『エッセイ』夏休み弘前
私は地元の弘前が大好きだ。
大好き過ぎて、大学生時代は地元に就職するもんだと三年生の初めくらいまでは思っていたけれど何故だか気づいたら横浜で就職していた。
なんなら横浜で結婚相手も見つけてしまったもんだから、相手のこともあって今後地元弘前に戻って生活することは無さそうだ。
私は地元が大好きなので社会人一年目は年に4回くらいは帰省していた。地元はたいして友達もいないけれど、実家に猫と家族、煮干しラーメンもゆっくり本が読める喫茶店もバーも、大好きで大切なものが沢山ある。
今年は運が良くて8日も夏休みがもらえた!
結婚はしているが夫とは普段常に一緒にいるし、夫も夏休みは地元に1人で帰るので私もまるまる8日間帰省する事にした。
何をしようか、8日もある!飽きらかしてしまうんじゃないだろうか。少し函館にでも行こうか、アレとアレを食べたいからお店を予約して、映画も見に行こうかしら、温泉にも行かなくちゃと夏休みが始まる何ヶ月も前からワクワクして楽しみにしていた。結局帰ってからやる事は大体決まっていて、8日なんてあっという間だったんだけれど。
地元に帰ったらとにかく映画を観まくる。サブスクで観られないDVDをゲオに借りに行く。実家はテレビがどデカいし、グウたらできるソファもあるので映画を観るのに最高だ。今回は『海が聞こえる』を借りた。これは妹と一緒に観た。妹は私が映画を観ていると「またなんか観てるの」とニヤニヤしながら一緒に観てくれる。可愛いやつだ。夫は「集中してられないから」と付き合ってくれないし、一緒に何かを観てもあまり語り合ったりしてくれるタイプではないので余計嬉しい。映画やドラマって共有してくれる人がいると倍楽しめる。海が聞こえるを観終わって「よく分からなかったね」「なんか、何でそうなるの?って何回も思った」と言い合った。まぁ、お話だから仕方ないのだ。言い合って観れて最高に楽しかった。社会人になってから友達とたまに映画を観る事はあったけど、結婚してから友達と遊ぶ事も減った。ましてや、家でだらだら友達と一緒に何かをみる事ないし、誰かと共有できるって事って貴重な事だったんだなと気づいた。独りでゆっくり映画もいいんだけどね。
大学生時代から大好きでよく行っていたカフェ・ジーバというお店がある。土手町という通りにある小洒落たカフェ。すぐ近くにある中三(なかさん)という百貨店の中にあるジュンク堂で好きな小説を買ってここで読むのがお決まりだった。中三は残念ながら最近潰れてしまったけれど。窓際の席で通りを歩く人を眺めながら夏はレモンクリームティーを飲む。
レモンクリームティー!
クリームと濃いめのレモンティーが白と茶色で美しいコントラスト!甘酸っぱくてクリーミー!
ストローで上に乗った生クリームを少しすくって舐める。甘過ぎなくてとっても好み。ソーサーにちょこんと小さいクッキーを2個添えてくれているのも嬉しい。
レモンクリームティー。ここでしか飲めないんじゃなかろうか、ぜひ弘前に行ったら飲んでみて欲しい。他にも喫茶店やカフェは沢山あるからオススメを絞るのは難しいけれど。
ちなみに小洒落たカフェで今時珍しくタバコも吸える。横浜に来てからもう5年経つ。帰るたびに街は少しずつ変わっていくけれど、ずっとあり続けて欲しいものの一つだ。
青森に帰ったらとにかく食べまくりたいのが煮干しラーメン。今考えただけで涎が出てくる。帰ると父親に「煮干しラーメン、行くんだろ?」と連れて行ってもらう。地元にいた時はここまで好きじゃなかったような気がする。離れて初めてこんなに好きだったのか!と気づいてしまった。今じゃ水筒にスープを入れて持ち帰りたいくらいに大好き。
弘前は「たかはし」「まる鐡二代目」青森市は「長尾」「ひらこ屋」が個人的に好き。横浜にも煮干しラーメンはあるけど食べてみてちがうな、と思った。なんだか、上品すぎる気がする。
違うんだ、地元の煮干しラーメンは本当に煮干し!という感じ。濃い。他県の人が食べて美味しいかは分からないけど。
実家には今2匹猫がいる。ゆずとくぅ。ゆずは私が大学生で実家にいた時に里親募集のサイトで子猫の時に貰ってきた雑種の子。くぅは、妹が横浜にいた時に飼って実家に一緒に連れ帰った。えーと、なんだっけ。猫の種類、いっつも出てこなくなる。マンチカンじゃなくて。あー!そう!ラグドール!いつもすっと出てこない。
くぅはタヌキかと思うくらいデカい。目が青くて綺麗。妹はくぅを溺愛していて、うっとりした目で見ながら「ベィビーちゃん♡」と呼んでいる。
ベィビーちゃんは流石にちょっと笑った。
ゆずは自分の縄張りを荒らされたのが気に食わないのかくぅと出会ってもう2年以上するが一向に仲良くなりそうにない。くぅが近づくとものすごく唸って威嚇している。
大学生の時猫が飼いたくて、飼いたくて親にろくに相談もしないで急に貰ってきて飼い始めたゆず。ちっちゃくてちょろちょろと肩に登ってきたり机の物を落として回ったり、高いところから落ちて足を骨折したり。自分の身勝手で飼い始めたゆずを今実家に置いて親と祖父母にご飯やトイレを見てもらっている。申し訳ない。でも可愛がってもらっていてゆずがいることでみんな笑顔で、それを見て嬉しかった。
地元を離れてあと何回家族や猫に会えるんだろうと思う。大切にしたい。
横浜は地元には無いお店が沢山あってオシャレで美味しい物もあって、とっても便利で最高だ。住み慣れてそう思っているけれど実家にしばらく帰ってから戻ってくると最寄りの駅に着いて「あれ?私なんでこんなところにいるんだっけ?」と思う。帰省から帰ってくる時はいつも悲しくてぽっかり寂しい。
でも、充電されて清らかな気持ちでまた帰れるように仕事を頑張るんだ。嫌だけど。