【トラック編③|800m/1500m・3000mSC】2024年上半期振り返りまとめ|創価大学駅伝部
本記事は、先に投稿した【トラック編①|3000m/5000m】および【トラック編②|10000m】の続きです。未読の場合は、これらの前記事も併せてご覧いただければ幸いです。
【トラック編】は分量が多くなってしまったため、note上では以下の通り三分割しております。
トラック編①|概観および3000m/5000mの結果とまとめ→【前々記事】
トラック編②|10000mの結果とまとめ→【前記事】
トラック編③|800m/1500m・3000mSCの結果および全体のまとめ→【本記事】
本記事【トラック編③】も1万文字超える長文となりましたので、以下の目次から気になる項目だけでもご覧いただければ幸いです。
※尚、図番号は前記事からの連番になっております。
3. 中距離精鋭の進化:800m/1500m、3000mSC|関東ICでの大活躍と日本選手権
ここからは、中距離種目(800m・15000mと3000mSC(3000m 障害))について観ていきます。(尚、3000mも本来中距離カテゴリーかもしれませんが、5000mのスピード強化のためというコンテクストにあると捉え、本稿では【トラック編①】に組み込んであります)
昨年度からトラック種目を観るようになったので、それまで三大駅伝(とその予選)だけを観ていた時には、創価大学駅伝部で中距離種目を主戦場とする選手が在籍していることをそれほど認識していませんでした。そして、今年から現地観戦・応援をするようになって、これら中距離種目の魅力・面白さを少しづつ理解できるようになってきたのが実感です。まぁ、早く勝負が決まる、というのも単純にその一つの理由ですが…。
現在(2024/7末時点)創価大学駅伝部に在籍中で800m/1500mを主戦場とする選手としては、
・濱口 直人④選手、三坂 佳賞③選手、齋藤 一筋①選手
3000mSCに出場する選手としては、
・黒木 陽向③選手、齊藤 大空②選手、野尻 七星①選手
という認識です(もし、漏れ等あれば認識不足ですので申し訳ありません)。
これらの選手が2024年上半期に出場した選手権レースごとに以下振り返りたいと思います。(レース動画などの埋め込み多めですので、もし記事が重い等ありましたらコメント等でお知らせ下さい。)
まずは関東インカレ(第103回関東学生陸上競技選手権大会)から|SUET公式結果のリンクを先に置いておきます。
・800m@関東インカレ|濱口④選手の2位表彰台と齋藤一①選手の8位入賞
関東インカレ男子2部800mには、濱口④選手(PB 1:51.82)と齋藤一①選手(PB 1:52.12)が出場しました。濱口選手は予選2組を2位(1:53.52)・準決勝1組を2位(1:53.88)で通過し、齋藤一選手は予選3組を2位(1:55.00)・準決勝2組を3位(1:56.86)で通過し、共に決勝進出を果しました。
800mは駆け引きを経てラスト勝負できわどい着差になることが多く、現地や配信で観ていてもゴール直後には結果が分からないことも良くあったのですが、特に齋藤一選手の準決勝では(結果的にタイムでも拾われなかった)4位との差が0.01秒ときわどい決着となりました。
関東インカレ最終日のトラックはYouTubeでの配信がなかったので、800m決勝の模様は、現地から速報した動画を以下のXポストからご覧いただければ幸いです(申請してコンコースから撮影してますので遠く、手ブレがヒドいので酔いやすい方はご注意下さい)。
いつも通り後方から伺う濱口選手と少し前方外側に付ける齋藤一選手。集団で1周400m通過は59秒と明らかに勝負重視のレース。ラスト1周の鐘が鳴ってからペースがあがり、濱口選手はバックストレートで先頭を伺う位置へ上がり、ラスト100mは3位付近で激しく競る。少し後方に離された齋藤一選手も懸命に追う。ゴールに向けて選手が3・4レーン辺りまで広がり、濱口選手はもつれながらのフィニッシュ。現地で観ていても(まぁ、遠かったせいもありますが)「どうなった?!」という印象でした。それもそのはずで、結果は以下の通りで、2位から4位までが同タイム(1:54.52)の着差あり(9ms(ミリ秒)差)という僅差での決着となりました。
