#127 「オンテック・サカイ創建事件」名古屋地裁(再掲)
2006年3月8日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第127号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【オンテック(以下、O社)・サカイ創建(以下、S社)事件・名古屋地裁判決】(2005年8月5日)
▽ <主な争点>
「業務推進手当」が月45時間分の残業手当に該当するか
1.事件の概要は?
XはS社において正社員として勤務していたが、その後、O社へ転籍となった。本件は、S社およびO社において、法定時間外労働を行っていたXがS社らに対して、それぞれ法定時間外労働に対する割増賃金の未払いがあるとして、その支払いおよび付加金等の支払いを求めたもの。
これに対して、S社およびO社は月額7万4000円(平成13年11月までは8万4000円)の「業務推進手当」の中に月45時間までの残業手当が含まれているとして、法定時間外労働に対する割増賃金の未払いの存在を否定した。
2.前提事実および事件の経過は?
<S社、O社およびXについて>
★ S社は土木建築請負業等を業とする会社である。また、O社は土地建物の管理運営、保守、営繕および付属設備補修等を業とする、S社のグループ会社である。
★ Xは平成11年11月、S社との間で労働契約を締結し、正社員として勤務していたが、13年3月、O社へ転籍となった。
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<Xの法定時間外労働等について>
▼ Xは12年12月から13年3月までの間、S社において、合計219.25時間の法定時間外労働を行い、また、13年3月から16年3月までの間、O社において、合計1276.34時間の法定時間外労働を行った。
▼ 15年7月、Xが労働基準監督署(以下「労基署」という)に対し、O社に残業手当不払いの労働基準法違反があると申告したところ、労基署はO社に対し、時間外労働に対する割増賃金を支払っていないこと、および「業務推進手当」を割増賃金の基礎となる賃金に含めていないことについて、労働基準法違反であるとして、是正勧告を行ったが、O社はその是正勧告に従わなかった。
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<S社の賃金規程等について>
★ 平成5年3月に労基署に届け出られたS社の賃金規程においては、「基準外賃金には、職責手当(営業手当・現場手当・業務推進手当)のほかに割増賃金がある」旨が定められ、また「(Xが該当する)営業・工事以外の業務に携わる従業員には、その職務と遂行能力に基づいて業務推進手当を支給する」と規定されていた。
★ XとS社との間の雇用契約書およびXとO社との間の雇用契約書には、いずれも「業務推進手当」と残業手当の関係についての記載はなく、S社およびO社からXに対する口頭での説明もなかった。
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