同人小説「永遠のうた」7


坂部は考える。今回のアセンションはヒンズー教の基準世界なのか。非常に多くの人がクリア可能な低レベルなアセンションだ。
ひかる…、ひかる…、ひかる…。光、魂の光輝、真我の光…。ラーマヤーナ物語のシータ姫か!坂部は苦虫をかみつぶした。
ラーマヤーナ物語とは、ヴィシュヌ神の化身ラーマ王子と妻のシータ姫が、金色のシカを追いかけるため森に入る。その隙に、悪魔の王ラバナによってシータ姫はさらわれる。ラーマ王子は、サルの王ハヌマーンや神の鳥ガルーダに助けられ、ラバナ王に戦いを挑む。これは光と闇の永遠の戦いのようなものである。まるで夫と間男が奪い合う世界のようだ。
永遠の善悪の戦い、永遠の繰り返しの世界、“えいえん”の扉である。
カルテの片隅には坂部のメモがある。
“封印役ふたり”(候補)
では、どんな処方にしていこうか。なるべく自然死に近いほうがいいな。これはカルテではなくノートだ。私の背後には死神はいないが、看護婦という三途の川の渡し人はいる。ふふ…。DoctorもDの文字が入っている職業だったな。


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