[企業法務]法改正対応
企業の規模や事業内容によって対応すべき法改正は異なってきます。たとえば、中小企業では努力義務になっていたり、製造業であればPL法が重要になったり、飲食業であれば食品衛生法が重要になったりしてきます。
ここでは自社が対応すべき法改正が特定できていることを前提として話を進めます。
まずは情報収集。日頃からアンテナを立てておき、法改正の情報をいち早く把握することが重要です。官公庁のサイト、新聞記事、テレビのニュース、法務系の雑誌(ビジネス法務など)、SNSなど情報源は多岐にわたります。
そのため、情報リテラシーを高める必要があります。情報化社会では情報が溢れており、正確なものもあれば、いわゆるデマのものもあります。また、法解釈を巡っては多くの論点や議論があります。自社にとって必要な情報を適切に選別し収集するためにも情報リテラシーを高めましょう。
次に優先順位を決めていきます。マクロ的には「対応すべき法改正の優先順位」、ミクロ的には「対応作業の優先順位」を決めることになるかと思います。法務部門の組織構成や部員のキャパシティだけでなく、他部門との連携の要否・可否などが優先順位を決める歳の考慮事項になるでしょう。
ここまで来れば、あとは地道に対応作業を進めていくだけです。
一つ身近な例を挙げてみたいと思います。特にフリーランス界隈で話題になった「インボイス制度(適格請求書発行事業者登録制度)」への対応をシミュレーションしてみます。
既に制度自体は開始しています。お店のレシートを見ると「登録番号」が記載されていることが多く、企業として対応している所が多い印象を受けます。
法務部門としては、まず「インボイス制度とは何か?」「適格請求書の法的要件は何か?」「開始時期はいつか?」などの情報を収集していきます。
そして、「税務署への届け出」、「レジシステムのアップデート」「経費精算ルールの変更の要否の検討」などの作業を洗い出し、その優先順位やスケジュールを決めていきます。
インボイス制度は主に会計面で重要な制度であるため、法務部門が主体的に動くことはほとんどなく、経理担当者のサポートに回ることが多いかもしれません。そう考えると、法改正対応は必ずしも法務部門内で完結するものばかりではなく、他部門を巻き込むものもあることに気づくと思います。全社をあげて対応していくとまでは行かないものの、チーム戦であることは多いでしょう。
そして忘れてはならないのが「周知・徹底」です。「ルールを決めた」だけで終わらすのではなく、影響を受ける人に新しいルールを周知し、そのルールの遵守を徹底する必要があります。ここまで終えて、初めて「法改正対応が完了」したことになります。(もちろん、その後の遵守状況の確認や問い合わせ対応などが必要になってくることがあります。)