1500mにも出場して予選(5/9(木)・決勝(5/10(金))を走った後に、800mで5/11(土)の午前に予選、午後に準決勝を経た濱口選手は4日連続で通算5本目のレースとして5/12(日)昼に800m決勝に臨みました。まさに座右の銘である”命を削る”走りで2位表彰台を獲得しました!齋藤一選手の8位入賞と併せて堂々のW入賞を果たしました!齋藤一選手は高校時代にすでに関東インカレの参加標準Aを突破している逸材ですので、今後が期待されます。
・1500m@関東インカレ|濱口④選手の3位表彰台
関東インカレ男子2部1500mには、濱口④選手(PB 3:44.35)、三坂③選手(PB 3:50.58)、齋藤一①選手(PB 3:48.43)の当初3名がエントリーしましたが、三坂選手と齋藤一選手はDNS(棄権)。濱口④選手は5/9(木)の予選1組を5着・3:49.98で通過して、翌5/10(金)の決勝に臨みました。
決勝レースは、400m通過1:04(64秒)、800m通過2:13(この400mは69秒)と明らかに勝負重視のゆったりしたペースの中、濱口選手はいつもの通り集団最後尾から後方で進めます。残り一周の鐘と共にペースが上がり1200m通過は3:12(この400mは59秒)。濱口選手は最終コーナーで徐々に順位を上げ、それでもラスト100mの直線に入った時点でもまだ7・8位の入賞ライン。そこから怒涛のラストスパートで、少し抜け出した立教と青学の選手には及ばなかったものの、激しい3位争いを勝ちきり見事に表彰台を獲得しました(3:54.04)。
・3000mSC@関東インカレ|黒木③選手の優勝と齊藤大②選手の3位でW表彰台
関東インカレ男子2部3000mSCには、黒木③選手(PB 8:53.53)、齊藤大②選手(PB 8:58.90)、野尻①選手(PB 9:03.75)が出場しました。
黒木選手は予選2組を1位(8:59.45)で、齊藤大選手は予選1組を2位(9:05.23)で決勝に進出を決めました。野尻選手は入学以来、絆記録挑戦会(4/6|9:30.30)、法政大学競技会(4/21|9:24.62)を経て関東インカレでは予選3組では9:12.20と上げてきましたが組6位でタイムでも届かず惜しくも予選敗退となりました。先輩の 齊藤大選手も1年時には惜しくも予選敗退を経験し(後述の通り)今年は3位入賞を果たしておりますので、野尻選手も是非来年はリベンジを期待しております。
男子2部3000mSC決勝の模様は(当日はYouTubeライブ配信ありませんでしたが)以下の日テレSportsのYouTubeに収録されております。
レース序盤から黒木選手が先頭を引っ張り齊藤大選手が続くワン・ツー体制を築き、そのまま1000m通過は黒木選手先頭で2:54。その後、齊藤大選手が先頭に立ち2000m通過は齊藤大選手が先頭で5:47。その直後に黒木選手が先頭に立ち、同郷で同学年の関東学院大・緒方選手を交えた3人で抜けだす形に。黒木選手は残り2周で2人を引き離し、そのままフィニッシュして8:41.24のPBでの優勝!(約12秒更新)。齊藤大選手は緒方選手には引き離されたものの3位でフィニッシュし、こちらも8:51.34のPB!(約7秒更新)。
レース後の黒木選手へのインタビューで明かされた、”最初から(牽制せず)ハイペースで行く、最初の1000mは黒木選手が引っ張り、次の1000mは大空選手が引っ張って、最後は意地で戦おう”という二人で決めていたレースプラン通りの展開になりました。このプランを着実に実行できたのは、黒木選手・大空選手ともにこの1年間でベースとなる走力を上げ、直近4月には黒木選手は5000mで、大空選手は10000mでPBを更新するほどに仕上げてきたからに違いありません。黒木選手曰く、昨年は悔しい3位で今年は優勝しか考えていなかったと。同じく今回3位で悔しさもにじませる大空選手の来年に期待です(あ、黒木選手も来年4年生なんですけどもね)。
