4月9日署名手交のご報告
4月9日11時半から12時まで、丸川大臣に、法学者・法曹による「選択的夫婦別氏制度の早期実現を求める」共同声明文と賛同署名簿を手交するため、面会を実施いたしました。
手交に参加した慶応大学名誉教授・犬伏由子と早稲田大学教授・棚村政行の報告書を掲載いたします。
慶応大学名誉教授・犬伏由子
報道陣も多数集まり、丸川大臣の「選択的夫婦別姓制度」実現に対する考え方についての高い関心の表れと思われます。
丸川大臣との面会では、共同声明に対する賛同署名活動に取り組む経緯を簡単に披露し、共同声明の内容についてポイントを押さえつつ説明しました。夫婦別姓の実現に賛成する声が、国民各層に広く共有されてきていること、選択的夫婦別姓制度が持つ意味等を丸川大臣に伝え、大臣も時折メモを取るなどされていました。
なお、丸川大臣からは、選択的夫婦別姓を採用した際の戸籍システムについても質問がありました。
早稲田大学教授・棚村政行
私どもは、井田奈穂選択的夫婦別姓・全国陳情アクション代表と3名で、内閣府は、丸川大臣、林伴子共同参画局長らが同席した。冒頭、犬伏名誉教授が今回の共同声明の趣旨・内容を説明し、1996年2月の法制審議会の答申が実現されないままとなっており、昨年末の短期間で、是非、選択的夫婦別姓制度の導入をお願いしたいという1000名を超える法学者・弁護士の切実な声が寄せられていることを訴えた。また、犬伏名誉教授は、第5次男女共同参画基本計画この策定に際して、「夫婦の氏」が削られるなど、選択的夫婦別姓制度についての実現に向けた動きが後退させられたこと、世論調査の結果は70~80%の賛成になりつつあり、地方議会でも205の賛成の意見書が採択されるなどの動きについても触れられた。
これに対して、丸川大臣は、「私も議員になって13年になるが、自由民主党内で、氏や家族の問題について、このように議連が立ち上がったり、検討会が設けられたり、真剣に議論が戦わされている状況はこれまでにはなかった」として、現状に対して好意的な評価をされていた。また、丸川大臣は、私のほうにも質問をされて、2020年11月の棚村研究室と全国陳情アクションとの共同調査の結果についても尋ねられた。そこで、私からは、今回の共同調査の特色として、これまで賛成か反対かの二択で聞いていたところ、自他の区別を聞くことにして、とくに自分は同姓を選ぶが、他人は別姓でもかまわないかを問い、70.6%の賛成の回答を得たことを伝えた。また、選択的夫婦別姓の賛否倍率をとったところ、地域格差がはっきりしたことも興味深いと説明した。つまり、賛否倍率が10倍以上という沖縄、9倍以上の青森などは、女性がしっかり自立している地域、女性社長率も全国で上位を占め、女性の活躍が目立つところは、選択的夫婦別姓でも賛成が多かった。これに対して、愛媛、山口、新潟など賛否倍率の低いところは、女性議員の比率も低く、男性中心の古い考え方が根強く、男女共同参加や多様性への取り組みも低調だと説明したところ、丸川大臣は、「地域の活性化のためにも、男女共同参画や女性活躍を進めることは重要だ」との認識も示されていた。
丸川大臣は、選択的夫婦別姓制度に対する個人的な見解は述べなかったものの、選択的貴夫婦別姓制度を導入した場合の子の姓の決め方、戸籍制度との関係などについても質問され、井田代表から「導入した海外でも多様な決め方があり、どの国もとくに争いが解決しなかったり問題になっていることはない」、犬伏名誉教授からも「1996年2月の法制審議会答申でも、戸籍制度の枠内で選択制の導入は可能であるとしている」との答えにとくに異論を示さず「この点は法務省がしっかり検討しているのでしょう」とおっしゃっていた。最後に、選択的夫婦別姓制度の導入については、イデオロギーや政治的対立ではなく、具体的に困っているという声や事例をできるだけ多く収集し、通称使用制度の拡大では限界があるという具体例についても集めたいとおっしゃっていた。今回の面会や質疑応答を通じて、私たちとしては、丸川大臣としては、男女共同参画や女性活躍担当大臣として、選択的夫婦別姓制度の導入に向けて、前向きに取り組むという意向を示してくれたものと理解している。
緊急事態宣言の発出を受けた日程調整の都合により当初の予定期間を超えて募集を行った本署名活動には、最終的に法学者333名・法曹761名、合計1,094名もの皆様からご署名をいただきました。
ご署名・拡散にご協力くださいました皆様に心よりお礼申し上げます。
また、上川法務大臣への手交も引き続き日程を調整しております。こちらも続報があり次第お知らせいたします。