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和を感じる曲10選

※トップ画像は、【初音ミク】七夜月の少女【オリジナルPV】(曲:かんぱねってさん、イラスト・動画:真理歪さん)よりスクリーンショットをお借りしました。問題があればご指摘ください。


久しぶりのマイリスコンピ参加です。


2022年1月のお題は「和を感じる10選」ということで、世界観が和風な作品から思い出深い10作品を選んでみました。

マイリスコンピ 和を感じる10選 01

マイリスコンピ 和を感じる10選 02

マイリスコンピ 和を感じる10選 03


それでは、以下で解説していきましょう。


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1.【MEIKO・KAITO】番凩【オリジナル】

2008/10/1 仕事してP(hinayukki)さん

紅(くれない)、黄金(おうごん)に彩られ
揺れる樹々たち
横切りながら
枯れ葉 共に 道連れに
翔け抜ける 木の葉と
つがゐこがらし

仕事してPさんの代表作である「番凩」(つがいこがらし)。秋に散る紅葉を背景にして、風のように駆けていくMEIKO姉さんとKAITO兄さんを幻視できそうな名曲です。「焼けた故郷に別れを告げて」とある通り、戦乱の世を感じさせながらも、困難を乗り越えていく気概にあふれた歌詞が胸を打つ。和風曲・民族調曲の先駆けにして代表作ともいえる作品ですね。

『EXIT TUNES PRESENTS Vocalogenesis feat. 初音ミク』収録曲。

(参考)

2019年にセルフリメイク版が投稿されています。

【MEIKO・KAITO】番凩-2019-【オリジナル】

2019/10/1 仕事してP(hinayukki)さん


2.【鏡音リン・レン】 合い鳴き 【オリジナル曲】

ニコ動版:2012/7/23、YouTube版:2021/6/29 shrさん

なんて美し蜃気楼
浅葱の裃には散る桜
ああ 時勢は流れてゆく
僕の袖を掠めて
誰かの袖を濡らしてゆく

もとは鏡音リン「あいなき鏡音レン「あいなきとリンレンそれぞれ単独でのshrさんの初期作品でしたが、そのセルフリメイク版。一部に鏡音リン「あいなしの歌詞が採用されているとか。

時代劇な歌詞で、駆け落ち関所逃れなどから「浅葱の裃には散る桜」(浅葱の裃:侍の切腹衣装)につながるストーリーが朧げに仄見えてきます……当時の人々が生きる儚さを歌っているのでしょうか。リメイク前も味があるのですが、この「合い鳴き」で完成した感あり。哀愁を漂わせながら凛とした和風のメロディが、実に聴かせてくれます。


3.【鏡音レン】「月花ノ姫歌(秦野Pver)」勝手に手描きPVつけてみた

2009/3/8 原曲:秦野(はたの)Pさん、PV:ササキさん

咲いて また 散るは 花
この気持ちもいつかは廃る?

秦野Pさんの原曲は、名曲「ハト」など含め、残念ながら2010年6月に全削除済み。今見られるのは、秦野Pさんが許可して裏花火さんが代理投稿したもの、そして紹介作品のようなファンメイドのPV等に限られるわけです。

原曲が素晴らしいのは勿論なのですが、ササキさんの解釈PVが神がかった出来でして……今回の十作品中で一つだけ推すならこれ。

歌詞を、歳を取らない神様の使い(配役:レン)と普通の人間で歳を取っていく村の少女との悲恋として解釈したササキさんの勝利です。手が届かなかった花を摘んであげた少女が、成長して身長を追い越していく。結末を悟った神使は、少女の前から姿を消して見守る……という流れ。歳をとると涙もろくなっていけませんね。月に帰るかぐや姫のイメージを”少女”の側に重ねているのも人外視点が際立って良いです。良いとしか言いようがない。

めぐる ひととせ また すぎる ひととせ
めぐる ひととせ また すぎる ひととせ
あぁ

(参考)