・日本選手権に濱口④選手・黒木③選手が出場!|U20日本選手権では齋藤一筋①選手が8位入賞
第108回日本陸上競技選手権大会(6/27-30@新潟|SUET公式結果)に、濱口 直人④選手(1500m)と黒木陽向③選手(3000mSC)の2名が出場を果たしました。
(陸上日本選手権に現役生が出場するのは初の快挙!?と思っていたのですが、調べてもちょっと分からず…。何かと勘違いしている?|ご存じ方がいましたら、ご指摘いただけると助かります|SUET公式を検索するとU-20は毎年誰か出場しているけど、年齢制限が無い方は…。あ、クロスカントリー競走(これも日本陸上選手権大会の範疇)10kmには葛西選手と三上選手が出場(2022.2.26)しているけれども。旧アメブロでも見つからない…|閑話休題)
男子1500m1組(6/27)は、400m通過1:00(60秒)、800m通過2:04(この1周64秒)と進み、この後から濱口選手は集団からこぼれ始める苦しい展開で
15着(3:57.49)となり、残念ながら決勝進出はなりませんでした。直近の日本学生個人選手権大会(6/14)でも9着(3:59.53)とやや精彩を欠く形となっており、教育実習の影響で練習が詰めなかった(とされる)影響が大きかったでしょうか。以下に引用するご本人のXポストの通り、リベンジを期待したいと思います!(でも、学生時代に日本選手権に出場を果たすこと自体が素晴らしいことには変わりありません)
男子3000mSC決勝(6/27)では、この大舞台でチャレンジャーとして攻めの走りを貫いた黒木選手が8:39.30でPB更新・創価大学新記録を達成しました(13着)。前創価大記録保持者のOB・新家裕太郎選手(愛三工業)とトップを並走する場面もあり、かなりの胸アツでした。新家選手はいつも通り積極的に先頭を引っ張り、最後の障害を越えた時点ではトップに肉薄する展開も惜しくも3位(8:25.45)。昨年の日本選手権6位(8:34.92 PB)からのこの1年間オリンピック出場を目指して日本GPレースでPB更新を続けた(2024GPランキングは1位)のは立派です。
日本選手権と併催されたU20日本陸上競技選手権大会には、1年生2名が出場しました。野尻①選手は3000mSC決勝で15位(9:16.84)となり、齋藤一①選手は1500m予選2組を3着(3:48.43)で通過し、決勝では3:48.85で8位入賞を果たしました。PBの3:48.19に迫る好記録を連発で目標を達成しましたが、更なる高みを目指しております↓
上記インタービューにあった通り、濱口選手と齋藤一選手は1500m 3:45ギリ目指して(すなわち3:44.35の創価大記録更新を見据えて)ホクレンDC第3戦士別大会(7/13)に出場しましたが、惜しくも記録更新はならず(濱口選手が3:46.95、齋藤一選手が3:48.80)。更に挑戦は続きましたが、トワイライト・ゲームス(7/21:濱口選手が3:50.16)、MDC(7/27|濱口選手がPM役を担いましたが齋藤一選手は3:52.24)では創価大記録更新はなりませんでした。
・中距離を主戦場する選手以外のデータも交えて1500m PB vs. 5000m PBプロット
この上半期では、トラックシーズン序盤の絆記録挑戦会(4/6)、4/2法政大学競技会(4/21)、最終盤(夏合宿前)の富士裾野トラックミート(7/21)、MDC(7/27)で中距離を主戦場とする選手以外の1500m出走がありました。SUET公式の競技結果に記載されている1500mの持ちタイム(PB)および歴代記録に記載されている1500mの自己記録(現役生の小暮④選手および三坂③選手)のデータを各選手の5000m PBに対してプロットしたものを図14に示します。
