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【Audible】後味が悪い結末『真犯人』翔田寛
解決まで時効を経て41年かかった事件
初読みの作家さんです。
昭和49年に起こった誘拐殺人事件。
犯人は未だ逮捕されず。
41年後、その父親が殺されるところから、ストーリーが始まります。
誘拐殺人事件の方は、時効直前になって再捜査が行われていましたが、犯人の逮捕が叶わなかったという背景があります。
昭和の事件と、今回の事件には関係があるかもしれない…
主人公、日下刑事は、再調査の指揮をした元警視の話を聞きに行くのです。
昭和から平成と41年に及ぶ事件、果たして結末は…
なるほど、そうかと思った、な展開なのですが、再調査時代の話はより臨場感をもって聴けました。
いくつかの可能性をたどって、犯人をなんとしても検挙したいという警察官の執念や、組織内での軋轢など、視点が変わります。きれいごとばかりではない現実をちらちらと垣間見ることができて興味深いです。
また、被害者家族の背景や、目撃者の証言などが、事件の経過年月を感じさせます。41年ですもんね。長いスパンです。
若い夫婦も、向かいのおばさんも、子どもも、警察官自身も、みんな年老いて行きます。
時の流れってこんなにも私たちを変えるんだなと、そんな思いをずっと感じてしまいました。
さて、結末ですが、なんとなく予想した通りでした。
とても後味が悪い…消極的ではあれ、納得はできましたが、すっきりはしませんでした 。
とはいえ、聴き出したら気になって最後まで一気に聴いてしまいました。
事件が静岡県で起こるので、静岡の地理に明るいとさらに深く楽しめたかもしれません。
長い時間がかかった事件解決、週末にまとめてどうぞ。
Happy Listening!