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2丁目に捨てられた美少年

こんばんは。

れふとで御座います。
本日は過去に出会った美少年のお話をシェアさせていただきたいと思います。

今はもうご結婚され、お子様にも恵まれている元アーティストになります。
絶頂期にはTV番組にも多数出演し、最早ただの売れっ子なくらい売れに売れていました。

その方は今でこそ、例えるなら…そう、
レキシのようなファンキーな見た目とコミカルなキャラクターで愛される方なのですが、
若い頃はそれはもうなんで?って言うくらい今とは異なり、
シュッとした見た目に深めに瞑るまたたきのその所作はhydeを連想させ、
一部のファンからはhydeみたい♪なんて呼ばれるほどに、美しい美少年でした。

あ、そうですよね。
もうこの時点でちょっと、面白いですよね。

hydeからレキシへの変貌の様はまたいつか、別の記事で書かせていただければ幸いです。
ポケモンが最終進化をしたら「え、思ってたんと違う…」って言うくらいの変化をご想像いただいても一向に構いません。


そんな少年ですが、私と同じように単独で状況をしてきた強者でして、
ただ、上京したばかりの美少年にはお仕事がありませんでした。
学歴もなく、言葉遣いも雑。しかし、彼には容姿端麗な見た目と、少し低めの身長。
そして、人懐っこい性格でとても愛嬌がありました。

そこで少年は考えたのです。
「見た目褒めれるし人懐っこい性格だし、新宿近いしオカマバーで働こう」
もちろん少年はノーマルで、むしろ女の子大好きなくらいの少年でしたが、
「っぽい」言葉遣いと所作をなんとなく覚え、オカマバーで働き出しました。

私が少年と出会った時はもうすでにオカマバーで働いていた時でした。

メイクと衣装を纏った少年はそれはもう女の子そのものにしか見えない程の美しさで、
オカマ先輩から大絶賛+孤独に上京してきたその生い立ちも手伝い、
可愛がられるエースとしてオカマバーを牽引する程の人気となりました。

少年は外ではバンド活動をしつつ、夜になればバーで架空の名前と見た目に扮する事で、
素性を知られる事なく、順調な上京生活を送っていました。

しかし、事件は起きてしまったのです。


秋も深まる11月中旬、
少年はいつも通り「っぽい」所作と高めの発生でお客様を楽しませ、
一緒にお酒を飲んでは荒い言葉遣いになる度にオカマ先輩から
「こぉらっ」なんて怒られ、
それさえも楽しい雰囲気としてお仕事をしていました。

その日、私は少年のお店で軽くオカマ達と戯れ、終電前にはお店を後にしました。
お家に帰ってからほろ酔いのまま作曲活動を開始し、明け方4時ごろ。
『あ、もう寝なくっちゃ生活リズムが狂ってしまう…』
と思い、時間を確認する為携帯を覗きました。

あれ、少年から着信が来ている…?

私は少し不安な気持ちになり、少年へ折り返したところ
オカマ先輩が電話に出てくれました。

『あの、着信があって折り返したんですけど、何かありましたか?』
オカマ先輩のこの時の言葉と、野太い声は今でも忘れません。
「あ、れふとちゃん。朝になってからでいいんだけどさ。あの子の事迎えに来てやってくれない?」
そういって、電話は切られてしまいました。

酔いつぶれた…?
お客さんと喧嘩とかしちゃった…?
怪我とかしちゃった…?

私は少し不安になりながらも、オカマ先輩が電話に出たと言うことと、
迎えに来てと言われたのがそのお店でした為、安心した気持ちで居られました。

そのまま寝ずに始発に乗って、少年を迎えに行ったところ、
お店の前に着いたものの鍵が閉まっており、中には誰もいなさそうでした。

あれ…?どう言う事?
私は意味がわからず少年の携帯へ電話をかけました。


あ、少し着信音が聞こえる…

音のなる方へ向かってみたところ、お店横へ続いていて、


お岩さん程の顔面をした少年が裸で手足を縛られ、ゴミ袋と一緒に震えていました。


た、大変だ…!
11月中旬の明け方に裸の少年が顔面を腫れ上がらせて転がっている…
私は少年に駆け寄りアウターをかけ、声をかけました。

「少年!大丈夫!?」

少年は気を失っていました。
救急車を手配し、病院へ搬送。

命に別状はないとの事でした為、彼の意識が戻り、
冷静を取り戻してからゆっくり、ゆっくり少年に話を聞きました。

酔いが回り、電話があった為に許可を得て電話に出たところ、
彼女からの電話だった。
その後、電話を終えて職場に戻ろうとしたところ、
オカマ先輩に「長かったわね。誰からだったの?ホラ、戻るわよ」と聞かれ
「あ、彼女っす。」と、
つい、
答えてしまった。

オカマ先輩の懐の深さ、人情の厚さ、信念の強さにはいつも心を揺さぶられ、
お店に行くたびに常に楽しい時間を提供いただき、
コンプレックスでさえ笑いに変えてしまうような、
そんなオカマ先輩を心の底から尊敬しています。

いつも笑顔で迎え入れてくれて、
歌を歌えば野太い声で雄叫びを上げ、
笑えば野太い声でガッハッハと笑い、
泣いた時だけ「えぇええんれふとちゃぁああん」
と謎にそこだけ女子っぽい所作で泣きついてくる。

そんなオカマ先輩が大好きでした。
つい数年前にも、あるTVに出演しているのをお見かけし、
少しだけ涙が出た程でした。
だからこそ、
そんなオカマ先輩だからこそ


嘘を付いていた事が、許されなかったのだと思うのです。



それから少年はオカマの道を断念し、
私が当時勤めていたコールセンターでバイトをしながらバンドマンとして正しく暮らしていきました。

とさ。



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