自尊心だけは凄い男の話

最近は大卒や大学生ホストも多いが、昔は今より少なかった印象がある。
ちなみにわたしは相手の本質的な部分の頭の良さを見たいので、学歴は１つの目安でしかないと思っている。

大学自体もピンキリだし、名門と言われるところだって学部によっては微妙だったりもするし、社会に出てしまえば本当にただの目安でしかない。
学歴がなくとも優秀な人はたくさんいるし、学歴通り優秀な人ももちろんいる。
ただそれだけのことである。

数回指名してたホストが、自分が大卒であることを鼻にかけて自慢するタイプの男だった。
こう言っては悪いが、大学名を聞いておどろいた。
無名ではないと思うが、鼻にかける程か？
(日東駒専以下)

何故指名したかと言うと、なんか良さそうに見えたとしか言いようがない。
全てはわたしの不得の致すところである。(大袈裟)
完全に失敗だった。

お姉さまの本担(1番通っている店の担当)が居る店だったため、担当選び失敗したわぁ、と思いつつも何度か顔を出すことはあった。
お姉さまと飲みたいのだ。

数回通ったある時、毎度毎度酒盛りで大騒ぎではあったが、特に飲酒量が酷いことがあった。
海賊みたいな飲みっぷりだったと後日お姉さまから聞いた。
有り得ない量の飲酒をしており、途中で潰れた。
店から出た時の太陽が眩しすぎた記憶がある。
(当時は夜中〜朝までの営業、時には昼まで営業していた)

事件ははその後起こった。
どうやら、売掛を作ったらしい。
ブランデーが入っていたらしいのだが、記憶が無い。
了承した覚えもない。

お姉さまが指名の担当に確認してくれたが、手付かずのブランデーが1本入っているとのことだった。
酒を飲みまくってる席で、入れた酒は必ず飲みたい主義のわたしが一滴も飲まない状態の酒を入れるはずがないのである。
どうやら潰れてる間に勝手に持って来られ、売掛にされたらしいことが判明した。

「身に覚えがないので払いません」と伝えてしばらくすると、何故か闇金風の2人組が家に来た。
わたしの担当が借金をしていて、支払いが滞っているので、わたしに売掛分を返済分として払えと言う。
とばっちりにも程がある。
しかも担当にはかなり強力な店エース(その店で1番お金を使う客)がいるし、普段からお金に困ってる素振りは一切なかったので、回収を頼んだのだろうなと思った。

そんなものにビビる性質でもないので、速やかに警察に通報して闇金風は無事撃退出来たが、根本的な問題が解決しておらず、「裁判する」などと言い出したので、それなら出るところ出てやるよ、と弁護士さんのところへ相談に行った。

全てを弁護士さんに委ね、経過報告だけ電話で知らせて貰っていた。
裁判の日、弁護士さんから電話が来た。
何故かずいぶん楽しそうだった。

「あのね、お相手ですけど…1人で来ましたよwww」

民事の簡易裁判なので、弁護士をつけないケースも多いだろうが、こちらは弁護士をつけていたが、彼は1人で現れ、恐らく弁護士さんにこてんぱんにされたらしかった。
「大学で法律を学んだ」などと言っていたのが弁護士さんのツボに入ったらしかった。
(弁護士さんはちょっと変わった人だった)

おかげさまでこちらの主張は認められ、支払いはしなくていいと言うことで一件落着したのだが、お姉さまの担当には一言お詫びでも入れようと電話をかけてもらったところ、
「あいつが悪いからなーーーんも気にしてない！
バカだよねwwwこの期に及んで大学大学言ってるよw」
とのことだった。

以降、しばらくはその大学名を聞くだけでもそいつの記憶が甦り、「俺は大卒なんだ」とドヤる顔が浮かんで何とも言えない微妙な気分になったのである。