おじいちゃんの魔法の定期券
今回は、私の鉄道好きのルーツになっている私の祖父のお話です。
私の祖父は旧国鉄で定年まで勤め上げた人でした。
おじいちゃんはさすが元国鉄職員、髪はいつも床屋できっちりと整えていて、髪が伸びてだらしないみたいな姿は見た事がありませんでした。
靴もいつもピカピカ。身だしなみはいつも完璧でした。
身長も当時の年代では高く、姿勢もいつも良くてビシッと決まったカッコいいおじいちゃんでした。
旧国鉄時代は、定年退職する時に国鉄の全路線に乗ることができるフリーパスがもらえたんだそうです。
実際にその切符(定期券サイズ)を見せてもらった事があるのですが、そこには「無期限」で「全区間」と書かれていました。
私が子どもの頃、その魔法のような定期券をみて、
「おじいちゃんすごいね!スリーナインのパスみたい!」
と言ったのを覚えています(当時は銀河鉄道999がとても流行っていました)
そして、その定期券は福利厚生で家族も同行程であれば無料で一緒に電車に乗る事ができました。
そのおかげで私は祖父と一緒に電車に乗って出かける事ができました。
そして改札を通り抜ける時(当時は自動改札などはなく、きっぷにハサミを入れたり定期を目視していました)は、そのパスを見た駅員さんは必ずおじいちゃんに帽子をとって挨拶してくれました(今考えるとOBだからですよね)
おじいちゃんすごいな!みんなが挨拶してくれるんだ!と思っていました。
今思えば、そのおじいちゃんとの思い出が私の鉄道好きの所以なのではないかと思います。
おじいちゃんが実際にどんな仕事をしていたのかまでは詳しくは知りませんでしたが、信号所で働いていたと言う事は聞いた事がありました。
そんなおじいちゃんは私が24の時に心臓発作で亡くなりました。享年89歳でした。
それまでとても元気にしていたので訃報を受けた時はとても信じられませんでした。
国鉄で働くことに誇りを持っていたおじいちゃん。
おじいちゃんは別れ際はいつも笑顔でちょっと帽子をとって挨拶する、国鉄の職員がする挨拶をしてくれました(あの改札を通る時してくれる挨拶です)
きっと長年の癖だったのでしょうね。
それがちょっとカッコいいというか板についていて嫌味がないんですよね。
おじいちゃんのお葬式の時、棺桶にあの無期限・全区間のフリーパスを入れてあげればよかった
(おじいちゃんの亡くなった後にあのフリーパスがどうなったのか外孫の私は知る由もありません。例え本人ではないので使えなかったとしてもあのパスを形見としてもらいたかったです。今の時代にはとても貴重なものとなったでしょう)
でも、きっとおじいちゃんは顔パスで天国でも電車が乗り放題なのかもしれない。
あのちょっと帽子をとって挨拶をする挨拶で改札を通り抜けているのかも。
(味気ない今の自動改札じゃなくてね)
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