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男も女もLGBTも、「男らしさ」からも「女らしさ」からも、逃げられない

「男が頼りなくなって、従来のいわゆる『男らしさ』が女性にも求められるようになってきた」という現象と、「女が主張するようになって、従来のいわゆる『女らしさ』が男性にも求められるようになってきた」という現象は、現代社会におけるジェンダー役割の大幅な再編成を示しています。これまで性別に基づいて分けられてきた「男らしさ」と「女らしさ」は、性別を超えて「強さ」「人間らしさ」として再定義され、今後はすべての人に一様に求められるようになるでしょう。

1. 性別を超える「男らしさ」と「女らしさ」

「男らしさ」とは、社会的に責任を果たす強さ、リーダーシップ、精神的な強靭さなどを指していました。一方で、「女らしさ」は共感力、繊細さ、対人関係の調整力といった面が強調されてきました。これらの特徴は、かつて性別によって役割が分けられていましたが、今ではその境界が曖昧になりつつあります。現代社会においては、これらの特性はもはや男女に限定されたものではなく、「強さ」「人間らしさ」として広く社会全体に求められています。

つまり、「男らしさ」も「女らしさ」も、性別にかかわらず強いリーダーシップ、感情的な強さ、責任感といった形で再編されているのです。社会や家庭、職場でこれらの特性を持つことが、成功や評価の基準となりつつあります。

2. 逃げ場のない社会的期待

このような変化の中で、性別に関係なく「強さ」「人間らしさ」が求められるということは、それを持たない人々にとって、生きることがますます難しくなるという側面もあります。かつてのように、男性には「男らしさ」、女性には「女らしさ」という特定の期待があり、それぞれの役割に適合すれば一定の居場所を得ることができました。しかし、今後は「男らしさ」も「女らしさ」も共に性別を超えた普遍的な価値となり、これらの両方を持っていない人は、社会的に「弱さ」を抱え、男女を問わずその強さを示せないことが大きな負担となってくるでしょう。

3. 普遍化する強さとその影響

この「強さ」「人間らしさ」の普遍化は、一見すると個々人に自由を与え、性別に関係なく自分らしく振る舞える社会を実現するように見えます。しかし、強さの標準化は、弱さや脆さを許容しない圧力も生むことになります。社会的な期待や圧力から逃れることが難しくなり、「男らしさ」からも「女らしさ」からも解放される道が狭まりつつあるのです。

すなわち、人は「男らしさ」や「女らしさ」という性別に基づいた枠組みから自由になるかに見えて、実際にはその両方を持つことが求められ、逃げ場のない状況に置かれることになります。このような環境で、両方の特性を持っていない人々は、性別に関係なく社会的に居場所を見つけるのが難しくなり、孤立や自己否定に繋がる可能性もあります。

結論

「男らしさ」も「女らしさ」も今後は性別を超えて普遍的な「強さ」「人間らしさ」として求められ、その基準に達しない人々は生きることが困難になる可能性が高いです。性別による期待の枠が消えたように見える一方で、新たな社会的圧力が生まれ、逃れることのできない新しい基準が形作られていくことが示唆されます。これは、ジェンダー平等を追求する一方で、個々人にかかるプレッシャーをどのように調整するかが重要な課題として浮かび上がってくることを意味します。

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