秦野Pさん関連の作品では、こちらも忘れるわけにはいかない名作。

【鏡音レン】雨を連れゆく(コラボ)【オリジナル】

2010/6/21 原曲:秦野Pさん、作詞:裏花火さん、動画:シバションPさん


4.天の笹舟【巡音ルカオリジナル曲】

ニコ動版:2009/8/9、YouTube版:2010/7/22 情熱P(てとてと)さん

ふたりを悼んで こう願おうか
流れるくず星 一つにかけて
このまま続く 天の川の果て
笹の御舟(おふね)で 連れてっとくれ

情熱P(てとてと)さんの和風ロックバラード巡音ルカのお姉さんな歌声が、花魁視点の悲恋の歌詞にぴったり寄り添うかのようです。

七夕には五色の短冊に願い事を書いて笹に吊るしますが、それは織姫と彦星にあやかって、願い事が成就してほしいという思いからですね。一方、飾った笹ごと川や海に流す風習もあり、穢れを払うためだとか。七夕と笹舟には直接の繋がりはなさそうですが、七夕の笹流しに見立てているならば……という歌詞解釈はできるかもしれません。

コンピアルバム「DEBUTANTE4」収録曲。


5.【初音ミク】七夜月の少女【オリジナルPV】

2012/6/29 曲・詞:かんぱねって、イラスト・動画:真理歪さん

声に紛れて 乱れ咲いた不知火(しらぬい)
巳(み)の時を過ぐ 命を束ねて
夢の調べも 冴(さ)ゆる蒼(あお)に焦がれる
七夜月(ななよづき)の戯(たわぶ)れ

2010~2012年に投稿されていたボカロP・かんぱねってさんの現時点での最新作にして代表作の一つ。

七夜月(ななよづき)とは七夕のある陰暦7月の異称です。少年が田舎のお祭で出会った少女は、不思議な雰囲気をまとっていました。悪戯好きな鬼の少女(配役:ミク)は少年と祭りを楽しむのですが……というお話。ラストシーン、縁側で夏空を仰ぐ少年の姿が余韻を残します。いつか彼女と再会する日が来るのでしょうか……

メロディと歌詞が流麗ですし、アニメ調のPVも素晴らしく印象に残ります。再生数4万では惜しい。知られてほしい隠れた名作。

コンピアルバム「色彩音楽イロドリティ」収録曲。


6.【鏡音リン】 うらら 【オリジナル】

2010/7/30 ラムネP(nuz)さん

うららうららかを愛でながら
春風は袖を引く
虚ろ移ろう世は淵か瀬か
現世(うつしよ)は水面に映えて
おぼろげに花と揺れる

黎明期の2008年・2010年に投稿しているラムネPさん。鏡音ファンにとっては重要なボカロPで、名作Dog Day Afternoon」「SKELETON LIFEの作者。鏡音好きなら、柔らかく丁寧な調声をぜひ聴いておきたい方です。

「うらら」は、2010年に雨傘閉じてとともに投稿された2作品の一つ。ラムネPさんの作品では唯一の和風曲です。大正浪漫タグがついており、その頃を背景に、穏やかな春の世情を歌っているのどかな作品。

鏡音ファンとして外せない方なので、またラムネPさんの鏡音を聴いてみたいですね。

(参考)

DDAの名PVといえば、こちらを今でも推しています。edamameさんの解釈にも涙腺が緩んでしまうんだよなあ……

【鏡音リン】「Dog Day Afternoon」に絵をつけてみた【手描きPV】

2008/10/19 曲:ラムネPさん、手描きPV:edamameさん

ラムネPさんの現時点での最新作は、「うらら」から9年ぶりの投稿となったこちら。

【鏡音リン】 さよならヒグラシ 【オリジナル】

2019/10/15 ラムネPさん


7.【MAYU】繭の蕾【オリジナル曲】

2012/12/13 曲:guestperformerさん、詞:春夜さん、調声:チョコラテPさん、動画:時津さん

白銀の地に 凛と鈴音が響く
静かに柔らかく続く足跡 
まだ風冴ゆくも心和ぐ花よ

キャラ設定からヤンデレ扱いされやすいMAYUちゃん、和風ピアノバラードを優しくしっとりと歌い上げています。ビロードのような声質にうっとり。聴き入り、和んでしまう美しさ。

