【Audible】『団地のふたり』藤野千夜
50代を迎えた幼なじみ女性の日常生活
そういえば、昔「団地」ってたくさんありました。
金属製の重いドアを開けると、大体の間取りは2LDKで、お風呂がついていて、掃き出し窓のベランダから洗濯物がはためいていたイメージですね。
子どももたくさんいたから、遊ぶ相手には困らない。
そんな時代が昭和でした。
今はもうほとんどマンションになっていますが…
この物語の主人公、50代を迎えたなっちゃんもそんな一人。
なっちゃんは、その実家の団地に住んで、オンラインでオークションやったり、イラストを描いたりして生計を立てています。
なっちゃんには、同じ団地に住む幼なじみのノエチがいる。
そんな二人が住み慣れた実家の団地でまったりと送る日常生活。
特に劇的な出来事が起こるわけではなく、淡々と日々を過ごしていく様子が描かれます。
団地に住む人々は、みんなむかーしから知っている同士なので、高齢化した「おばちゃん」に網戸の貼り替えなど、ちょっとした雑用をたのまれたりします。なっちゃんは嫌な顔ひとつせず、ノエチを巻き込みながらもちゃんとおばちゃんの役に立ってあげるのです。
その後みんなで宅配ピザをとって食べたりして、今どきなかなか珍しいご近所付き合いをしています。
なっちゃんとノエチの、お互いを知り尽くした二人の掛け合いが笑えて楽しいです。
このような小さなコミュニティが、この時代にちゃんとあれば寂しさや孤独に負けず、なんとか生きていけるかもしれないと思いました。
特に同世代の人には懐かしい単語?がゴロゴロ出てきますので、それも楽しんでほしいです。
「なめ猫」なんて言葉、何十年ぶりに聞いたかな?結構衝撃でした。
なめ猫免許証!
あー、あったねぇ、って聞きながら笑ってしまいました。
公式サイトがありました!ええっ⁉︎ 懐かしい〜
ずっと変わらず仲の良い幼なじみふたりの日常から、周りの人々と風通しの良いつながりを持つことの心地よさを教わりました。