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【Audible】すばらしすぎる!風柱さまと音柱さまの声に没頭『木挽町のあだ討ち』永井沙耶子
第169回直木三十五賞と第36回山本周五郎賞のダブル受賞作
この作品は高い評価を受けた作品なんですね。
なんの前知識もなく聴き始めたのですが、すっかりハマって、物語が終わった瞬間もう一度聴き直しました。
あらすじ
江戸の芝居小屋の前で、見事に父親の仇をとった若い武士がいた。
数年後、その武士と縁のあるという侍がその仇討ちの顛末を聞きにやってくる。
彼は5人の目撃者から話を聞き始める。
すべてその芝居小屋の関係者だ。
彼らは皆、その若者と深い関わりがあるようだ。
不思議なことに、その侍は仇討ちのことだけでなく、その目撃者それぞれの人生についても尋ねるのだ。
やがて、すこしずつ明らかになっていく、仇討ちの真相とは。
江戸時代に生きた人々の心のうち
芝居小屋で生計を立てるこの関係者たちは、それぞれに辛く、苦しい過去があります。
聴いていて、私も何度か苦しくなるほどでした。
それでも、苦しみを乗り越えて、たどり着いたこの芝居小屋で生きています。
そんな人たちが、親の仇討ちのために故郷を離れ、一人江戸までやってきたこの若者を放っておくわけがない。
みんなしてなんとかこの若者を支えようとします。
すべての真相が明らかになったとき、私は大きくため息をつきました。
そういうことだったのか!
なんとも清々しい終わり方でありました。
ずっと心に残る作品になりました。
ナレーションが豪華
このオーディオブックは、各章でそれぞれナレーションを担当する方が違います。
関 智一、安元 洋貴、野島 健児、三石 琴乃、小西 克幸、小林 千晃
どの方も本当に素晴らしい。さすがプロです。
語り手がそれまでの人生を目の前で語ってくれているような錯覚に襲われます。
自分がこの物語の聞き手の侍になったような気持ちになるのです。
アニメ『鬼滅の刃』で、風柱の声を担当された関 智一さんと、音柱の小西 克幸さんをはじめ、声のプロフェッショナルたちの圧倒的なパフォーマンス。
特に、小西克幸さんの声はそのまま音柱!勝手に脳内変換してしまいました。
安元 洋貴さんの殺陣師はめちゃくちゃかっこいいですし、野島 健児さんの衣装係は深い情と芯の強さを感じさせます。
三石 琴乃さん演じる舞台職人のおかみさんは、自身の悲しみを乗り越えて、愛情を惜しみなく与える温かい人柄が偲ばれます。
小林 千晃さんは、恐れ迷いながらも義を貫く、まっすぐで純真な若い武士を演じていらっしゃいます。
どの章を聴いてもその語り手の息づかいが感じられ、ぐいぐい引き込まれます。
強くおすすめしたい作品
このオーディオブックは素晴らしい仕上がりだと思いました。
聴いてよかった。
時代物にあまり興味がない読者にも、自然に物語に入ってゆけるよう、聞きなれない言葉は作中でさりげなく説明されています。
何より、この作品を音声で聴ける贅沢な体験ができたことが嬉しいです。
ありがとう、オーディブル!
Happy Listening!
#audible #木挽町のあだ討ち #永井沙耶子 #時代小説 #おすすめ本