夫の発達障害【夫の認識と伝わらなさ】
投薬や継続的な受診が必要であると医師からも言われているものの、
夫自身はやはり「俺は困ってない」「お前にしかそんなこと言われない」という認識なので、私自身の傷つきや困りごとをどれだけ懇切丁寧に伝えても、彼には伝わらなかった。
いや、彼への伝わらなさは、自覚のなさ以上に特性によるところが大きいのかもしれない。
私の知っている日本語が、日本語として通じない。
たとえば、彼は前もって準備することがほんとうにできない。
「○○日までに△△する」と具体的に指示しても、「わかった」という返事はあるのに実際には何も進まない、ということが常だ。
他の当事者の方にも通じることのようだが、この「わかった」というのが曲者で、私は彼のこの言葉に何度も惑わされた。
だって、私の感覚では、「わかった=了承して行動を変える」だから。
これは、「ごめん」も「急ぐ」も同じ。
私ならその言葉を発するとき、相手の意を汲んで、あるいは状況を鑑みて、行動を変える。
けれど彼は、言葉と行動がつながらない。「わかった」は「わかった」でしかないし、「急ぐ」のは彼の中の気持ちとして急いでいるらしいけれど、行動はいつもと変わらない。
いつだったかイライラして、
「あのねえ、急ぐって、時間を短縮させることだよ⁈」
と言ったら、腑に落ちない顔をしていた。
ああ、彼は現実世界とこんなにも断絶した世界にいるのか、と悲しくなった。
よく見聞きする通り、発達障害のある彼にとっては、自分の内側で起こっていることがすべてなのだ。
それ以外のことは察知するのが難しい。
「私は準備ができていないととても不安になる、強いストレスを感じるの」
と何度伝えても、彼には届かない。
言い方を変えても絵で伝えてみても、全然届かない。
「え? 私がつらいって言っているんだよ?」
私はとにかく混乱し続けた。
日常的な場面でもそうだけれど、
とくに、
・引越し
・挙式
・妊娠・出産
・マンションの売却
・臨月での引越し
など大きなことがあるたびに、私は発狂した。
おかげで最初の引越しでは私は号泣することになったし、
結婚式のことも、「私は○月は忙しくて手伝えないよ? やるなら今やって」と何度も伝えたのに、結局期限が来ても彼は何も手を付けておらず、すべて私がやらなければならなかった。
当然、私が担当になっていたものはとっくの前に片付けてあった。でもそれは、彼のためにではない。自分の大事な仕事のために、安眠のためにだ。
それなのに結局、私が守りたかったそれらは壊されてしまった。
不安で不安で眠れないまま挙式当日を迎えた私にとっては、彼との関係性でいえばいつ振り返っても全然いい思い出のないイベントになってしまった。
これに対し、
彼はおひらきになった後、参列者からの評判が良かったと上機嫌で、後々も挙式を「無事に終わった」ものとして認識していた。
私の労力は彼には見えないしなかったことになるし、「終わりよければすべてよし」なのだろう。
私は瀕死だったよ? あんな結婚式はもう二度とやりたくないし、あまり思い出したくない。
すごくすごくつらかった。
もっと安心して当日を迎えたかった。二人で。
こういう私の気持ちも、全然彼には届かない。
臨月の引越しでは、前の部屋の退去時刻5分前にようやく荷物を出すほどぎりぎりだった。
「今ストレスを感じたくないからほんとうにお願いね」
と事前に何度も何度も伝え、彼は、
「大丈夫。全部俺がやるから」
と言っていた。
それが実際は、徹夜で作業した。もちろん私も。
言葉が通じない。
彼との生活は、毎日毎日そんなことが山のようにある。