イメージを形にすること
人の絵を見て「こんなふうに描きたいな」と思うがーー描けない。
それはなぜか。
いくつか原因があるが、最も大きな原因は必要な要素を把握できていないことだと思う。
例えばおかずを食べて「この料理を作りたい」と思ったとき、材料や分量、調理方法、調理のコツ、仕上げに必要なものなどを把握して、正しく行わなければいけない。
絵も同じで、その絵を描くのに必要なのは、線の勢いはどれくらいなのか、どのような抽象度で線画をデフォルメしているのか、色使いにはどのようなルールがあるのか、バルールはどのように調整されているのか、などを把握することが第一歩なのだ。
さらにそれを実行するための技術がいる。
ただ、イメージを100%絵にするのは、相当難儀なことであろう。
それができずに生涯を終える画家は、過去にもたくさんいたはずだ。そして未来にもたくさんいるはずだ。
それが私にできるかが問題である。
逆に、イメージのレベルを下げるという方法もあるかもしれない。
自分のスキルを把握した上で、まあ、これくらいならイメージに近い感じで描けるよね、という落とし前を見つけるのだ。
理想を追い求めることと、上手に諦めること。
そのバランスを見極めることも、また、絵に必要なスキルの一つかもしれない。