データラベルは学年(丸数字)・氏名を示し、(この上半期の)1500mのPB更新者は黄色マーク、5000mのPB更新者はオレンジ枠になっております。
夏の北海道(ホクレンDC・学連網走)での10000mで悔しい結果となった4年生の若狭選手と藤ノ木選手が7/27のMDCに出場したのも予想外でしたが(いわゆる”追試”なのか、合宿前の”流し”なのか?)、二人ともPB更新したのは更に驚きでした。特に、若狭選手の3:47.11は創価大学歴代3位相当の好記録ですし、ラスト一周でサングラスを飛ばしてからのラストスパートは見事でした(組トップには惜しくも届かず2位)。
また、図中の青点線は等しいWAポイントの1500mと5000mのタイムをつないだものです。PB更新後の若狭選手は例外的に両種目のWAポイントがほぼ等しいですが、赤点線で囲った中距離種目を主戦場とする選手(濱口選手・三坂選手・齋藤一選手)は青点線より右下のデータ領域、すなわち1500mのタイムの方が優位(WAポイントが高い)の傾向にあります。この3人のデータ右上にある中村柊①選手を除けば、その他の選手は青点線よりも左上のデータ領域、すなわち5000mのタイムの方が優位(WAポイントが高い)の傾向にあります。(データが少ないのでたまたまかもしれませんが、興味深いところです)
尚、若狭選手のPBは日本インカレのB標準記録(3:50.00)を突破し、実際に日本インカレ1500mに濱口選手とともにエントリーされました。日本インカレ10000mにエントリーされた藤ノ木選手と併せて最終学年の3名の日本インカレでの活躍を期待するとともに、是非三大駅伝につなげて欲しいと願います。
【トラック編③|800m/1500m・3000mSC】ここまでのまとめ
本記事でここまで紹介してきた通り、800m/1500mを主戦場とする選手及び3000mSCに出場する選手は駅伝部全体からすれば割合は少なく(人数的には15%程度)いわば精鋭部隊ですが、今回の関東インカレ(大学対抗戦)で過去最高の成績を上げた原動力となりました|800mで2位・8位、3000mSCで1位・3位のダブル入賞、1500mで3位入賞。また、日本選手権に出場を果たしたのも1500m(濱口選手)と3000mSC(黒木選手)の中距離種目です(小池選手は5000mの資格記録はクリアしましたが、ターゲットナンバーから漏れてしまい、残念ながら出場はなりませんでした)。次を担う1年生の登場も含めて、”中距離精鋭の進化”というのがこの上半期の活躍を端的に表していると(個人的には)思います|この章のタイトルにもなっております。是非この個の進化を三大駅伝の真価に繋げていただきたい、というのが(繰り返しになりますが)切なる願いです。
特に最終学年の濱口直人選手。詳しくはOB市原さんのnoteを是非ご参照いただきたいのですが、
ちょうどこの記事が書かれたのは2年ほど前(2022年夏合宿後・2年時)で、その段階では10000m・ハーフは未出走だったとのこと。それが、2年・3年の下半期で着実に距離を延ばして、昨年は箱根駅伝のエントリーメンバーに選出されました(10000m 29:06.15|ハーフマラソン 1:05.17)。選考は昨年度よりも厳しさを増すと予想されますが、是非最後の三大駅伝での出走・活躍を期待したいと思います。(前回1年生で区間3位激走の川上選手がいますが、情況によっては)箱根6区(いや、黒木選手もいるのですが)とか7区・10区とかで観てみたいなぁ、と個人的には思っております…。
4. 【トラック編】全体のまとめと三大駅伝への展望(を少しだけ)
(9月になってしまいましたが、大学はまだ夏休みということで)「夏休みの宿題」・3部作となってしまった【トラック編①・②・③】の全体をまとめ、(少しだけ)三大駅伝への展望を述べたいと思います。
・2024年度上半期PB更新(含む初記録)のまとめ|約2/3の選手がPB更新を達成!
