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#419 「積水ハウス事件」大阪地裁(再々掲)

2016年9月7日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第419号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【積水ハウス(以下、S社)事件・大阪地裁判決】(2015年2月23日)

▽ <主な争点>
受動喫煙等に関する安全配慮義務違反など

1.事件の概要は?

本件は、S社の従業員であるXが同社に対し、(1)S社は、Xが同社工場において恒常的に受動喫煙を強いられていたにもかかわらず、受動喫煙対策を講じず、受動喫煙症および化学物質過敏症に罹患させたと主張して、安全配慮義務違反(債務不履行)に基づき、損害賠償金として296万円余の支払を、(2)S社は関節リウマチに罹患していたXを手足の負担がかかる作業に従事させて関節痛や手首、膝等の機能障害を生じさせたと主張して、安全配慮義務違反(債務不履行)に基づき、損害賠償金の一部である290万円等の支払をそれぞれ求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<S社およびXについて>

★ S社は、建築工事の請負および施工、不動産の売買等を業とする会社である。

★ X(昭和35年生の女性)は、平成16年11月、障害者雇用の嘱託社員としてS社に採用され、同社の滋賀工場(以下「本件工場」という)総務課に所属し、ミシン室で勤務していた者である。なお、Xは11年5月頃から関節リウマチを発症し、S社への入社当時、身体障害者等級5級に該当する旨の認定を受けていた。

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<S社の受動喫煙防止対策、Xの受動喫煙症等について>

▼ S社は健康増進法25条(受動喫煙の防止)の規定に基づき、15年12月、(1)本件工場総務部事務所を禁煙とする、(2)総務課および業務課のある建物内に喫煙所を設ける、(3)各課事務所に併設された休憩所内にビニールの暖簾やカーテン等で仕切られた喫煙スペースを設置する等の分煙措置をとり、その際、従業員らに対し、喫煙は喫煙所等の指定場所で行うよう指示、指導した。

★ Xが入社した16年11月当時、総務課および業務課に所属していた喫煙者の中にはミシン室で喫煙する者もいたが、本件工場のほとんどの喫煙者は所定の喫煙所等で喫煙していた。

▼ Xは17年春頃からタバコの煙を吸うと咳が出て呼吸が苦しくなる等の症状が出るようになった。S社はXの申入れを受け、同年秋頃、ミシン室を禁煙にしたことにより、同室でタバコを吸う者はいなくなった。その後、同社は19年5月、会議室を全面的に禁煙とした。

▼ Xは20年5月、受動喫煙症の診断を受け、この頃から治療のため通院するようになった。

▼ Xは同年11月、S社に対し、受動喫煙症の診断書を提出し、100万円の損害賠償を求めたが、同社はこれを拒否した。

▼ XはS社との間で面談を重ね、その結果、同社は受動喫煙防止対策として、(1)本社工場内の喫煙スペースのある室内において粉塵濃度を測定する、(2)警備室を禁煙化し、換気扇のそばに開いていた隙間を塞ぐ等の対策を取ったが、損害賠償または工場内の完全禁煙化というXの要望には応じなかった。

▼ Xは21年7月、化学物質過敏症の診断を受けた。

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<Xの配置転換等について>

▼ Xは当初ミシン室において作業服の修理作業等に従事していたが、本件工場における資材生産の中止に伴い、21年4月以降、新たに販売促進ツール(カタログ等)のピッキング作業等に従事し始めた。

▼ Xは同年7月、S社に対し、手関節に変形があり、重量物の運搬や手関節に負担のかかる作業が不適切である旨記載された診断書を提出し、配置転換すること等を申し入れた。

▼ S社は同年9月、Xを食堂や更衣室における清掃業務へと配置転換した。

▼ 22年2月頃、Xが再度配置転換を希望したため、S社は事務作業の適性があるかを確認するなどした後、同年6月、Xをミシン室へと配置転換した。

▼ Xは23年5月、両側変形性手関節症および両側変形性膝関節症を発症したことにつき労災認定を受け、同年8月、後遺障害等級14級9号の認定を受けた。

3.社員Xの主な言い分は?

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