八千代座
熊本県山鹿市の八千代座に
行かれたことありますか。
私もまだ入ったことありません。
近くまで行って眺めたことはあります。
実は今日も近くまで行って、
ちょっとだけ見ました。
お盆のお墓参りを兼ねて
市内を少しウロウロしてみたのです。
山鹿にはあまり詳しくありません。
国道を通り過ぎるだけでは
何も無い普通の町です。
でも少し路地に入ると
違う世界が広がっているような
不思議な町です。
今日は街中に提灯が下げられ
何かしらお祭りの匂いが
立ち込めています。
山鹿灯籠まつりです。
山鹿にお墓があるということは
地縁がある訳で、
小さい時の本当に僅かな記憶の中に
灯籠まつりの情景があります。
実家の古いアルバムには
若い頃の母が
灯籠を頭に載せた写真があります。
八千代座が有名になって、
祖母がまだ元気だった頃
聞いて見た事があります。
“ ばあちゃん、八千代座って知ってる? ”
“ う〜ん、若い頃良く芝居を観に行きよった。 ”
“ へぇ~、今じゃ全国的に有名な芝居小屋
みたいだよ。”
“ 昔はお前の子守に、芝居を観に行っとった。
ラムネを一本、
入る時にやっとったら
芝居が終わるまでもったもんな。”
言われてみれば、
ラムネの瓶をカラカラと音たてて
天井を幾度となく
見上げていたような記憶があります。
それが何の時だったかは
わかりません。
あれが八千代座の中だったのだろうか。
とすれば、私はたびたび
八千代座に行っていた事になります。
記憶の薄れ切った体験。
祖母のお墓参りと
灯籠まつり。
八千代座の中で
芝居そっちのけで
ラムネと戦っていた私。
それが、私の一番古い炭酸の記憶です。