
彼は似ているようで全く別次元の人なんだ。

そう心の中でもう1人の自分が私を蔑む。



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ある日、彼が自分の人生をnoteに書いていた。

病気のこと、学生時代のこと、小さい時のこと。
細々と心の内側が書かれたnoteには、彼の人生がどのようにして現在に至ったのかが書いてあった。

彼は相変わらず、自分を卑下し軽蔑していた。
その反面、自分と向き合い始めていた。
そんな彼が羨ましかった。



深夜、久しぶりに彼のアカウントを探しても
もうアカウントは消えていた。


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