『蜜豆の森』~コトリノ.1 / ショートストーリー
このお庭はすきだな。
お部屋は箱でいっぱいだし、お友だちもまだまだ。
昨日も今日も、わたしはこのお庭の、この木といっしょに遠くを見てる。
たくさんのおうち、かべ、道。
橋の向こうにみどり、みどり、緑が見える・・・
「やあ、いらっしゃい。食べにきてくれたんだね。
さあそこへすわってね、ようこそ森へ。
森というほど大きくないけど、町の中ではりっぱな森さ。
木の実草の実、畑の実り、海に浮かべてさあどうぞ。」
手の中に、銀の、紙の、舟みたいなおわん。
つやつや黒みつの海の中に、小さな大きなかんてん島。
ぷるぷるそのまた間には、お日さまみかんに白まるおもち。
「きれい。
とってもきれいね。食べてもいいの?わたし。」
「どうぞ。
作ったんだよ君に。みんなでね。」
銀スプーンにのった、つやみつかんてん、みかん、おもち、いのちの実りの赤の豆・・・
「ああぁおいしかった。」
「それはよかった元気は出たかい?」
「ここがどこだか知らないけれど、うちまで走って帰れるよ。
ここは森のお店なの?」
「ここは君が庭から見てた、緑の、星の、森。」
「お店でないの?
もうこれ食べられないの?」
「食べられるとも。
作ればいいんだよ、君が。」
「どうやって。」
「どうやって?
知ってるはずさ。
君、いやみんな、君たちは。
海、島、畑もお日さまも、いつもいっしょなんだから。
みんなひとつなんだから。」
黒みつ、かんてん、白まるおもち、どこでどうして生まれるの?
わたしにだって作れるの?
お庭についてひと息ついて、にぎった右手を広げてみたら、小ゆびくらいの銀スプーン。
「ごちそうさまでした。ありがとう。」
おいしい、おいしい、いのちのみつ豆。
☆800字でしたので、説明少なめです。
なぜみつ豆を書こうと思ったのか等、あと書きをと思っていますが、ご感想や、わかりにくいところなどありましたら、お聞かせいただけるとありがたいです。
ひと言でも、どうぞお気軽に。
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