遺産分割で不動産を取得する時の手続きと必要書類について解説!
親にもしものことがあり、親が住んでいる家を相続することになったら、どんな手続きをすればよいのだろうと考えることがあるかもしれません。
この記事では、相続財産に不動産が含まれている時の遺産分割の手続きの流れと必要書類について解説していきます。
不動産の遺産分割手続きの大まかな流れ
不動産を相続することになった場合、相続登記をする必要があります。不動産の名義を被相続人(亡くなった方)から相続人に変更する手続きです。ただし、相続登記を行うには、遺言がある場合を除き、相続人全員の同意が必要となります。単独で行うことはできません。
そのため、登記に先立ち、不動産を誰が取得するのかを相続人全員で協議する必要があります。不動産は大きな財産ですので、現金や有価証券などとのバランスも考えながら、協議を行っていきます。不動産を相続するステップは、大まかに次のようになります。
①必要書類を取得し相続人と財産を把握する→②相続人間での話し合い→③相続登記という流れです。相続登記は、一連の流れの中で最後に位置します。
遺産分割で不動産を取得するときに必要な書類とは?
相続財産に不動産が含まれるときには、遺産分割協議をする前に、次のような書類を集める必要があります。
・戸籍謄本
まずは、戸籍謄本が必要になります。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と、相続人全員の現在戸籍の謄本が必要です。相続人が1人でも欠けると遺産分割協議は無効になりますので、しっかりと相続人を把握することが重要です。戸籍謄本は、本籍地を管轄する市区町村で取ることができます。
・相続人の印鑑証明書
次に、相続人全員の印鑑証明書が必要になります。相続登記では、遺産分割協議書に実印で押印し、印鑑証明書を添付することになっています。不動産登記では印鑑証明書の有効期限は特に決まっていませんが、銀行手続きでは半年以内のところが多いようです。他の相続手続きとの兼ね合いも考えながら、タイミングを考えて取得しましょう。印鑑証明書は、住民票がある市区町村で取ることができます。
・不動産を取得する人の住民票
不動産を取得する人の住民票も必要となります。住民票に記載されている住所が不動産登記簿に記載される住所になります。
・被相続人の住民票の除票or戸籍の附除票
そして、意外と見落としがちな書類が、本籍地入りの被相続人の住民票の除票or戸籍の附除票です。相続登記では、登記簿上の被相続人の氏名・住所、被相続人の戸籍、住民票の除票(戸籍の附除票)の3つの書類を照らし合わせることで、同一人物であることを確認します。戸籍には住所が載っていないため、ちょうど本籍地入りの住民票の除票(戸籍の附除票)が糊のような役割を果たし、登記簿上の被相続人と戸籍に記載されている被相続人をつなげるという仕組みになっています。
一点注意したいのが、登記簿上の住所と被相続人の最後の住所が一致しない場合は、登記簿上の住所から最後の住所までをつなげる書類を提出する必要があるという点です。本籍地が変わっていなければ、戸籍の附除票にこれまでの住所の変遷が全て載ってきますので、この場合は、まず戸籍の附除票を取ってみることをお勧めします。戸籍の附除票は、最後の本籍地を管轄する市区町村で取ることができます。
・名寄帳or評価証明書
被相続人が持っていた不動産を把握するために、名寄帳や評価証明書などの書類も必要になります。名寄帳には、評価証明書に載っていない物件が載ってくる場合がありますので、相続財産を把握するためには、まず名寄帳を取得することをお勧めします。もし、幾つかの市町村に複数の不動産を持っていた場合は、それぞれの役所に書類を請求します。書類には不動産の評価額が記載されています。この評価額を基にして、登記するときに納める税金が決まります。
相続人間で不動産を分ける代表的な方法
必要書類を揃えたら、相続人の間で不動産をどのように分けるかについて協議します。代表的な3つの方法について、”相続人がAとBの2人”という前提で解説していきます。
Case1:現物分割
現物分割とは、「不動産はA、現金はB」というように、相続財産をそのまま分配して相続する方法です。一番シンプルな分け方ですが、財産の価値が大きく違うと話し合いがまとまりにくくなることもあります。
Cas2:代償分割
代償分割とは、「Bに相当額の金銭を払うので、Aが不動産を相続する」という方法です。財産価値が大きく違うときに、差額分をお金で解決するというイメージです。ただし、Aは事前にまとまった金銭を用意する必要があるという点がデメリットになります。
Case3:換価分割
換価分割とは、「不動産を売却し、売却したお金をAとBで分け合う」という方法です。ABどちらも不動産がいらないという時によく使われます。
相続登記にかかる費用
相続人の間で協議がまとまったら、相続登記をします。相続登記には、以下のような費用が発生します。
・司法書士報酬
登記は司法書士の専門分野です。もちろん、自分で登記することもできますが(自分の登記を自分ですることは違法ではありません)、平日に法務局に何度か足を運ぶ必要があり、なかなか大変です。そのため、ほとんどの方は司法書士に依頼することになると思います。登記1件あたりにつき、3万円~5万円程度が相場になります。自宅の土地建物の相続登記を行うとき、土地は単独名義、建物は共有名義の場合は、登記の件数は2件になりますので、報酬もその分高くなります。
・登録免許税
相続登記をするときには、国に登録免許税を納める必要があります。不動産の評価額×0.4%が登録免許税になります。たとえば、評価額が3,000万円の不動産では、12万円を登録免許税として納めます。
・遺産分割協議書作成費用etc
もし、遺産分割協議書の作成や戸籍収集も専門家に依頼する場合は、その分の報酬も費用としてかかります。
まとめ
不動産の相続では、必要書類の収集、相続人間での話し合い、相続登記とやるべきことが沢山あります。実際の手続きは専門家に依頼することが多いと思いますが、事前に情報を知っておくと、いざという時に慌てずに手続きを進めていくことができます。
相続手続きの要である戸籍取得の手順については、次の記事もご覧ください。