今年最大の問題作『緋色の捜査網からの脱出』
はじめに
この記事を読んでいるみんなは、すでに2年ぶりのコナン脱出の最新作『緋色の捜査網(ブラッドタスクフォース)からの脱出』に参加しただろうか?
コナン脱出といえば、版権ものでありながら例年なかなかの難易度を誇ることで有名だ。
本作もその例に漏れず難易度高めで、僕は普通に失敗した。
そんな今回のコナン脱出だが、Twitter上での評判は「賛否両論」の声が多く、あまり評価が高い方ではない。
実際に今回僕も参加したわけだが、確かにこのコンテンツは手放しに賞賛はできない。
いや、楽しめたは楽しめたし、同卓の雰囲気も良好だったので全体的に良い公演ではあった。
しかしながら、終盤からの一連の流れについては僕の中ではモヤモヤがかなり大きい。
なので、ここからは心の整理ついでに自分なりの賛否両論点を一切のネタバレなしでまとめていこうと思う。
未参加で何の情報も入れたくない人はここでこの記事の閲覧をやめることをオススメする。
個人的にイマイチだった点
最初は敢えて良くなかったところをいくつか挙げていく。
-体験の質を参加者に委ねすぎている
僕が良くなかったと思う点はほぼ全てここに集約されているといっても過言ではない。
リアル脱出ゲームソロ凸経験者であれば、同卓のメンバー次第で楽しさが天と地ほど変わることはよく理解できるだろう。
こちらからコミュニケーションをとってもイマイチ反応が薄かったり、情報をなかなか共有してくれなかったり…僕自身も苦い経験が無いといえば嘘になる。
物語体験を殊の外重視しているSCRAPの公演ではホールルーム問わず、特に同じテーブルの雰囲気が満足感に関わる。
それゆえ、可能な限りは人数を集めてグループチケットを購入して参加するのが最善手である。
しかしながら本公演では、たとえ仲の良い身内6人で参加しても楽しめるとは限らない。
同じ回に参加する全チームの雰囲気、空気感が楽しさを左右する。
そのため、全参加者の「楽しむ努力」が少なからず必要になっている。
極論いくら自分達のテーブルが楽しい雰囲気でも、周りがそうでもなかったら一気に冷める。
それくらいに会場の空気や一体感が重要なので、これから参加する人は、まず自分たちの「楽しむ努力」を忘れずに、公演当日までお祈りをしよう。
ちなみにここでいう「楽しむ努力」は、「FBI捜査官になる気持ち」、言ってしまえば「ごっこ遊びをしに行くマインド」である。この辺を意識していれば少なくとも自分達はそれなりに楽しく遊べるはずだ。
久しぶりのコナン脱出だからといって気合を入れている人はマジで肩の力を抜いてほしい。大謎だけはガチでやってくれて構わないが、それまでは存分にエンジョイしてくれ。
僕は失敗したが謎クラならたぶん間に合う。
-展開が急でフワッと終わる
これは特に終盤についてだ。
ネタバレに配慮するため具体的なことは何も言えないが、個人的にはかなり違和感のある急展開が繰り広げられる。
謎解き公演あるあるの唐突なご都合主義展開の大半を爆笑しながら楽しむ僕ですら、「えっ」となってしまった。
ネタバレに配慮して具体的な情報を全て代名詞に変えて説明すると、「それがそうなることはわからなくもないけどそもそもそこがそうなってるあれがそれなのかはあれだしそれをそうしたそこがそうならこれをそうするあれはほんとうにそうなのかはそうだしそこがそうしたならそれでいいのでは?」となって、「ここはそうしたけどそこがそうなら結局そうなるわけだしあれをそうしてもそういうあれはあるからそもそもあれはいらないのでは?」みたいな感じだ。参加者はフィーリングで感じ取ってほしい。
これに関してはネタバレに含まれないと思ってるから挙げるが、終わり方がフワッとしていてイマイチ達成感が薄いという点については本当にどうにかした方がいいと思う。
とはいえ、僕たちはFBI捜査官で、今回の事件は制限時間こそあれど所詮仕事の一部なのでいちいち歓声をあげて喜ぶものではない、と考えればギリ納得できなくはない。
でもやっぱり本音を言えば盛り上がりが欲しかった。
良かった点
最も、悪い点だけではなく素晴らしい点もたくさんあった。
-体験型のゲームとしては最高
とにかくこれに尽きるし、悪い点もゲームとしての体験を追及し過ぎた結果だと思う。
再度言うが、この公演では僕たち参加者はFBI捜査官の一員として事件を捜査する、というのがメインのコンテンツだ。
実際に捜査システムを駆使して情報を整理し、事件の真相へと近づいていくゲーム性は本当に面白い。
また、公演自体の構成も新鮮で、ホール公演の最高傑作になり得るポテンシャルは秘めているので、ぜひこの路線でブラッシュアップして1本リリースしてほしい。
-秀がかっこいい
コナンは何回もコラボしているだけあって映像が年々豪華だ。
今回もその例に漏れず、コナン君はもちろん我らが秀(僕は赤井秀一を親愛を込めて"秀"と呼ぶ)もフルボイスで大活躍する。
とにかく最後の秀がめちゃくちゃカッコいいので、それだけで「なんか良かったな」みたいな気持ちになった。
おわりに
まあいろいろ吐き出したわけだが、僕個人としてはこの公演は前評判のわりにはなんだかんだで楽しかった。
ただ、僕が楽しめたのも同回の参加者のノリがそれなりに良かったおかげなので、その点を突き詰めて考えると、コンテンツとしてはどうなのかと思ってしまう。
この公演の良さを120%引き出すためには会場の熱量が必要不可欠なので、常設店で長期間行う公演としてはたぶん相性が良くないのではないだろうか。
ちなみに本公演は、12月半ばまで開催されるので行ってない人はぜひ体験してきて欲しい。
そして、参加する上では全人類FBI捜査官として事件を捜査する世界観に入り込んで欲しい。
そうして、参加する全員が「世界観に入り込んで楽しむ気持ち」を持ち合わせれば、きっと最高の物語体験ができるはずだ。