見出し画像

探索的なプロダクト作りの面白さ。ベテランプロダクトマネージャーが挑む新たな課題

Legalscapeは “すべての法情報を見渡す景色を描き出す” というミッションのもと、法律家の情報収集をサポートするリーガルリサーチプラットフォームシステムを開発・提供しているスタートアップです。

本日は、Legalscapeのプロダクトマネージャーである吉田智秀さんにインタビュー。
2003年、DeNAに中途入社し18年在籍。Eコマース、ゲーム、メディアなどのプロダクトマネジメントに携わり、多くのプロダクトを世に送り出してきた吉田さん。そのキャリアと入社理由、Legalscapeというプロダクトの面白みを伺いました。

プロダクトマネージャー歴20年以上の「ものづくり人生」

どんなキャリアを歩んできたのですか?

昔から、モノやチームを作ることに強い興味を持っていました。高校では工業デザイン科で学びながら、バンド活動を通じて曲を作り、ライブハウスで演奏していました。

高校卒業時は進路も決めずに卒業して、一浪して受かった法学部に入り、大学卒業時も就職活動をせずハローワークで仕事を探すという、ちょっと自由な若者でしたね(笑)。

「なにかを作る仕事がしたい」とタウン誌の編集者としてキャリアをスタートさせ、2社目は企画制作会社を選んでWebサイトなどを作っていたものの、どちらも2年ほどで退職しました。転機となったのは、3社目。当時はまだ小規模だったDeNAに、派遣社員として入社したことでした。

最初は3ヶ月の短期派遣という契約だったのですが、結果的には半年ほどで正社員になり、最終的には18年間働きました。その間に、ざっと勘定しても9つほどのプロダクトやプロジェクトに携わったかな。小さいプロジェクトを入れるとその1.5倍くらいの数になるかもしれません。

今までライター、ディレクター、マーケ、プロデューサーなどいろいろな呼ばれ方をしてきましたが、やってることはあまり変わっていないと思っていますので、通算で20年以上プロダクトマネージャーをやっていることになりますね。

DeNAで特に印象に残っていることは?

いくつかありますが、海外向けの事業展開に関わったことは強く印象に残っています。当時日本向けに提供していたサービスを韓国に展開する仕事です。

せっかくこんな規模の会社にいるのだから、国境を越えるチームで国境を越えたサービス提供をやってみたいなと、英語もぜんぜん話せないけど思っていて。実際その機会に恵まれたことで、いろいろな学びがありました。

特に「文化や考え方によるちょっとしたズレ」の存在に気づけたのは大きな収穫だったと思います。日本で「ゲーム」と言うと、小さい子どもが延々とやっていて親が止める、という「やりすぎ注意」な印象が強いですよね。でも韓国ではオンラインゲームを通じて仲間を得るというようなポジティブな文脈も「ゲーム」という言葉に含まれていることに気づくことができました。

そういう前提の違いに気づいたことで、「同じであることを前提にして違いを見極めるのではなく、違うという認識から始まって同じところを見つけていくほうが気が楽だな」という考えに変わったんです。自分の視点が増えて出発点が変わった、いい体験でした。

推理しながら正解を見つけるプロセスを楽しめる

18年勤めたDeNAを退職した理由は?

きっかけは、2019年に下の子が生まれたことでした。当時45歳だった私は「この子が20歳になるとき、自分は65歳だ。自分は20代の頃ふらふらしていたし、ちょっと長く見積もっても75歳までは働かないとな」と考えたんです。そうしたら、人生ってまだまだ長いな、これからの選択肢を狭めたくないなと思い、よい出会いもあって前職のスタートアップへの転職を決めました。

「せっかく不満もなく長く続けて、しかもいいポジションをもらえているのにもったいない」とか「40代での転職は怖くないのか?」と言われたことがありますが、ずっと1箇所に留まり続けることのほうが、むしろ怖いというか落ち着かない気持ちになります。

Legalscapeとの出会いのきっかけは?

エージェントの紹介です。リーガルテックに対しては、電子サインや契約書管理のような事務効率化・DXのイメージが強くレッドオーシャンだと考えていたので、正直に言うとあまり興味がなかったのですが……。「せっかくだし」と軽い気持ちでカジュアル面談を希望しました。

話を聞いてみると、Legalscapeというプロダクトは私が思っていたリーガルテックとは違って、かなり面白そうだと考えを改めました。
リーガルリサーチの分野には明確な競合もいないように思えたし、明確に「こう作ればこういう価値が出る」というセオリーがない領域だからこそ、もっとよくするにはどうしたらいいか推理しながら正解を見つけていく、探索的なプロダクト作りの面白さがあると感じました。

「どうすれば効率的で快適な検索体験を提供できるか」という問いは、DeNAで最初に関わったショッピングサイトで向き合った課題にも通ずるものがあり、難しい問いだからこそのやりがいを感じています。いかに仮説を集めて、ユーザーの思考プロセスに寄り添うか。そこが求められているプロダクトだと思っています。

今までとは違うということを前提に、泥臭く。

今はどんなお仕事をされていますか?

プロダクトマネージャーとして、売上に直結する施策に軸足を置きつつ、長期的な視点で取り組むべき課題まで幅広く関わっています。小規模なスタートアップなのに加えて、長期的な投資にもリソースをしっかり割く方針なので、少ないリソースでどこまでどうやるかを考えるのが私の仕事です。

具体的には、顧客の声などを通じてどこにどんな課題があるのかを把握し、開発アイテムを整理していく動きですね。これまではとにかく最優先とされる事項にしかリソースを割けていませんでしたが、これからは最優先以外の小さな課題解決の優先度を考えていかないといけません。

現時点では、何かしらのフレームワークを使って課題をスコアリングして優先順位を整理するというフェーズではないと思うんです。機械的に整理するのではなく、いろんな条件を考慮した上で泥臭くやっていこうとしています。

プロダクトの特性、チームの特性を活かすという意味でも、今まで関わってきたプロダクトのやり方はそれほど踏襲できないということを前提にした方が、可能性を広げられるだろうなと考えています。海外事業で学んだ「分からない、ということを前提にして、探索的に分かることを増やしていく」というところが、やりがいであり大切にしているポイントですね。

課題の解き方やソリューションの精度を上げるためには、お客様の声を聞くのはもちろん、ビジネスサイドのメンバーともしっかりコミュニケーションをとって目線を合わせておくことが大切です。「今これをやるべきだよね」という共感度を高くしておけば、お客様にもその価値がちゃんと伝わると思いますから。

これからやりたいことは?

開発スピードを上げ、もっとお客様の期待に応える!ということですね。
今でも、お客様から嬉しい声をいただくことは多いんです。例えば、導入先の法律事務所から「経験やノウハウに左右されることなく、一定水準以上のリサーチをスピーディーに行うことができる」「これからの弁護士にとって欠かせないツールになる」などと言っていただくこともあり、非常に励みになります。

一方で、もっと精度を上げてほしいという声もお聞きします。期待していただいてるからこその言葉だと思うので、しっかり応えていきたいですね。
そのほかにも、Webサービスとしての使い勝手や質の向上については伸び代ばかりの状態なので、多くの方に満足してもらえるよう改善を進めていきたいです。

直近は開発リソースの拡充にも注力していますので、予測不能なプロダクトの成長を一緒に楽しんでいける新しい仲間に出会いたいです。きっと半年後くらいには、もっと期待に応えられているはずだと思います!