片思いのプレゼント
「今日もカッコいいな。」
毎朝、鏡の前で純二は思う。
小さい頃からモテモテで、高校の時など電車で通学をしていたが、全く知らない女性から何回か告白された。
今も彼女はいるが、誘えば断る女の子は今までいなかった。
友達もイケメンが多く、よく飲みに行ってナンパして遊んでいた。
純二は今21才だが、特に趣味もなく仕事おわりに、友達か会社の同僚と飲みに行って女の子とおしゃべりして1日が終わっていた。
別に悩みもなく不満もなかったが、何か物足りなかった。
特に、趣味のない純二だが音楽は好きだった。高校の友達はバンドをやる奴が多く、純二も誘われギターを始めたが、上手く弾けず1週間も続かなかった。
ギターができる奴はかっこいいなとは思うが、楽器に弾く事に対してそこまで情熱はなく、自分がギターを弾いてる事を想像して音楽を聴いて満足していた。
ある日、会社の先輩の付き合いで、飲みに行く前にCD屋に行った。
店員さん達はいかにもバンドやってるような、恰好をした人が多かった。
ふとレジを見ると、ショートカットで、パンクバンドをやってるような恰好をした女性がいた。顔は特別可愛くはない。
ただ純二の心に感じるものがあった。
その後、そのCD屋に通うようになった。あの子がレジにいる時は、CDを買った。
「ありがとうございました。」声が聞きたかった。
純二は、休日には彼女とだいたい一緒にいたが、CD屋のあの子に会ってからは休日と平日の夜は彼女と会わずにギターの練習をしていた。
あの子の恰好から絶対バンドをやっていると思い、俺もギターを弾けるようになって、
いつかあの子と話せる日がきたら、楽器ぐらいできて、話のネタにしたいと思った。
ギターは中々上手く弾けるようにはならなかったが、高校の時のギターが弾ける友達に連絡して教えてもらうようになってからは、みるみる上達していった。
上達していくうちに、ギターを弾く事が楽しくなって、家にこもりギターの練習ばかりして彼女の事は放って置いたら、交際は自然消滅したが、何とも思わなかった。
土曜日、家でギターを弾いてると、親友の優弥が来た。
「よお!久しぶりに飲みいこうぜ!」CD屋のあの子の事を話した。
優弥は「告白しちゃえよ!お前だったら上手くいくって!」
優弥も純二と同じでイケメンで女の子にモテて何人もの女の子と付き合っていた。
「何か違うんだよ、今回は!。慎重にいきたいんだよ!。俺みたいのが軽く誘ってくるような女性じゃないんだよ!」
「何だよそれ。そんなにいい女なのかよ!じゃ今からそのCD屋に行って俺に見せてくれよ!」
CD屋に行くと、あの子がレジにいた。
小さな声で「優弥、レジにいるあの子だよ。」
「ん、え、あれ?お前なんか好み変わったの?」
「いや、そういうんじゃないんだよ。お前にはわかんねぇかもな。」
「何だよ!それ!いいよ!俺が言ってきてやるよ!」
「おい!待てよ!バカ!」純二の静止を振り切って、優弥はいきよいよくレジに行った。
優弥があの子と喋っている。
「俺は、まだ喋った事ないのに、あのバカが!」
優弥が戻ってきた。純二は優弥の服を掴み、いそいそと店を後にした。
「何か、誘いにも乗ってこねぇし、お前のこと言っても、興味なさそうだったよ。」
「お前!どおしてくれるんだよ!いままでの俺の努力が台無しじゃないかよ!」
「なんだよ!努力って?あ!そうだ、今度ライブやるから来てくれってチケット2枚もらったよ。俺、興味ないから、お前一人で行って来いよ。」
それは今週末にやるライブチケットだった。
週末になり、優弥を無理やり連れてライブ会場に行った。
友達が文化祭でバンドをやって見たことはあるが、ライブハウスにライブを見に行くのは始めてだった。
ライブが始まった。あの子は中々でてこなかったが、俺は、バンドの演奏に夢中になりノリまくった。こんな気持ちになるのは初めてだった。何故か涙まで出てきた。
優弥も最初は興味なさそうに座っていたが、きずくとノリノリになっていた。
あの子のバンドは最後に出てきた。
感情むき出しで歌っていた。
輝いていた。
あのライブ後、俺と優弥は興奮して、すぐに俺たちバンドやろうと話した。
優弥はボーカル、俺がギターで、他メンバーは音楽雑誌で募集した。
募集要項に初心者可でライブ好きな人と書くと
応募してきた2人は、楽器を弾いたことがなく、あるライブを見てバンドをやりたくなってとりあえず応募してきた奴らだった。
すぐに意気投合した。
バンドメンバーはみんな夢中になって練習した。
俺も優弥も人が変わったように飲みにも行かず練習スタジオにこもった。
そしてCD屋のあの子のバンドと一緒にライブをやるのを目標にした。
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