藤沢でのプレゼンテーション高座を終えて
はじめに — 〈プレゼンテーション入門〉の楽屋口
2020年10月から2021年1月までの秋学期に,藤沢市にある日本大学生物資源科学部で〈プレゼンテーション入門〉なる講義を担当した.対象となる受講生は食品ビジネス学科の学部1年生で,受講者名簿には120名あまりの人数がリストアップされていた.学部の1年生ということはついこの間まで高校生だったわけだ.
緊急事態宣言が出るようなご時世なので,開講直前まで対面なのかオンラインなのかが確定しなかったが,けっきょく対面/オンラインの “ハイブリッド講義” をすることになった.非常勤先で “ハイブリッド講義” をするのは初めてだった.担当時間も本来は1コマ90分授業なのだが,変則的に60分に短縮され,2コマ連続で行なうことになった.しかも,講義とともに実習が必須だったので,事前の準備は手抜きできなかった.オンライン講義については毎回 zoom で行ない,録画ファイルは無編集のまま学内公開した.
先月つつがなく全15回の講義を終えて,全員分の評定成績を日大 LiveCampus システムに昨日登録したので,ワタクシのやるべき仕事はこれで完了したことになる.ワタクシは過去に大学教員を相手にプレゼンテーションに関するファカルティー・ディベロップメント講義を単発で担当したことは何度かあるが,学生相手の一学期15コマの連続講義は初体験だったので,以下に備忘メモをまとめておく.
高座の内容 — 講義と実習
今回の〈プレゼンテーション入門〉の講義内容については,ワタクシのサイト〈噺座〈M〉の一本道:舞台の袖で噺の修行をする日々〉で公開している(→ 「高座修行の倉庫」所収).おおまかな流れとしては下記のような構成にした:
プレゼンテーション概論
人前で話をするときの基本(1)
人前で話をするときの基本(2)
人前で話をするときの基本(3)
プレゼンテーション・スライドの存在意義
プレゼンテーション・スライドのつくり方
プレゼンテーションの組み立て方(1)
プレゼンテーションの組み立て方(2)
最初の「プレゼンテーション概論」では,何よりもまず自分が人前でどのような話し方をしているのかを自覚してもらうことを念頭に置いた.実習ではゼミごとのグループに分かれ,手持ちのスマホで自分の自己紹介トークを録画してもらい,自己評価をするというやり方を採用した.あとで感想を訊いたら,自分の話し方をこれまで自身で見たことがぜんぜんなかったという学生がとても多かった.灯台下暗し.ゼミごとに LINE グループをつくってもらって今後の実習で利用することにした.これでトークの台本やスライドもグループ内で共有できる.
続く「人前で話をするときの基本」では,聴衆を前にしたときの演者の “仁義” として,必ずコンタクトを取りながら語りかけるよう,基本の心がけについて解説した.原稿やスライドを棒読みするだけの「読むトーク」はいわば “補助輪” 付きの自転車みたいなもので,転ぶ心配はなくても,けっして大きく成長できない.本講義では,「読むトーク」ではなく,安全な “補助輪” をあえて外し,真の意味で「話すトーク」を目指そうという目標を設定する.最終回まで,この目標は繰り返し強調した.同時に,話すスタイルにはひとりひとりの個性がどうしても現れるので,むやみに “矯正” しようとして,見かけだけニュートラルな “アナウンサー的” な話し方を誰も彼もが身につけるのではなく,各自の個性を残したいわば “噺家的” なスタイルが実は自分に適しているとも指摘した.実習では,トークの時間を少しずつ長くして,台本を見ないでその場のアドリブで話をつないでいく練習を心がけた.
この講義では PowerPoint を用いたスライド作成実習は最初からやりませんと通告していた(ワタクシ自身 PowerPoint ではなく Adobe InDesign でスライドを組版しているので).だから,受講生は各自 PowerPoint のアカウントをもっていたので,必要に応じて自力でスライドをつくることになった.次の「プレゼンテーション・スライドの存在意義」では,トークとスライドとの関係について最初に解説した.ワタクシの基本スタンスは「チラっと見てわかるスライドがベスト」という立場なので,受講生にもとにかくシンプルでわかりやすいスライドをつくるように,そして,まちがっても壇上でスライドを「読む」ようなみっともないことはしないようにと強調した.実習ではトーク録画とともにスライドも提出させたが,見やすさの観点からかなり具体的に “添削” した.
次の「プレゼンテーション・スライドのつくり方」では,スライドの見やすさ・読みやすさに直結するフォントのユニバーサルデザイン(UD)と色使いのカラー・ユニバーサルデザイン(CUD)について講義と実習をした.予想していたことではあるが,UD と CUD については初めて聞いたという受講生がほとんどだったようだ.
