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千葉ポートタワーと海

 私は、県人口が五百万人を超えた記念とする千葉ポートタワーの中に在るレストランでコーヒーを堪能した。
 窓外は、海面に姿を見せる細波が、太陽から与えられた光を、表したり消したりの繰り返しで「海原のネオン」とでも表現が出来るのではないかと思う…。
その真上に、小型のヨットが滑っている。果たしてそれを操る者は、趣味或いは大会の練習なのか…?
 翻って、レストランには、もう私と店員の女性しかいない。いつしか、二組の男女はレストランを後にしていた。ただBGMの歌声が耳に伝わるだけである。
 暫く客は、私だけになったがまた他の人達が訪れた、夫婦と見られる年配の男女である。
 タンカーが他の港に向かって泳ぎ去っていく様を見受けられる様になった一方で、沖に点在する船は増えつつある様に見える。
 京葉線高架を潜る、左右を並木に挟まれた道路は、車が数える程の疎らさで、これは言うまでもなく、運転手にはこれ以上なんか無い理想の状況と言えるだろう。 
 その道路に面した千葉中央郵便局を目にすると、タワーに向かう前に利用した時に対応した局員が蘇る。眼鏡をかけたまだ白髪より黒髪が圧倒的に多いい男だが、起きたばかりと見紛う表情や動作で口調でやる気を感じられない様子だった。丁度調子が思わしくない所以だと、こちらは取るとしよう。
 しばしば、赤い線と橙の線の電車が西或いは、東から姿を現す…それを目にすると、近い内に一緒に開店しようと誘って下さった関口健治さんの
「もしも、我々の仕事が順調になったとして、二号店誕生に至った場合は、藤井ちゃんメインだよ。」
 という言葉が脳裏に蘇った。関口さんとは、私がかつて働いていた職場で出会った男性だ。そして私は、正直出来る事なら二号店は、好きな京葉線沿線が有難いななんて考えてしまうのだった(笑)
 …ふとスマホ画面の右上を注視するとバッテリーが残り僅かだ! これから、私のお気に入りのエリアである、海浜幕張のコンセント有りのカフェにでも行き補充しようと思う。   
 タワーを後にして、私は千葉みなと駅に向かった。助かる話で、ホームの一角には、夏の猛暑や雨冬の酷寒を凌ぐエアコンか備わっている待合室が待っていてくれる。向かって見ると、既に室内は四、五人が猛暑凌ぎをしていた。
 私の右にいる男女三人組の間から、妙典という寺院の様な名前のエリアは、大人気の洗練された新興地域、美味いラーメン屋が在る等という旨の声が漏れて来た。
 私は、一緒に仕事し始めたら、関口さんにも話して見て、妙典に赴けたらなと思った。
 海浜幕張駅に着いた私は、まず南口から出て、二軒のカフェに行き、充電可能かを確認した。両者共カウンター席が無かった…。これは、設備無しを意味する。テーブルにはそんな備えは無いと思って良い。
 それから北口を過ぎて、ロータリーて隔てたサンマルクの中を見た。窓際カウンターの充電出来る席は有るが、もう先客で一席も空いてない…。そこで、テーブル席にまず座り、空いたら移ろうと思った。
 軈て、スーツの男性が立ち上がり、紙コープと鞄をテーブルから持ち上げた。 私は、存外それ程待たずに着席出来、今はこうして紀行文の作成に取り組むのである。           完                 

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