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【宮古島】アップダウンしかない島で大学駅伝
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2月9日(日)に宮古島大学駅伝ワイドーズミ2025が開催された。ボクは大会の様子をネット中継で観ながらとても感慨深いものを感じていた。
まず宮古島のことから説明しよう。那覇から南西に300キロほどの太平洋上に浮かぶ周囲130キロほどのサンゴ礁でできた島である。ボクはこの島の旧城辺町(現在は宮古島市城辺)で生まれ育ち高校卒業と同時に島を離れた。
宮古島には有人離島が4つあり、そのうちの3つの島(池間島、伊良部島、来間島)にはそれぞれ橋がかかっている。地図上で見るととても小さな宮古島であるが、その3つの橋からそれぞれの(さらに小さな)島に渡れることを考えると道路の延長距離としては意外と長い。
「宮古島のマラソンって何周するの?」
というようなことを何度も聞かれたことがある。「宮古島をバカにするなよ」と内心思いつつも、「意外と大きい島だから1周もしないんだよ」と心穏やかに(なったつもりで)答えるようにしている。
その宮古島で大学駅伝が開催されているのである。しかも今年が3回目。
ちなみに大会名にある「ワイドーズミ」を訳すと「ワイドー」は「頑張れ」で「ズミ」は「素晴らしい、最高」という意味である。「ワイドーズミ」なので「頑張ることは素晴らしい」というような意味になる。
参加した大学はそうそうたる顔ぶれだったし、ワイドーズミそのものであった。
2連覇した「国学院大学」から成績の順に「順天堂大」「青山学院大」「専修大」「神奈川大」「中央大」「帝京大」「東海大」「東京国際大」「芝浦工業大」「城西大」の11大学が出場。なんと「芝浦工業大」以外は箱根駅伝にも出場するような大学ばかり。しかも来年のシード権を獲得した大学が7大学もある。
そのほかに参加大学の補欠選手や早稲田大、立教大、大東文化大の3大学の選手で構成する大学連合が2チーム参加した。
最終の6区18.6キロの区間のみ北山高校と那覇西高校の高校生が4名で、さらに宮古島の中高生が5名でタスキを繋ぎ大学生と競うという特別企画もあった。
故郷の宮古島で大学駅伝のトップを争うチームがこうやって集い熱いレースを繰り広げるという光景をみていると、熱いものが込み上げてくる。
なぜ宮古島なのかというときに、それぞれの大学の考えもあると思うが、実はアップダウンが多いというのが魅力として上げられる。最高地点の標高が100mちょっとの島でアップダウンが多いというのを不思議に思うかもしれない。
ボクの妻は沖縄本島生まれだが、何度もボクの実家に行っているのにこの駅伝中継を観ながらこんなことを言いやがった。
「宮古島は平坦だから選手も走りやすいよね」
「はぁ?」である。
「どこに平坦な道があるのか」というくらい宮古島はアップダウンだらけの島。
選手も言っていたが「車で下見をするのと実際に走ったのとではアップダウンのきつさが違った」、これこそが島の道路の特徴である。
「アップダウンが連続して足が動かなかったです」「アップダウンがきつくて・・・」「アップダウンが・・・」
何人の選手がインタビューでそう言っていたことか。
写真は飛行機から見た宮古島の風景。一見、どこに坂があるのという感じですが、やはり「走ってみなければ分からない」に尽きる。
そのアップダウンが心肺機能の強化にもつながり、練習にいいというので実業団選手が合宿で走ったりしている。
冬場の観光客の少ない島では、この大学駅伝での来島を新たな誘客の一つとして力を入れている。Win-Winのいい循環につながってほしいもの。
優勝した国学院大学の前田監督の言葉に「出雲、全日本、箱根と合わせて四大駅伝だと思っていますから」というのがあった。
それは言い過ぎだとしても、宮古島出身としてはふとぅふとぅ(ぶるぶる)しながら「そうなるといいよなぁ」と興奮しつつ、来年は応援しに行こうかとまじでそう思っている。
ぱいぬすまからぬぱなす(南の島からのお話)
「ぱい」は「南」、「すま」は「島」、「ぱなす」は「お話」の意味。