リコリス・リコイル 第7話までの考察・補遺
ネタバレ注意!
上記の第7話までの考察では書ききれなかったポイントについて、いくつか拾ってみます。
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<真島と千束のタフさ>
第6話で、真島はロケランを至近に食らってぶっ飛んでるのに生きてるし、千束はしこたま真島に顔を殴られたのに一晩過ぎたら傷も残ってません。これを捉えて、二人ともサイボーグか何かでは? と考察する向きもありますが……
真島はそういう〈生存の天才〉だと思えば、まあ受け入れられます。
千束はガチで回復早いかも。人工心臓を移植してもらう前から、千束は観察力による超回避を会得していました。元からの身体能力がないとできない芸当です。体質として回復が早くても不思議はないかと。
さらにリコリコの世界観だと、人工心臓がパワーアップアイテムみたいに扱われてるようなので。人工心臓でたくさん血液を送り出せばそれだけ回復が早い、みたいな理論がまかり通っている可能性すらあります。(いったいどこの鬼滅なんだ……)
まあ、基本的にB級(良い意味で)アクション、ゆるゆるのガンスリンガーガールと思えばよいのでは。そう目くじら立てることも無し。
(ガンスリ2期に介入した原作者、リコリコみたいなアニメにしたかったんだろうなあ……)
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<旧電波塔まわりの時系列>
【リコリス・リコイル】千束の時系列考察!旧電波塔では実弾を使用していた!?【2022夏アニメ】
2022/8/16 (9分3秒)
【リコリス・リコイル】考えうるもう一つの時系列考察!やはり電波塔事件がゴム弾初お披露目だった…!?(コメント参考)【2022夏アニメ】
2022/8/19 (8分10秒)
10年前の旧電波塔事件で、千束が非殺傷弾(ゴム弾)を使っていたかどうかで、大きく時系列が変わります。人工心臓の恩義に報いるため、千束は非殺傷弾を使い始めたわけですから……
(A)旧電波塔で、千束は実弾を使っていた
この場合、旧電波塔事件では、千束が真島の仲間を皆殺しにしたのかな。真島は何だかんだ生き残って、旧電波塔を爆破して逃げた。伝説のリコリスとなった千束を見込んで、アラン機関から人工心臓が提供されたと。
思いつくのは、旧電波塔事件により心臓が弱ってしまった千束を救うために人工心臓が提供されたというシナリオです。爆破のダメージが直接心臓に及ぶようなら即死だし、人工心臓以前の問題。だから、全身手術の過程で不可逆的に弱ってしまった心臓(もともと心臓の病気だった?)を交換する必要があった……というのが落としどころかな。
DAが旧電波塔事件での作戦を秘匿していますから、もしアラン機関が千束に人工心臓を与えようと介入できたのなら、DAとアラン機関は非常に近しい関係だったとしか考えられない。今の関係とはちょっと違うようだけど……
そこそこ辻褄は合うし、わたしも最初はこう考えていました。
旧電波塔事件で大量に人を殺めてしまったけど、アラン機関から人工心臓を提供して助けてもらった千束。これからは人の時間を奪わないように、非殺傷弾を使いたい……とミカに頼み込んだ、という筋書き。
でも、これだと一つ説明ができません。
ロボ太が調べた「旧電波塔で非殺傷弾を使った奴がいたという噂」(7話)が発生する余地がないんですよ……千束が実弾を使っていたなら、真島の仲間たちは確実にあの世です。こんな偽情報をあえて流す意図も分からない。
ですので、この噂に関する整合性が取れない限り……
(B)旧電波塔で、千束は非殺傷弾を使っていた
と考えざるを得なくなります。
これなら、伝説のリコリス・千束が非殺傷弾でテロリストたちを制圧するのをモニターしていた当時のDA職員たちから、後に情報が流出してネット界隈の噂となっても不思議ではありません。
この場合、孤児からリコリスになったが心臓が弱かった千束。アラン機関から人工心臓をもらってから不殺を心に決め、ミカに非殺傷弾を作ってもらい、旧電波塔事件が起きた、という流れになります。
リコリコの世界観では、人工心臓はパワーアップアイテムのように扱われてる印象があるので、移植を受けた後の千束はめっちゃタフになったんでしょうね。(ここらへんは、リアルな人工心臓のイメージに引っ張られない方が良いかも。あくまで物語のギミックとしての人工心臓)
(B)説の弱みは、なぜアラン機関が千束に人工心臓を与えたのか理由がまだ明かされていないという点。旧電波塔事件より前に、アラン機関は千束が〈殺しの天才〉であるとどうやって知ったんでしょうか。才能あるリコリスではあったんでしょうけども。
それを言い出すと、そもそもアラン機関はどうやって支援対象である天才を選定しているのか謎のままだけど……真島についてもどうだったのかな?
