#37 「アラウン事件」大阪地裁
2004年5月12日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第37号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 参考条文
★ 労働基準法(休憩)
第34条 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
2 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
3 使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
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■ 【アラウン(以下、A社)事件・大阪地裁判決】(1999年3月19日)
▽ <主な争点>
休憩時間の付与と安全配慮義務
1.事件の概要は?
本件は、A社の従業員であるXが休憩時間を全く付与されなかったことは債務不履行(安全配慮義務違反)に該当するとして、同社に対し、損害賠償として慰謝料の支払いを求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<Xについて>
★ Xは、昭和57年7月、A社に雇用され、同社がI社との間で締結した施設内業務委託契約に基づき、A社の他の従業員とともにI社のD事業所内において、主として電話によるコンピュータの障害受付業務に従事していた者である。
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<A社の就業規則の定め、休憩の付与等について>
★ A社の就業規則には勤務時間および休憩時間について、次のような規定があった。
(1)勤務時間は、一日につき一時間の休憩時間を除き、実働7時間15分とする。
(2)社員各人の始業・終業および休憩時刻は各部署業務形態が異なるため、所属部署において各人ごとに指定する。
(3)休憩は業種および業務の性質上、就労場所ごとにおいて一斉または交替でとることがある。
(4)会社は、業務上その他必要がある場合は全部または一部の者について、指定した始業・終業・休憩時刻を変更することがある。
★ A社の従業員の勤務時間は、毎月の勤務割表で勤務時間帯を指定することにより定められており、D事業所の勤務時間帯には日勤、夕方勤務(16時頃~23時頃)および夜勤(23時頃~翌朝9時頃)があった。
▼ A社はD事業所の従業員に対し、夕方勤務において明示的には休憩時間を付与していなかったが、Xがこれを労働基準監督署(以下、労基署)に訴えたことから、63年3月、労基署の是正勧告を受け、それ以降は19時頃から45分ずつ交替で休憩をとるよう従業員に指示し、夕方勤務の契約人数も2人から4人に増員した。
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