韓流ホラー短編集クェダムが面白かっただけの話
暖かな日差しが心地よい春の昼下がり、いつものようにNetflixを漁っていると、ある作品が目に留まった。
その作品こそが「クェダム 禁断の都市怪談」だ。
この作品、一話につき約8分の短編ホラーで、とにかくテンポ良く怖がらせてくれる。話の展開こそ「?」となるところも多いが、深く考えてはいけない。この手のはジャンクフードみたいなものなので、ストーリーなど二の次だ。
怖がらせる演出はほん怖に近く、音と顔面ドアップで攻めてくる古き良きパワータイプ。このタイプは「ただビックリさせてるだけ」と敬遠され、リングのようなじわじわ精神を追い詰めてくるテクニカルタイプが至高とはよく言われるが、僕はこの考えにはあえて異を唱えたい。
お化け屋敷もそうだが、パワータイプのホラーはマクドナルドやバーガーキングみたいなもので、大味な演出こそが持ち味と言えるだろう。高級素材でなくとも、調理が洗練されてなくとも、結局美味ければいいのだ。映像に限らず創作の大半は質はともかく印象に残れば勝ちだ。その点パワータイプはお手軽に感情に訴えてくる。
一方でテクニカルタイプは高級なコース料理。素材から調理方法、果てには料理を口にする順番まで完璧に計算された美食。その繊細な恐怖は何も考えずにただ画面を眺めるだけでは決して味わいきれないだろう。最近だと「ミッドサマー」がいい例だろうか。僕のように、脳死ホラーだと思って見に行ったらまるで意味がわからなかった人は結構いるのでは無いだろうか。
あの手の考察を楽しむタイプの映画を否定する気はないが、教養が無い僕にとっては何も考えずに楽しめるエンタメ性の高い作品の方が肌に合う。深い作品はどちらかというと本の領分だろう。映画だと進むスピードが一定でじっくり考察できないし、書籍だったらじっくり読める。
めちゃくちゃ話が逸れたが、要はホラーとしては呪怨寄りの怪異がアグレッシブに活躍する作品だ。それなりにグロテスクなシーンもあるので苦手な人は注意。
全部で8話あり、通しで見ても一時間くらい。サクッとホラー成分を摂取したいときにオススメだ。