一方、(A)説と異なり、DAが厳重に情報統制していたはずの旧電波塔事件、その中心人物で保護されていたはずの千束に、どうやってアラン機関がいきなり接触できたのか、という難題を考えなくて済むのが、(B)説の利点です。DAとアラン機関の関係性もよくわからないしなあ……ミカとシンジの個人的つながりで情報統制を突破したんだろうか(^^;
真島は千束に仲間が全滅させられたと思いこみ、最後の力で爆破。しかし、旧電波塔は倒壊に至らず、中途で折れたのみ。千束は旧電波塔の爆破に巻き込まれずに済み、無事脱出。真島は一人だけ謎の才能か何かで生還するも、他の仲間はのちにDAが確保して始末した、という顛末かな。
仮に真島たちがリリベルだった場合、DAが単なるテロリストということにして情報操作して隠蔽。真島は残党を率いて海外に逃げていたのかも。で、最近密入国して日本に帰ってきたのかな。それなら8年前からDAによる隠蔽まみれという事情を知らないのも納得だし。
でも、当時のリリベルとリコリスは互いの組織を知らないまま活動していたのかなあ……そこが良く分からない。
今後の動きとして、吉松シンジとしては、千束をリコリスのままにしておきたくはないでしょう。アラン機関は、千束の〈殺しの天才〉を世界に届かせる使命があるのだから。DAに隠蔽されると、千束の才能が皆に知ってもらえない……おいおいまさか、シンジがDAを潰そうとしてる理由って……?
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<八咫烏とアラン機関のつながり?>
第6話「Opposites attract」から、八咫烏の組織図を再掲。
鴉、雅、鵶はいずれも「カラス」の意味を持つ漢字。優雅の「雅」が、カラスとつながる意味を持っていたとは、調べるまで知りませんでした。
一方、八咫烏の下、「雅」の上にある漢字は「鵄」「金」。
鵄はトビと読むけど、みみずく・ふくろう・とび・とんび等のタカ科の鳥類を指す漢字だそうです。金の梟……アラン機関!?
しかし、金鵄(きんし)を調べたところ……
あくまで金色の鳶(トビ)であり、梟とは書かれていませんでした。
金鵄(きんし)は八咫烏と同一視されることもある存在だそうなので、八咫烏と同じ場所に書かれてても不思議ではないのかな、と。この表記をもって八咫烏とアラン機関につながりがあったとは言えなさそうです。
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<千束の人工心臓は大丈夫?>
他の方の考察を見ていると、千束(ちさと)の人工心臓にギミックがあるのでは? という意見も多いようです。もちろん、私もその可能性は少し考えていますが……メタ的にはそこまで心配しなくてよいのではないかと。
・人工心臓が遠隔停止できるなら、〈殺しの天才〉を発揮しない千束はアラン機関に処分されてしまうのではないか?
