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接客ってなんなんでしょうね。

深夜のコンビニ店員の接客は二極化している。
途中までちゃんとしてるのに「ありがとうございます」は言わないタイプ。
はたまた、無言でレジを打ち始めたかと思いきや「ありがとうございました」は言ってくれるタイプだ。
後者は外国人店員に多い。

日本語をほとんど喋れないから、とりあえず「アリガトゴザイマシタ」と言っとけと店長から指導されているのかもしれない。
それなのに日本の店で働く胆力に尊敬する。
近所のコンビニに籍を置くアジア系の彼は留学生なのだろうか。
買い物の去り際、声を振り絞るように「アリガトウゴザイマシタ」と言ってくれた名も知らない彼に幸せが訪れますように。

何年も前のことだが、百貨店のいちテナントでアルバイトをしていたことがある。
そこは接客にえらく厳しいところで、お辞儀の角度、口角の角度、目尻の上がり具合などそれぞれに点数を付けて教育的指導を施してくる類の職場だった。
従業員の何人かは満開の笑顔でホスピタリティ溢れる接客をなさっていて、それは見ていて気持ちのいい素晴らしいものだった。
会社のガイダンスの狙い通りだと思う。
ただ、一方でそうなれない人も当然いて、その人たちの不自然な笑顔は客観的に見て狂気めいたものがあった。
彼らもきっと努力はしていたのだと思う。懸命に挑戦もしていた。
が、最後はある程度資質を必要とするようで、"そうなれない"彼らの笑顔は「不気味の谷」に近いものがあった。
それでも一定数喜んでくれるお客様がいらっしゃるのだから馬鹿にできない。ただ、きっとそうじゃないお客様もいたと思う。
働いていた僕でさえその空間は怖かった。

そういう場所にいたからかもしれないが、深夜のコンビニみたいに分け隔てなく他人に関心がない空間は妙に安心する。

あくまで個人的な感覚だけど、例えばちょっと良い店で買い物をした時に、店先で店員に深々と頭を下げられると一刻も早く立ち去りたくなる。
多分、僕が感謝されることに慣れておらず小っ恥ずかしさを感じてしまうからなのと、早くその姿勢を解いてほしいからだ。
特に後者に関しては、自分が客としてマイナスな印象で見られてた場合にどんな気持ちであの姿勢を貫いているのだろうと変に想像してしまう。
もし「さっさとどっかいかねえかな」なんて思いながら頭を下げられているなら本当に申し訳ない。
はたまた、一定数喜んでくれるお客様がいらっしゃるからそうしているだけで、特に何も考えていないかもしれない。
けど、その答えを知りようもないから怖い。

そういう意味で、世の中にセルフレジが増えてくれると僕は嬉しいのかもしれない。普段から積極的にセルフレジを使っていたわけではないけど、このnoteを書いてみてそう思った。
たしかに、それなら雑に小銭を投げ渡されることもないし、ピークタイムのせいでイライラした態度を向けられることもない。(僕はよくそういう目に遭う)
「自分の接客素晴らしいでしょ?」と同意を求めんばかりの笑顔で、こちらの心に土足であがられることもない。
一方で気持ちのいい接客に出会うこともなくなるが、買い物をしてもやもやした気持ちが残るくらいなら最後までひとりでいたい。

結局のところ、会社が求めるホスピタリティのために従業員は内心に蓋をする。けど、蓋をしているようでちゃんと随所に本心が見え隠れするから僕は違和感を持つのかもしれない。
もちろんサービスによって業種も形態も違うので一律に考えることはナンセンスな話なんだけど、それでもみんなが深夜のコンビニくらい割り切ったテンションでいてくれた方が、僕個人は客として楽だなあと思う。

一体、接客ってなんなんでしょうね。

LEEVELLES 髙木

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