宴の記憶
宴のために働く
日々、仕事に勤しむ自称勤労青年は居酒屋で息抜きし、帰宅してからの一杯、週末の庭で一杯、出張の帰りの電車で一杯と酒ばっかり飲んでいる中で、無性に野営での宴をやりたくなるものである。宴会テント(ランドステーションやサーカス720VCなど10人程度入れるテント)を張り、食材と酒を買い込んで、自ら料理し食す飲む。ネットエンタメが旺盛なこの世の中で、テントの中で食う・飲む・語るを深夜まで繰り広げる。そして朝が来てコーヒー〜朝食〜撤収〜解散すれば、また次の宴に向けて仕事に勤しむのである。ここでは過去の宴の様子を書き記す。
再会を祝す
三々五々、野営会場に到着後は挨拶もそこそこに宴会場や寝床の建設に入る。宴会テントを中心に囲むようにソロテントを張る図式である。設営が終了した者からアルコールを片手に開始のゴングがなる瞬間を待つ。揃ったところで、再会と日々の労働に対する労い、こうして宴ができる喜びと色々な事を祝して祝杯をあげる。そして先付やオードブルなど立派なものではなく、とりあえず酒のアテとしてホタテやサザエなど、焼いて醤油ひと垂らししておけば何とかなるものが好まれる。サブに缶詰があると嬉しい。
自分達で行うことの尊さ
再会を祝いつつ、ビールは2本程度にしておいて宴の準備第2ラウンド食事の準備に入る。普段家でジンギスカンを楽しむ時はラム肉と焼肉用カット野菜を購入し、包丁を使うことなく始まる。しかし宴の時は、野菜を購入し包丁を使って準備する。役割は特に決めてはいないが、原則やれる人がやる。私は調理機材のセッテイングとバーナーの準備専門である。居酒屋は客である我々が注文すれば出てくるが、宴は全員で作るから心から楽しめると思う。こうして仕込みが終わる頃、帷が降り、防寒かつニオイがついても大丈夫な服装で宴会テントに潜り込んでくる。
この瞬間のために働いてきた
さてメインイベントの開始である。ジンギスカン班は、熱々のジンギスカン鍋の頂点に牛脂を乗せ肉と野菜を焼いていく。スキヤキ班も牛脂で肉を焼いてから割下を入れて具材をぶち込む。オデン班は暖房用のアラジンストーブに乗せた広口の鍋にオデンダネを整える。こうして各班の作品?が食べられる頃合いで本番の祝杯をあげ、宴はスタートするのである。ラム肉をベルのタレに絡めて頬張り、ビールを飲む幸せ。溶き卵が入ったトンスイに安い牛肉と春菊を絡めて食し、大人になった実感をかみしめ。オデンの卵に辛子をべったり塗りつけてハフハフする喜び。そしてこの瞬間のために働いてきたと、しみじみ感じるのである。
おでんも話もクタクタに
食って、飲んで、食って、飲んで、食って、飲んで、食って、飲んで………………
21:00頃になれば腹も12分目で食は一旦休憩。ここからは語らいの時間になる。語らいの内容は総じてどうでも良い内容であるが、近況などの話を深掘りで進行する。この様な時、汁物(オデン、モツ煮など)はストーブに乗せておけば、いつでも温かく好きなだけ食えるので重宝。ただ広口鍋だと汁気の蒸発も早いので注意。こうして宴は寝っ転がって語る者、眠さの限界と戦う者、ひたすらマッタリと飲む者と、其々のスタイルで同じ空間を共有して更けていくのでありました。