作中の技術レベルを考慮するなら、ありえない話ではない。アラン機関には倫理遵守も期待できませんし。でも考えてみて下さい。
千束が苦労して不殺のポリシーを守り切る。
それを確認したどこぞの黒幕が、ポチっと千束の人工心臓のスイッチを切る。
千束、あえなく死亡。
こんな展開をリコリコのシナリオライターが書くと思います??? 論外のアンチクライマックスで、草も生えない。鬱話にすらなっていない。謎のパワーで復活するならまだしも、死んだままだったら暴動もんですよw
「殺人を犯さないと千束が処分されるので、吉松シンジは千束に殺しをさせようとしている」という説は、逆転の構図としては面白いです。けど、それならシンジは千束に何らかのタイムリミットを提示して然るべき。あるいは人工心臓が遠隔操作される可能性を匂わせるとか。肝心なことを何も告げずに「残念だよ……君には失望した」(ポチ)と勝手なタイミングで物語を終わらせにくる手合いだとは思いたくないなあ。
本気で千束に殺人を犯させたいシンジが、もし人工心臓に介入できるギミックを持っているなら、千束を脅すネタに使うべきでは? 実際に使うのは最終手段だと思っているにせよ、仄めかすぐらいしても罰は当たらないでしょう。あるいはミカにそれを告げたって良い。
演出なしに不意打ちで千束を処分したなら、満足いく物語にはなりません。伏線のカケラもない暴挙には出ないだろう、と思うぐらいはリコリコのシナリオを信頼しています。
・実は人工心臓には寿命があり、千束に残された時間は少ないのでは?
内部バッテリーが尽きちゃうパターンですね。もしそうなら、「難病もの」(最後に天国に旅立つ)のバリエーションと言えます。
千束「ごめんね、黙ってて。実はもう、わたしには時間がないんだ……」
たきな「なんで言ってくれなかったんですか!」
……リコリコのお話はこの展開とも違う気がします。そういう軸だったら、全13話しかないし、最初からそう色付けすると思う。(あとガンスリンガーガールと被る)
千束「人間、一生で食べられる回数は決まってるんだよ」(4話)、ミカ「千束が望む時間を与えてやろう!」(7話)などのセリフを深読みしすぎでは。
上記と同様、もし千束の寿命が限られていると千束自身やミカが知っているなら、どこかで千束の寿命について確認したりするシーンが出てこないとおかしいでしょう。(今後出てくる可能性はある)
※Recoilの意味
上に書いてきたことと違うじゃねーか、と突っ込まれそうですが。
「リコリス・リコイル」のリコイルrecoilには色々な意味があります。物語のイメージとしては第一に「銃の反動」を表してそう。ぎょっとして怯む、体を縮める、後ずさる、飛び退るなどの意味もありますが、そうしたイメージはリコリコには合ってないんじゃないかな。
ところで。多分関係ないんですが、医学用語でrecoilというと心臓の冠動脈が手術後に再び狭くなる「再狭窄」に関係してます。動脈壁が弾性的に元に戻って縮むのがリコイル。また、胸郭(肋骨で心臓や肺を囲むスペース)についても、心臓マッサージの合間に胸郭が膨らんで元に戻る”拡張”をリコイルと呼ぶそうです。
これが関係してくるとは思えない。きっと考えすぎだよ……脚本の人そこまで考えてないよ……
人工心臓の扱いについて個人的意見
人工心臓が作中でどういう位置づけなのかにより、考察の方向性は大きく変わります。リアルな人工心臓なら、現時点では病人を数日~数か月長生きさせるだけの代物。
リコリコの世界観だと、千束の能力を底上げするパワーアップアイテムとして便利に使われてる印象です。胸に手術の傷跡はなさそう。7歳頃から成長期に交換もせず10年も使ってる。魔法なのは、千束の回避能力ではなく人工心臓の方。シンジも、アランの才能の結晶とまで言ってるし。アラン機関にとって〈天才〉を支えるために必須のアイテムであり、彼らが〈天才〉の可能性を己から摘むような真似はしないのでは。
人工心臓には触らず、外部環境をお膳立てして千束を〈殺しの天才〉として導く方に権謀術数を使うのが、アラン機関としては正道でしょう。
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まだまだ書けそうですけど、そろそろ第8話が来ますね。
この辺にしておきましょう。