最後の「プレゼンテーションの組み立て方」では,長いトークをする場合に,トークの台本とスライドの構成をうまく連動させると原稿なしでも話し続けられることを解説し,その実習をした.スライドに台本を “埋め込む” ための「記憶術」の技法がここで活用される.実習では3分間のトークをスライドとともに録画してもらった.
初めての科目,初めての大学,初めての “ハイブリッド講義” と今回の非常勤出講は「初めてづくし」だったが,大学側の技術的なサポートがあったことと講義補助のTAを配置してくれたおかげで,大過なく半年を終えることができたのは幸いだった.数少ない対面講義に積極的に参加した受講生はもちろんだが,最初から最後まで zoom の向こうでオンライン受講してくれた学生も毎回平均10余名,緊急事態宣言下の年明け以降は30名ほどいた.必ずしも十分ではない講義環境でよく頑張ってくれたと思う.
受講生の反応やいかに
最後のレポート提出時に,講義全体の感想を書いてもらったのだ.いくつか目に留まった受講生コメントを挙げておこう(文章は適宜編集).
特に印象に残ったことは、聴衆との繋がりを意識しながら話すということであった。今までは自分の話すべきことを丸暗記するという考えから、最低限のキーワードを持ちそこから話をしていくという意識を持てるようになった。またスライド作りも今までならいかに内容を詰め込んでいくかという考えから、誰でもどこでも見やすく、伝わるという意識を持つようになった。今後も本講義で習ったことを活かし、少しずつでもトークスキルを上げていきたい。とても興味深い講義をありがとうございました。
プレゼンテーションの授業で、トークやスライドのポイントを知ることが出来た。あらかじめ台本を作って読むのではなく、キーワードを何個か挙げて、そこからスライドを作り、トークは頭の中で組み立てて話すことに慣れることが出来た。授業で、日本とアメリカの演説を比較して、台本を読んだ演説はいかに感情が伝わらないのか、心を動かされないのかが分かった。スライドを作るときに、今までは大事なところを、赤で書いていたが、人によって見えない色があることや、色を多く使いすぎるとかえって分かりづらくなることを知った。適切なフォント、色、大きさでスライドを作っていきたいと思った。
私はリーダーのようなまとめ役の役割をしたことがなかったため、演説をする機会をほとんど経験しておらず、最初の自分の動画を見返すと、本当に見ていられないレベルだった。しかし最終課題の自分の動画を見ると、決して上手な訳ではないが、確実に上達していると思った。これから社会に出て行く上で、必要になってくる能力であるため、本当にこの講義を受講して良かったと思った。
これから大学生活でプレゼンテーションをするとなったときに使える知識を沢山学ぶことができて良かったと思う。可読性にもこれから十分気をつけようと思ったし、ゴシック体の方が読みやすいというのも学ぶことができて良かった。また、今までスライドの色使いなど気にしたことが無かったが、色が見にくい人にも見やすいようなスライド作りをこれからはしっかりと考えていこうと思う。自分は人の時間を頂いて話しをしているという意識を常に持ちながら、よりよいプレゼンをすることができるように先生に教わったことを十分に発揮していこうと思う。最後になってしまいましたが、私は対面で参加することが少ししか出来なかったのですが、zoomでしっかりと対応してくれて本当に助かりました。とても面白い講義で受講して良かったと心から思います。本当にありがとうございました。
プレゼンテーションというものを今まで何回か実践したことがあるため、スライドの作り方など基本的なことを教えてもらったことはあるが、トークの方法を細かく教えてもらうことはありませんでした。そのため、本講義での学びにより、将来するであろう就職活動の面接やプレゼンテーションなどで自分に自信を持つことができるのではないかと思いました。すべての課題を通じて、自分の癖や特徴を知るという貴重な機会をいただいたため、今後に活かしていきたいと思います。そして、なにより、対面授業で受講することができたことが嬉しかったです。約半年間ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
半年間という短い期間でしたが、ご指導いただきありがとうございました。難しい環境の中でしたが、講義室で講義を聴けて、とても勉強になりました。様々な事を教わりましたが、特に、「スライドとトークのバランス」の内容が印象に残っています。極力、字数を少なくすることが大事だということ。このことを、これからの大学生活、また、将来の仕事に生かしたいと思います。