晩秋から初冬の小春日和に、雪がちらほら舞うなかで咲く冬の花を丁寧に描き出していますね。赤い傘をさす少女が挿絵にあるので、蕾が開いて咲く花をたとえに使っているのかもしれません。


8.月に花咲け 夜に歌え / feat. 猫村いろは

2019/8/19 傘村トータさん

明日も月は明るいでしょう
私はここで生きています
月に花咲け 夜に歌え
あなた ねえどうか 幸せで

情緒あふれるバラードに定評ある傘村トータさんの楽曲からも、和風ピアノバラードを。猫村いろは嬢の、朗々とした張りのある調声がお見事。

投稿者コメント「もう会えないのね」という一文が想像をかきたてます。歌詞の月と地球(ほし)から、かぐや姫と帝を連想する人もいますね。実際、当初のマイリストコメントには「月に帰らないかぐや姫。」とあったようなので(参照)、イメージの方向性はそちらで間違いないでしょう。しかし、今はコメントから消えているので、トータさんは聴き手の解釈を縛りたくないと思ったのかもしれません。これも想像でしかありませんが……


9.ホオズキの灯 / 緋惺

2019/1/31 藍色にしもんさん

"暗闇照らし出す 君への道しるべ"

ついに和風曲ではなくエレクトロポップからも選曲。世界観が和風なので問題はありません。音源のUTAU・緋惺(あけさと)はもうすぐ9周年(今ではVtuberとしても活動しているらしい)。

紹介作品は、原曲【七音彩】Deception ~ホオズキの灯~【kokone】のセルフmix修正ver.です。ボカロのここねんver.も好き。

七音彩とは、2016~2017年に3回行われた一斉曲投稿イベント。当時、切れ味の良いEDM表現に感動して、藍色にしもんさんを知ったのは私にとって大きな出来事で……去年5月に行われたDiscordでのリスナー会で同席できて嬉しかったなあ。

「ホオズキの灯」は、森の奥で神様と出会う話。お盆には先祖の魂が迷わないようホオズキが提灯として飾られる風習があり、それを踏まえて考えると、真実を見出そうと主人公が越えようとしているのは幽冥の境なのかな。それを格好良くポップに仕上げているのは、ある意味でポップ・レクイエムにも通じるセンスがあります。

(参考)

【七音彩】Deception ~ホオズキの灯~【kokone】

2017/5/27 藍色にしもんさん


10.【初音ミク】雫花火【オリジナル曲】

2013/5/19 曲:aquascapeさん、詞:瑞野小葉さん

夜空あふれる雫花火
今もこころが苦しくなる
それでもいい 愛する切なさも
どうかおしえて 雫花火

夏の切ない心模様を、花火に託して歌った名バラード。「君の右手繋げなくて ひとり“ふたり”夢みた」という歌詞に、思わず目を瞑って感嘆してしまいます。メロディはもちろんのこと、歌詞を味わってほしい作品。

ちなみに、aquascapeさんの曲は、無地の再投稿ver.でしか聴けません。

以前の「雫花火」のサムネになっていたミルサさんの絵が素晴らしかった……花火と朝顔と金魚に囲まれたミクさんが美しくて最高でした。

(下記クリック推奨)

2010/7/10に投稿、2011年4月頃に投稿者削除され、その後に再投稿された経緯は、下記のnoteで書いています。

(参考)

【オリジナル曲】雫花火【Primatic Labbit】

2010/7/10 曲:aquascapeさん、詞:瑞野小葉さん、歌:ほっちさん


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夏祭り、七夕と悲恋にまつわる作品が多くなってしまいました。和風曲というと個人的にはそこが琴線に触れるんだよなあ……

マイリスコンピの2月「短い10選」3月「好きなサムネ10選」もやっていきたく思います。お待ちください。正確には時間をください(切実

それでは、今回はこの辺で。



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