一つ目の鏡 -幼稚園時代-

自分を鏡として映し出す。その一歩として、自分史を振り返ってみようと思う。自分史を振り返ろうと思ったのは、その時々どのようなことを思ったのか、何が原因で今の自分が存在してるのかを明らかにするためである。

もう今年22歳、幼稚園の時を振り返ろうと思うと二十年くらい前の話になる。ほぼ覚えてない記憶だらけであるが、今では自分には欠かせない存在、幼馴染との出会いがあったということだけはいつまでたっても忘れられない。

両親が共働き、上に二人兄がいたということで、私は生まれてからすぐに保育園に入った。家の近くにあった、保育園では約二年ほどお世話になったあと、朝鮮学校付属の幼稚園に入園した。その時から私は、幸運にも日本にいながら韓国語を学ぶ環境にいたのである。学費も安くない朝鮮学校に、在日韓国人としてのルーツを受け継ぐために、入園させてくれた親には感謝してもしきれない。

三歳から朝鮮学校で学んだおかげで、自分の中にしっかりと在日韓国人としての軸が今も、これからもあり続けると思う。もう一度親に感謝したいと思うのと同時に、兄弟三人ともに朝鮮学校に通わせてくれた親のことをとても尊敬している。

少しそれてしまったが、幼稚園の話に戻る。

幼稚園のころ覚えている話は、幼稚園内での相撲大会と、運動会だ。

通っていた幼稚園では、毎年一度、恒例の相撲大会があった。ひと学年が15人いた中でおそらく男女別に順位を決める、そんな大会であった。幼いころは、常に学年の中でも背の順では一番後ろに並ぶくらい背が高いほうであった。

おそらく、五歳のころ、年中のころであったと思う。自分よりは背の小さい女子との対決があった。そこで私は、予期もしない負けを経験したのである。その場で私は大泣きしたのであった。全学年の幼稚園児がいる中で大泣きしたのである。今でも幼稚園時代のアルバムを見るとその泣き顔のブサさには笑いが出る。それまではあまり、勝負を経験したことがなかったのかもしれない、いや、負けを経験したことがなかったのかもしれない。おそらく負けのくやしさから大泣きしたのであろう。

次は運動会。五人一組、または四人一組で走る徒競走が一番のメインイベントであった。その当時私は、自分で言うのもなんだが、めちゃくちゃ足が速かった(笑)。その速さから、私はほかの女子が女子同士で走っている中、男子四人、そして女子一人のなんともアンフェアな組で走らされたのである。その結果は詳しくは覚えていないが、少なくとも上位二位は死守したと思っている。そのころはさすがに泣きはしなかったが、男子と走らせられるくらい足が速かったことを誇りに思っていたのかもしれない。

このころの私を一言で表すと、’’やんちゃな男の子’’ であったと思う。負けず嫌いで、靴下はいつもレンジャーもの、家ではままごとよりも兄とサッカーをするくらい超がつく活発な女の子であった。それもそのはず、唯一親に習わされたピアノも好きになれず、家でもほとんど練習をすることなく、月謝だけむだにしてしまった。(笑)

今考えると、上二人のお兄ちゃんがいたから、子供のころから負けん気が強かったかもしれない。二つ上のお兄ちゃんとは毎日大ゲンカしつつもよく遊んだ。サッカーはもちろん、家の中でボクシングなどもしてつねにスポーツをしていた。お兄ちゃんと常にスポーツを通し勝負をしていたおかげで負けに対する抵抗が強くなったのかもしれない。というのもお父さんお母さんともに負けず嫌いで、長男次男には勝つことの楽しさを教えたのだろう、それがこの末っ子娘にも移ったということであろう。

幼稚園の自分を振り返ってみると、無邪気で、負けず嫌いで、運動大好きな活発な女の子であった。

そんな中でも唯一怖かったこと。それは迷子になることであった。実際に迷子になった経験はないものの、なぜか迷子になることが怖かった。スーパーに行って、お兄ちゃんはお菓子コーナーに一直線のところ、わたしは、いつもお母さんと離れないようにしていた。

幼稚園で千と千尋の神隠しを見てた時、お父さんとお母さんが豚になるシーンを見た瞬間、大泣きして、違う教室につれていかれたことはいまでも忘れられない。

私は昔からお母さんのことが大好きだった。三人兄弟末っ子一人娘ということもあって、溺愛されてきたかもしれない。それが過保護の時もあるが。(笑)

お母さんの娘に生まれてよかったということは今までも何回も思ってきたし、これからも思うことだろう。お母さんは自分と似てるところがある。きっちりしてて、せっかちで、負けず嫌いで、根性があるけど、優しい。あ母さんとは姉妹のような感覚である。なんでも話すし、一番の理解者だ。

まとまりがないが、もう一度、幼稚園の頃の自分をまとめると、家族から十分に愛を受けて、無邪気に、活発に、負けず嫌いむき出しなパワフル女の子であった。



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