最初に自己紹介を1分間話した時の動画を見返した際、台本を暗記しようとしていたため会話にボリュームがなく話題も展開することができず、30秒で終わっていた。また、台本もすべて書き込み、それを暗記していたため自信がなく緊張もしていた。私は1対大勢でのプレゼンの場合、意識をしてしまって自分の素を出すことより当たり障りのないアナウンサー的トークが多く、個性のない単調でつまらないプレゼンしかできなかった。そのため大学入試のAOでもプレゼンテーションの試験で不合格になり、この講義を受けるまでの半年間とても悩んでいた。しかし、講義を受けていくうちに自分の欠点が多く見つかり、少しずつではあるが改善していくことができ、最初と最後を比較したときに成長を感じられた。また、個性は直す必要がないとおっしゃっていただいたことで当たり障りのないトークでなく、個を出して大丈夫なのだと考えることができたのが最大の学びであった。今でも自分が録画した動画を見返すのは恥ずかしいが客観的にみることができるいい材料のため、今後プレゼンをしていくときも撮っていこうと思う。
私はこの授業を受けて更に、パワーポイントを作る力や話す力があがったと感じた。私の高校は総合学科の学校であり、自分で研究テーマを決めてパワーポイントを作って発表するという取り組みがあったが、その時にはまだ上手にパワーポイントを使いこなせていなかった。1枚1枚のパワーポイントに無駄が多く分かりにくく、説明をしても、パワーポイントが多く、結局何を言いたいのか分からないものになってしまっていた。しかしこの授業内でシンプルにまとめる方法や、キーワードを決めて台本を作っていくことで、簡易でわかりやすいプレゼンテーションとはどのようなものであるかが分かった。
授業を受ける前までは、人に伝わるプレゼンテーションについて全く知らないどころか、プレゼンテーションをする自分が全く想像できないぐらいであり、講義についていけるのだろうかなど不安に思っていましたが、実際の講義では良いプレゼンテーションについて「話すトークと読むトークの違い」や「スライドを作る際の留意点(UDやCUDなど)」を例に、わかりやすく詳細に授業を行ってくださったおかげで、自分がプレゼンテーションを行う際のやり方を具体的に想像・行動できるようになったと思います。とても面白い授業でした、ありがとうございました。
私は、プレゼンテーション入門を通して、話し方やスライドの作り方について学習し、今まで知りえなかった実用的な知識を学ぶことができた。この知識は、これからの人生において必要な知識であり、必ず実用する機会があるものであるため、履修をしてよかったと思う。これからは、達者な話し屋になるために、培った知識を自分のものとして、技術や能力の向上を図りたい。
授業を通して、プレゼンテーションのトークのコツやスライドの役割など学ぶことができたので、これからの授業や実習だけでなく将来就職してからも活かしていきたいです。毎回授業で分かりやすい具体例を使いながらの説明だったので、このトークやスライドは分かりにくい、好印象が残せないなどのイメージが分かったので実践でこのようにしてはいかないと理解できたので良かったです。短い間でしたが、ありがとうございました。
今回の講義を通して、プレゼンテーションというものが何なのかということがだんだんと分かってきた。私はずっと昔から大勢の前で話すことが苦手で大嫌いでした。最初の課題を行っていた時は一分間のトークなのにも関わらず、かなりの時間を原稿作成に費やしていました。そして動画を撮っているときはちゃんとそれ通りに読まなきゃと思いながら動画を撮っていました。しかし今の私は頭の中で話の構図を考え、それをもとにプレゼンテーションを作成する。そしてそのスライドを見ながらそこに書いてある文章に肉付けを行い、実際に口に出してしゃべれると思ったら一度撮ってみる。原稿を作成しなくても堂々と話すことができるようになったことをいまだに驚いています。またいつか人前で話すことになったら、今回学んだことを生かすことができたらなと思います。先生がよく言っている“壇上芸人”というものにいち早く近づけるようにこれからも努力していきたいと思います。
プレゼン入門の授業は数少ない対面授業の機会だったため、とても楽しみな授業だった。実際楽しかった。プレゼンは高校でもしてきたが、細かいところは無視してある程度でやってきた。その点、大学では細かいところを学ぶ機会があってよかったと思う。一番プレゼンに対しての印象が変わったのは、スライドは読ませるのではなくチラ見程度にするということである。今まではどうしても、自分もプレゼンする相手もスライドを読むという意識になっていた。この意識を変えられたことが今後にいきてくると考える。
プレゼンテーション入門を全8回受けて、人前でトークをする自信が生まれた。失敗してもいいやと少し気軽な気持ちで望むとあまり緊張せずに話すことができた。またスライドももっと凝ったものを作らなければいけないのかと以前までは思っていたが、一番伝えなくてはいけないことが分かれば、シンプルでいいんだとスライドを作るプレッシャーがなくなったので、良かった。これから、人前でプレゼンテーションをする機会は多くなると思うが、自己流の、聞き手が聞いてわかりやすいプレゼンテーションをしたいと思う。
