趣味の MATLAB ~ MATLAB Home とは
まえがき
極めて高機能であるにもかかわらず、環境構築はインストールするだけ、ライブラリの一部をアップデートしたら全体が動かなくなるようなこともない、ユーザーフレンドリーな MATLAB。
高度なシミュレーションも、Simulink ならブロックを繋ぐだけ、テキスト、Web 解析、マルチメディアファイルの取り扱い、機械学習・ディープラーニングもお手の物。
各種ドキュメントはシンタックスだけではなく、具体的なサンプルやアルゴリズム説明付き、多くは「ちゃんとした」日本語版もあり、無料チュートリアルも充実。
ガチなプログラマーでなくても、楽しくシミュレーション、GUI アプリの開発等が可能です。
MATLAB というと「プロ用で高い」というイメージで、Home 版があるのをまだご存じない方も結構いる感じがします。
Home 版はかなりリーズナブルな価格であるにもかかわらず、基本的にはプロ版と同等の性能・機能が提供されます。
また、最近、無料アカウントの MATLAB Mobile/Online でも基本 Toolbox が使えるようになり、MATLAB を持っていない人とのやり取りも便利になりました。
さらに、Arduino や Raspberry Pi 等用ハードウェアサポートパッケージも無料で提供されています。
MATLAB のライセンス形態
MATLAB には、通常ライセンス(プロ版)の他に何種類かのライセンス形態があります。
通常のプロ版はそれなりのお値段ですが、それ以外は結構お安くなっています。
それらを高い順に列挙すると
・スタートアップ向けサブスクリプション
・MATLAB Home(非営利個人利用限定)
・学生向け MATLAB
があります。
アカデミック用はめちゃくちゃ安いですし、最近は包括契約で使い放題の会社・学校も増えてきているようです。(うらやましい・・)
しかし実際は、そのような恩恵に与れない人の方が多いでしょう。
会社のライセンスで使える Toolbox が限定されており、自分が趣味でやりたいことができない場合もあると思います。
その様な方々に最適なのが Home ライセンスです。
自分も MATLAB Home を使い始めたのは、会社の予算締め付けで、その時の仕事内容と関係のない画像関係の Toolbox が使えなくなったことが理由でした。
MATLAB Home の特徴
MATLAB Home の特徴を以下に示します。
-非営利目的の個人利用限定
-MATLAB[17,050 円]、Simulink 含むその他 Toolbox[各 4,939 円]※
-買い切り Individual 永久ライセンス
-アクティベーションは2台まで 同時使用1台
-PC 間のライセンス移動は半年に1回まで
-1年間はプリリリース版を含めバージョンアップ(毎年2回)が受けられる
-1年を過ぎた後のサポート更新は、好きなときに半額程度で1年間の保守延長が可能
MATLAB[8,239 円]、その他 Toolbox[各 2,519 円]※
有効期間は月末締めで1年後の同月末まで(最大1年1ヶ月)
-新たな Toolbox を追加購入するには保守期間中である必要あり
-コード生成系等、いくつか提供されない Toolbox がある
-公式サポートはインストール、アクティベーション関係のみ
(ユーザーフォーラム、File Exchange は誰でも利用可能)
-Simulink のシミュレーションモードはノーマルモードのみ(高速モード非対応)
-Simulink モデルのブロック数は1000個まで
-MATLAB Online での使用はサポート期間のみ それ以外は無料アカウント扱い
(MATLAB Mobile は、サポート期間を過ぎても購入済み Toolbox 使用可能)
※ 価格は税込み価格(2023/7現在)
それなりの制限はありますが、個人レベルではほぼ不自由なく使えるかと思います。
MATLAB Compiler、MATLAB Coder がないのでコード生成・単体アプリ化ができませんが、Audio Toolbox があるので VST 生成は可能です。
あとがき
私は仕事では C++/C を使わざるを得ないことがほとんどなので、心のバランスを保つため、ほぼ毎日 MATLAB で遊んでいます。(u_u)
MATLAB のアップデートは全ライセンス形態共通で毎年3/9月中旬、そしてその3ヶ月程前には Prerelease 版が出ます。
Prerelease 版と言っても最近はかなり安定しており、普通に最新版として使えます。
処理速度が上がっていることも多く、最新機能が使えるので、私は基本的に Prerelease 版が出ればそれをメインに使うことも多いです。(Prerelease 版は正式版が出ると使えなくなります)
つまり、今買うと、R2023aと、R2023b Prerelease 版が使えます。
そして、Home 版は通常テクニカルサポートを受けられませんが、Prerelease 期間はサーベイとしてバグ報告・改善要求を通して MathWorks とのやり取りが可能です。
最近はサポート人員が増員されたのか、英語で質問しても日本語で返ってきます。w
つまり、かなりお得な期間と言えます。
ぜひ、MATLAB を趣味に取り入れてみてはいかがでしょうか?( ̄ー ̄)
タイトル画像モデル:甲斐佑里
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