同人小説「永遠のうた」13

第五節 星を超える時
その夜、猛は夢の中にいた。夢の中で自分がいることに気づいていた。いつもの悪夢とは違う感じだった。しかし、これは一体何だろう‥。月が見える。青くて大きな月。そして、夕暮れではないのに、空が真っ赤に染まっている。
夢の中で、ドーン!どこかで爆発音がした。地面が激しく揺れた。大地震だ!遠くから僕を呼ぶ声が聞こえる。
「猛ー!」「猛くーん!」この声は、大野渚と木下ひかるだ。
夢の中に、三人の少女が現れた。よい、いつ、むゆである。何か黒猫を連想させる三人の少女が私の夢の中に現れたのだ。
「お兄ちゃん、歌は好き?宇多(うた)うたいのお兄ちゃん。お兄ちゃんには、未来を選ばせてあげる。選択の自由をあげるんだよ~。一つ目の歌、てんてんてんまりてんてまり~♪。二つ目の歌、かーごめかーごめ、かーごのなかのとりは~♪。三つ目の歌、むーすーんでひーらーいて、手をくんでむーすんで~♪。四つ目もあるけど、㊙扱いだから。お兄ちゃんはどの歌が好き?決まったら歌ってね。お願いョ、ちゅっ♡」
ほっぺにチュウをされた僕。少女たちはくすくすと笑いながら「唾つけたー!裏切ったらひどいよ?“12の王冠のお兄ちゃん”!」と言って消えていった。
脂汗をかきながら、僕は目を覚ました。時刻は、夜中の12時を少し回っていた。
「シンデレラじゃないんだから、12時の魔法か?」少女たちの顔を思い出そうとする。どこかで会っているわけではない。三人とも、年齢で言えば12歳から14歳くらいだろうか。キスしてきたのはその中の一人、風貌は髪の毛に緩やかなウェーブがかかった狐目のやややんちゃな雰囲気の少女だった。
仕方ないな、コンビニにでも行くか。自転車で夜道を走る。すると突然!「うわ!」前輪が大きく跳ね上がった。かろうじて転倒を免れ、その原因となった黒い塊に目を凝らす。大きさにして60センチはあるだろうか。何かの死骸ではない。自動車のタイヤだ!「道の真ん中に置かれているぞ。なんでこんなものがここにあるんだ!」タイヤを道端へどける僕。その様子を二匹の猫が見ていた。
「にゃー。」「にゃーん。」


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