これまでの講義を通して、自分自身の話すときの癖を知ることができた。私は人前で話すことが苦手で、最初は不安なこともあったが、成長できたことも多かった。今までに話の組み立て方やスライドの作り方など、プレゼンテーションを行う上で大切なことを学んできて、今までの自分のスピーチに欠けていたものがわかってきた。また、グループごとに発表することで同じ学科の人との交流にもなり、他の人のスピーチがとても参考になった。まだ自分が満足できるようなプレゼンテーションができるようになったわけではないが、これまで学んだことを活かして、より成長していきたい。
プレゼンは就職してから必要となってくることがあるということを聞いてこの授業を受講したけれど、自分の話し方の癖を見直してどういう話し方をするべきかとかパワーポイントをどれくらいの字数でどのくらいの大きさを使ったらいいとかこれからにとても役に立ちそうなことを学ぶことができたと思う。ずっとオンライン授業で受けていたため授業の雰囲気が分からないときもあったけれど、わかりやすい説明やフィードバックでしっかり理解することができたと思う。
今まで、自分は話すのが苦手だという固定概念があったり、自分の話し方、揺れ方があんまり好きではなく、良くないところだと捉えていたけど、この講義を受けて、自分の癖はなおすべき癖をなおせば、個性になるのだと知ることができたし、自分は話すことが意外と下手ではないのではと思うことができたので、自身にも繋がりました。スライドについても、文字の大きさ、フォント、色、どんな人でも見やすいデザインということを心がければ、伝えたい情報が伝わると知ることができたので、今後に活かしていきたいと思いました。
講義全体を通して、話す力が少しずつ身に付いてきた様に感じられる。また聞き手にとって分かりやすいスライドを作れるよう、意識する事の大切さを学んだ。更には自己評価や先生からのアドバイスにより、次回に繋げる努力をする事が出来た。対面授業に参加出来たのはほんの数回だけでしたが、とても楽しく分かりやすい講義でした。友人達の前で自分の意見を述べるのは恥ずかしいと感じる場面もありましたが、それも回数を重ねる毎に薄れていき、周りの意見も聞けるためとても充実した時間になりました。家での受講はどこか寂しく初めは一人で撮影する事に違和感を感じていましたが、限定
コメントでのアドバイスもあり頑張ることが出来ました。半年間有難う御座いました。
対面で講議を受講した時は、パワーポイントの技術でなく、話せることをメインとした内容なのかと驚きました。ただ、今までの経験上、スライド系は、人間ある程 度のコツを捉えられれば中々良いものが出来ることに 対し、話すことが上手な人は、より引き込まれる何か があるのだろう、と思っていたから学べて良かったな と思っています。私は正月明けの講義は、リモートで受義させて頂いたのですが、対面とリモートでは得られるものが違うことが実感できました。私自身は親しい人と話すときは相手の目を見て話すように心がけているので、ふだん他人からはどう見えているのかがよくわかりました。自分が話しているところを撮影して改善するような機会はめったにないから、貴重な経験となりました。
私は、普段自分の話し方やジェスチャーなどを意識したことがなかったため、プレゼンテー ション入門で毎回動画を撮ってそれを見るというのが、新鮮で非常に興味深かったです。 三中教授の授業は毎回ためになる話ばかりでとても面白かったです。 私が特に印象的であったのが、「読むトーク」から「話すトーク」へという事です。私は今まで、事前に台本を作ってその台本通りに話すことしかしてきませんでした。 しかしながら、三中教授の言うようにいくつかのキーワードだけを事前に絞り出して、本番はそのキーワードだけを便りにして話してみるといつもとは違って、より相手に伝わって いるな!というのを実感しました。こういったことが「話すトーク」の長所である“聴衆と リアルタイムでつながっている”ということだと気づきました。
そして何より、以前と比べて人前で話すことへの抵抗が少なくなったことが一番大きいな と感じました。私は今まで人前で話すとなると、緊張してしまって思うようにいかないこと が多かったため、人前で話すということが非常に苦手でした。しかし、「話すトーク」を意 識することによって、台本通りにいかなかったらどうしようという不安感が消えたため、緊 張が和らいだ気がしました。このようなことから、「話すトーク」の大切さを改めて感じる ことができました。 オンライン授業ということもあって、まだ人前でプレゼンテーション発表をしたことはあ りませんが、今回の授業を通して学んだことをしっかりと生かせるような発表をいつかし たいなと思いました。
