#399 「えどがわ環境財団事件」東京地裁
2015年11月25日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第399号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【えどがわ環境財団(以下、E財団)事件・東京地裁判決】(2014年11月26日)
▽ <主な争点>
配転命令が無効か否かなど
1.事件の概要は?
本件は、E財団の職員であるXおよびYが、同財団から平成24年4月1日付でなされた配転命令(本件配転命令)が無効であると主張して、本件配転命令に基づく勤務の義務がないことの確認を求めるとともに、本件配転命令が不法行為に当たると主張して、慰謝料の支払いを求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<E財団、XおよびYについて>
★ E財団は、財団法人江戸川区環境促進事業団として発足し、平成23年9月、公益財団法人に移行した。主たる事務所を江戸川区役所庁舎内に置き、同区内の多数の公園、親水緑道等のほか、「自然動物園」、「篠崎ポニーランド」および「なぎさポニーランド」の3施設を指定管理者として管理・運営している。
★ Xは、平成2年4月、E財団に固有職員(注:雇用期間の定めのない職員)として採用され、本件配転命令による異動まで自然動物園において飼育業務に従事した者である。
★ Yは、20年4月からE財団の臨時職員として、同年10月から非常勤職員として、自然動物園に勤務した者である。その後、23年4月、新たに導入された一般契約職員(注:更新のない5年を超えない期間が定められた職員)として5年の期間を定めて採用され、本件配転命令による異動まで自然動物園において飼育業務に従事した。
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<E財団の組織、事業内容等について>
★ E財団の職員は全て事務局に属しており、事務局は庶務係(総務部門)、みどりの推進係(企画部門)、公園サービス第1~3係(公園管理・事業部門)、上記3施設(動物事業部門)で構成されている。
★ E財団においては、公園運営事業と動物ふれあい事業が中心事業とされており、動物ふれあい事業とは小動物を触ったり、抱いたりできる常設コーナーの運営や飼育体験教室等の体験プログラムの提供、飼育係のお話などの学習情報の提供等を内容とする事業である。
▼ E財団においては22年12月、公益財団法人認定後に対応するため、組織改編が行われた、その内容は、課を係とすること、公園管理関係の部署を整理すること、動物衛生課を廃止し、獣医を自然動物園とポニーランドに配置すること等であった。
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<本件配転命令等について>
★ 23年4月当時、自然動物園飼育班には2名の固有職員とYら計8名の一般契約職員が配置されていた。Xは同月から動物ふれあい事業の新設された教育普及担当として、自然動物園の内勤部門であるサービスセンターに籍を置いていたが、飼育業務も一部担当していた。
▼ Xら3名は東京公務公共一般労働組合に加入して、24年2月、同組合江戸川動物園分会を結成し、Xが分会長、Yが副分会長にそれぞれ就任した。
▼ E財団は24年3月、同年4月1日付でXをみどりの推進係へ、Yを篠崎ポニーランドへ配転する旨を内示した(以下「本件配転命令」という)。
3.職員Xらの主な言い分は?
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