編集スキルを考えていたら5つの言葉になった
編集者って、なにができる人なんだろう?
これは人によって、答えが違ってくるのではないでしょうか。今や編集者は、さまざまな場所にいます。出版社だけではなく、Webメディアを担当する人もいるし、企業を編集する人もいます。
だけど、共通する要素はあるはず。編集者にはどんなスキルが必要なのか、言葉にしてみたい。で、ああでもないこうでもないと考えていたら、この5つの言葉が出てきました。
・企む
・引き出す
・導く
・つくる
・届ける
編集者の仕事のすべてを表しているわけではないだろうけど、考えを書いておこうと思います。
企む
「企む」とは、どのような情報を世の中に届けていくのか計画すること。コンテンツの企画立案だけではなく、メディア全体の戦略設計や、企業の情報発信の戦略設計も、「企む」に入ってきます。
企む内容は、誰も考えたことがないような斬新さだけが求められるわけではありません。目的を達成するために、どうような道筋をたどればいいのか、情報を整理する作業に近いのかなと。
「企」という漢字の成り立ちは、「人間が遠くを見ようとしている姿」だそうです。つま先立ちをして先を見ることでさまざまな考えが浮かんでくる。ずっと先の未来ではなく、ちょっと先。先を見すぎると、誰にも見向きされません。だから、つま先立ちくらいがちょうどいい。ワクワクするようなことを企んでいきたいなと、思います。
「企む」編集者の仕事例:
・コンテンツを企画する
・メディアの戦略を設計する
・企業の情報発信について戦略を設計する
引き出す
企むうえでは、インプットが重要な要素になります。そのために、個人や企業といった対象の魅力を「引き出す」必要があります。魅力をしっかりつかまなければ、どういった情報を発信すべきか、わかるはずがありません。
「引き出す」には、インタビュー能力が必須で、鋭い質問を投げるというよりは、相手の魅力をじっくり聴けるのが理想だなと考えています。
キラキラと光る原石があることを、当事者は意外と気づかないもの。編集者の働きかけによって、隠れていた魅力が表に出てくれば最高です。
「引き出す」編集者の仕事例:
・インタビューを行う
・雑談する、話を聴く
・魅力に気づいてもらう
つくる
編集力の基盤といえるのが、「つくる」です。ウェブ記事、動画、本、雑誌、マンガなど、あらゆるコンテンツ作りには、編集業務が発生します。企業の編集者であれば、導入事例やメールマガジン、ホワイトペーパーといったコンテンツ作りがあります。かなり幅広い。
当然のことながら、編集者1人でつくるには、質も物量も限界があります。コンテンツ作りために適したメンバーを集めるのも、編集者の仕事。
つくる作業は、しんどい。本当にしんどい。完成させるには、グッと没頭しながら、粘り強くコンテンツに精魂を込めて作業を進めなければなりません。深海に潜っていく作業。だけどあきらめてはいけない。「いいものに絶対になる」といった信念を、編集者は持つべきだと思っています。
「つくる」編集者の仕事例:
・ウェブ記事をつくる
・動画をつくる
・本や雑誌をつくる
・マンガをつくる
導く
編集者には、ここへ進もう!と旗印を掲げて、「導く」役割があります。どのような目的で、どのようなターゲットに向けて、どのような内容を発信するのか、旗印を明確にしておく。
コンテンツ作りでは、途中で迷い道に入ってしまうことがあります。そのとき、どんなメディアで、どんな目的があるのか、どんな内容になるのかといった情報を、各メンバーに何度も共有して、時にはチューニングしていく。
どこがゴールなのか、常に道のりを示す。編集者は、光を照らし続ける存在だと思います。
「導く」編集者の仕事例:
・進むべき道を指し示す
・スケジュールを管理する
・品質を管理する
届ける
コンテンツはつくって終わりではありません。どう届けるのか、狙いを定めて、施策を実行していかなければなりません。SEOやSNSの知見があることは必須。ただし、たくさんの人に見てもらえばいいわけではなくて、適切な人に適切な情報を届けることが大事だと思っています。
実際に届けることができたのか、分析力も求められます。定量・定性で、しっかり振り返って、次のアクションにつなげていく。好循環のサイクルに入ることを目指します。
「届ける」編集者の仕事例:
・SEO施策を行う
・SNS施策を行う
・分析を行って改善する
最後に…
さまざまな領域に存在する編集者のスキルを網羅するため、かなり抽象度の高い話になってしまいました…。ここは違和感があるとか、ここは編集の領域ではないとかいう意見もあるかと思いますが、編集スキルはまた考えてみたいテーマの一つです。
編集についての考えは、こちらにも書いています!