プレゼンテーション入門の講義はとても参加しやすかったように思う。対面の授 業も、ゼミのみんなで固まることができて、楽しく授業することができた。なかなか友達に会えずにいたが、この授業で大学で唯一友達になれたゼミの子たちに会えて、 お互いに高め合える関係にもなれてよかった。 もちろんこの講義を通して、プレゼンテーションの知識もたくさん得ることができた。プ レゼンなどの人の前に出る場所では、きちんとしてなくてはいけないと思っていたけれど、 もっと自分らしくプレゼンしてもいいのだなと思うことができた。課題も動画をとって自 分で反省することができ、自分のためになるし、とてもいい授業だったと感じている。この 講義で学んだことを活かして、これからのプレゼンにも挑んでいきたいと思う。
プレゼンテーションというものはただ人前で台本を見ながらだらだらと喋るものではないということに気づかされました。最初のころは台本がないと頭が真っ白になってしまい、自分が何を話したいのかが分からなくなってしまうこともありましたが、最後のほうはキーワードで話すということを教えていただき、自分の頭の中で話を構成しながら話せるようになりました。トーク台本とキーワードを行き来することがとても重要であり、スライドなしでもトークできるようにする覚悟が必要であるということが分かりました。今後、大学生活や就職活動、就職後もプレゼンテーションをする機会は多々あると思うので、この講義で学んだことを生かしていきたいです。
私は、高校の時は陸上部に所属していて、部内で最上級生になると、1日の練習の総括として、誰か一人が部員全員と先生の前で話すというのを、ローテーションで回すことや、自分の競技についての技術的なことを、プレゼンするということを部活の中でやってきたため、トークに関してはそこそこ自信があった。しかし、今までは自分が話している様子を動画で見直すという機会がなかったため、実際に見てみると「目線」「ジェスチャー」「間の取り方」など、自分の欠点をたくさん発見することができた。また、高校の時にたくさん人前で話す機会を与えられたことによって、「話すトーク」というのを知らぬ間に習得することができていたので、先に挙げた私の3つの欠点も、場数を踏むことで徐々に克服していきたいと考える。以上のことから、私にとってのこの講義での最大に学びは、自分の弱点を発見できたこと、そして「目線」と「ジェスチャー」がトークに与える影響力を知れたことである。
スピーチとは、話すだけで上手いか下手かの違いだと思っていたが、初め授業で「話し方には個性がある」と聞いて驚いた。また、声がこもっていて滑舌が悪かったり、フィラーを使いすぎるなど話し方と、髪の毛を触ったり、話している最中は手が動いているなどの行動の癖を知ることができた。そして、授業を受ける前は台本を見ずに話すことは出来なかったが、全8回の授業を通して台本を見ずに話すことができるようになった。今後の課題としては、瞬時に言いたいキーワードを入れ、言葉に詰まらず、流れの良い文章を作れるようになることである。
あらためて読み返してみると,受講生それぞれが何を学んでくれたかがよくわかる.
おわりに — 〈プレゼンテーション入門〉の大団円
成績登録が完了した昨日,受講生には次のようなメッセージを Google Classroom から送信した:
受講生のみなさん 三中信宏です.
先ほど LiveCampus から〈プレゼンテーション入門〉の成績登録を完了しました.これにて日大での私の仕事は終わりとなりますが,せっかくですので最後に一言.
受講生のみなさんには毎回レポート課題を提出していただきました.各自の反省点メモを拝見していると,多くの受講生が「自分は話が下手だ」と思い込んでいるのは意外でした.手元に残っている動画を最初から通して見ればわかるように,みなさんは着実にトークがうまくなっています.これはまちがいないです.私は教員の立場から提出動画をひとつひとつ “絶対評価” してきましたが,回を追うごとにみなさんのクォリティが向上していることに驚きます.
短い期間でしたがどうもありがとうございました.私がみなさんの前で話をすることはもうありませんが,今度はみなさんが聴衆の前で話をする番です.これからも “噺家” としての修行を怠らないよう頑張ってください.
ワタクシが日本大学でこの講義を開講することは今後もうないので,今年の受講生は文字通りの “一期一会” だった.彼ら彼女らはまだ1年生なので,これからの長い学生生活の間に,それに続くさらに長い社会人としてのキャリアの中で,人前で “トーク(噺)” をする機会がきっと何度もあるだろう.幸いにして,多くの受講生たちの “補助輪” はすでに外れているようなので,今後は壇上の “噺家” として自由に大きく成長してもらいたいと願っている.