転職時に注意すべき大手法律事務所と中小法律事務所の違いとは?
パラリーガルや法律事務所の事務員の方が転職を目指す際、大きく分けて大手法律事務所と中小法律事務所の2つが選択肢として視野に入ってくるでしょう。
ざっくりとした区分けなので一概にはいえませんが、大手法律事務所と中小法律事務所の間には、働き方についての異なる傾向が存在します。
この記事では、パラリーガルや法律事務所の事務員の方が転職を考える際に知っておくべき、大手法律事務所と中小法律事務所の違いについて解説します。
1.【パラリーガル向け】大手法律事務所・中小法律事務所で求められることの違い
パラリーガルは、大手法律事務所と中小法律事務所では、業務の内容や求められる知識に以下のような違いがあります。
1-1. 大手法律事務所では高い専門性が求められる
大手法律事務所では、最先端の企業法務を取り扱っている関係で、分野ごとに完全な分業制が敷かれています。
たとえば、一般企業法務・金融法務・訴訟・事業再生・・・などといった具合に業務分野ごとに担当者がはっきり分かれているのです。
この点は、弁護士だけでなくパラリーガルも共通であり、多くの場合はどれか一つの分野の専門家となるべくして配属されることになります。
そのため、大手法律事務所のパラリーガルには、担当している業務についての高い専門性が要求される傾向にあるといえるでしょう。
1-2. 中小法律事務所では幅広い法律知識を求められる
一方、中小法律事務所では、パラリーガルには幅広い法律事務を取り扱うことが期待されていることが多いです。
もちろん、中小法律事務所の中には、債権回収や相続などの事務に特化した部門を抱えている事務所もありますので、そのような事務所に就職した場合には、大手法律事務所のような専門特化が要求されることもあります。
しかし、一般的に中小法律事務所がパラリーガルを採用するケースでは、事務所が取り扱っているあらゆる法律業務に関して、弁護士をサポートしてもらうことを目的としている場合が多いようです。
そのため、中小法律事務所のパラリーガルには、一般民事から企業法務まで、事務所が抱える案件を広くサポートできるような幅広い専門的知識が求められます。
なお、どのような案件があるかについては、個々の法律事務所によってかなり幅があるので、就職活動の際に詳しく聞いておくと良いでしょう。
2. 【事務員向け】大手法律事務所と中小法律事務所では業務範囲が異なる
事務員については、大手法律事務所と中小法律事務所では、以下のとおり、任せられる業務範囲が異なる傾向にあります。
2-1. 大手法律事務所では個々の弁護士を担当する|その他個別の部署あり
大手法律事務所では、事務員についても「分業」が徹底されている側面があります。
現状、大手法律事務所の事務員の大多数を占めるのが「弁護士の秘書」です。
大手法律事務所で秘書業務に従事する事務員は、おおむね2名から3名程度の弁護士を個別に担当することになっています。
そのため、事務所全体が抱えている案件に注意を払うというよりは、担当している弁護士が抱えている案件についてサポートするという形になりやすいです。
弁護士はそれぞれの専門分野に特化しているので、取り扱う分野は弁護士によってさまざまです。
また、どのような仕事を任されるかについても、担当弁護士によってかなり幅があるため、実際に配属されてみなければ見えづらい部分も多いでしょう。
なお、大手法律事務所の事務員は、弁護士の秘書以外にも、広報・図書・情報・カフェなど、個別の事務を取り扱うために設置された部署に配属されるケースもあります。
どの部署に配属されるかについては、事務員の希望が反映されることも多いため、就職活動時に申し出てみるのが良いでしょう。
2-2. 中小法律事務所では事務所全体の雑務を一手に請け負うことが多い
中小法律事務所において事務員に求められる役割については、事務所の規模によってさまざまです。
特に弁護士が数十名~100名程度所属している中規模の法律事務所では、大手法律事務所と同様、事務員が個々の弁護士を担当するシステムが取られていることが多いでしょう。
これに対して、弁護士が1名~数名程度の小規模法律事務所では、一般的に言って、事務員を何人も雇う体力はありません。
そのため、少ない数の事務員で、事務所全体が抱える雑務を一手に担うことが要求される場合が多いです。
既に小規模な法律事務所での事務員経験があれば、それほど違和感なく業務に入っていけると思いますが、大手法律事務所から小規模な法律事務所に転職するようなケースでは、戸惑うこともあるかもしれません。
ただし、小規模な法律事務所では人間関係が密接なので、周囲に対してフランクにアドバイスを求めやすいという特徴もあります。
そのため、業務に関して分からないことがあれば、周りの先輩事務員や弁護士にまめに質問をして、解決していけば良いでしょう。
3. 【パラ・事務共通】大手法律事務所と中小法律事務所の職場環境の違いは?
パラリーガル・事務員の両方に共通していえることとして、大手法律事務所と中小法律事務所では、大企業と中小企業の違いにも似た職場環境の差があります。
もちろん、個々の事務所によって状況は異なるので一概にはいえませんが、大まかに以下のような傾向があるといえるでしょう。
3-1. 大手法律事務所は交流機会が豊富・休みも取りやすい
配属される部署やチームにもよりますが、大手法律事務所では、所員間の交流が盛んに行われているという特徴があります。
たとえば、一緒に仕事をしているグループの中でも定期的に交流があったり、所員が参加する部活動が複数設置されていたりなど、折に触れて多様な所員と交流する機会があることが、大手法律事務所の特徴といえるでしょう。
また、大手法律事務所では所員の数も多いため、自分がやっている仕事をバックアップしてくれる存在を確保しやすいメリットもあります。
そのため、急な休暇や長期休暇も、比較的柔軟に取りやすいでしょう。
3-2. 中小法律事務所は密な人間関係が特徴・休暇は調整が必要
これに対して、中小法律事務所では、そもそも所員の数が少ないので、事務所全体としての人間関係が密接である特徴があります。
人間関係が密接なことは、良い方向にも悪い方向にも働く可能性があるため、就職活動の際に所員との相性が合うかどうかをよく見ておくべきです。
また、所員の数が少ない中小法律事務所では、自分が休んでしまうと代わりに仕事をやってくれる人がいないという事態にもなりがちです。
パラリーガル同士・事務員同士で引き継ぐことが難しい場合には、弁護士に相談して仕事を引き取ってもらうことになりますので、事前に十分な調整が必要になることが多いbでしょう。
4. まとめ
大手法律事務所も中小法律事務所も、職場としての特徴に違いはありますが、どちらが勝っているということは一概にはいえません。
実際に法律事務所への就職活動をする際には、可能であれば大手法律事務所と中小法律事務所の両方に訪問し、自分にとってどちらが合っているのかをよく見極めましょう。
また、法律事務所のカラーは事務所ごとにかなり異なりますので、大手・中小という区別に捕らわれず、広く色々な事務所を見ておくと、自分にフィットした職場を見つけやすいでしょう。
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