これまで【トラック編①・②・③】で取り扱ってきた種目のうち、800m(PB更新なし)・3000mSC(黒木③選手・齊藤大②選手のPB更新)を除いた、1500m、3000m、5000m、10000mのトラック種目について、2024年度上半期(3/30のTOKOROZAWAゲームズを含む)に更新されたPB(黄色マーク)および初記録(緑色マーク)を図15にまとめて示します。尚、この図には【ロード|ハーフマラソン編】で取り扱ったハーフマラソンのPB更新(と初記録)も併記してあります。
この図には、少なくとも1種目以上でPB更新(もしくは10000m/ハーフマラソンで初記録)した選手のみが記載されおり、その数は全体のおよそ2/3になります。(他の大学のデータを知り得ないので定量的な比較はできませんが)全体としてはトラック・ロード共にかなり順調に強化がなされていると言って良いのではないでしょうか。
また、図中のタイムが各種目ごとにある水準以上である場合には赤字で表示しております|1500m・3:55未満、3000m・8:20未満、5000m・13分台、10000m・28分台以下、ハーフマラソン63分台以下。上級生および既に三大駅伝にエントリー・出走した経験のある選手を中心に赤字が多くなっているのは明白で、高いレベルでのPB更新がなされているのが分かります。特に(本稿で度々紹介してきた)榎木監督の談話にある通り、「5000mと1000mの両方をしっかり戦える状態をつくろう」との方針の元、昨年新たに5000m・13分台のPBを選手がその再現および更新を果し、且つ、「多くの選手が試合なれしてきて、(10000mで)28分30秒ぎりに近づいてきている」ところまで着実に強化がに進んでおります。
個々人に目を向けると、5000m、1000m、ハーフの全てでPB更新し且つ1500mもしくは3000mでPB更新した選手がなんと5名!(図中の名前を水色マーク)。以下、それぞれの選手にコメントを付して「まとめ」とさせていただきます。
吉田響④選手:東海大から転入してきた昨年度前半は5000m一本のみ(13分台PB)だったと記憶しておりますが、その後駅伝での大活躍は周知のと通り。今季は出走した全てのトラック/ロードレースでPB更新を成し遂げ、どれも創価大記録に迫る高い水準のものでした。本人曰くの”連戦が効かない”も克服されつつあるのでは。以下、インタビュー記事からの引用です(太字は強調のため著者が変更):
石丸惇③選手:1年時に5000m・13分台を複数回記録するなど速いペースでトラックの記録を上げてきた石丸惇那選手も昨季(前半)トラックは長期故障でほぼ全く走られず(最後の富士裾野トラックミートで3000mまでPM?のみ)だったと記憶しており、それと対比すると今季は充実のトラックシーズンだったのではないでしょうか。アディダスHQ(ドイツ)でのロードレースや夏の選抜ケニア合宿など、偉大なる(葛西)潤先輩の足跡を追い、まさに”#潤から惇の時代へ”!!期待しております!
織橋②選手:全て赤文字タイムの高いレベルでのPB更新となった織橋巧選手。ケニア合宿(はかなりきつくて、ちょっぴりホームシック気味?)も経験し、駅伝シーズンでの飛躍を期待しております!次は、秋ハーフで62分台が次の目標となるでしょうか。
齊藤大②選手:昨年は同期の(喧嘩するほど仲が良い?とされる)小池選手や織橋選手が三大駅伝に出走を果すなか、全日本と箱根ではエントリーされるも出走には至らなかった齊藤大空選手。トラックでは(表外の3000mSCも含めて)全て高いレベルでのPB更新となりました。同期のライバルと共にケニア合宿を経て、次は函館ハーフではお預けとなった63分台をまずは秋ハーフで、でしょうか。
池邊②選手:
【ロード|ハーフマラソン編】で上記の通り注目した2年生世代の一人、池邊康太郎選手。酷暑となった富士裾野トラックミートでの1500mを含め、トラックでも着実にPB更新を果しました。ハーフマラソンは、玉名ハーフ→ぎふ清流ハーフとタフなレースを経験してのPB連続更新。秋ハーフでの飛躍が期待されます。Xでも注目選手として挙げられており”古き良き創価らしさを感じる選手”と。なるほど。
・2024年上半期終了時の10000m PB vs. 5000m PBプロットのまとめからの出雲駅伝・全日本駅伝エントリーの展望
図16は、【トラック編②】のまとめの図12に、今季ここまで10000m未出走の選手のPBデータも加えた2024/7末時点での10000m PB vs. 5000m PBプロットです。データラベルの黄色は今季10000m PB更新、緑色は初記録、オレンジ枠が5000m PB更新に対応します。図15でも確認した通り、この図16の左下の領域の主力選手の多くが10000m and/or 5000m でPB更新を果しているのが分かります。
図中の青点線は10000mと5000mのWAポイント(世界陸連が定める各種目でのポイント)が等しい場合の線を示しており、これと直交する線が両種目のWAポイントの合計が等しい場合に相当します。図には目安としてWAポイントの合計の上位10人を赤点線、上位16人を紫点線で示しました。これらを用いて、今年の出雲駅伝と全日本大学駅伝のエントリーメンバーを現状データから展望してみたいと思います。(あくまで現時点での見方ですので、ご了承下さい。)
(この段落は選手名が多いので、現役生は敬称略とさせていただきます)
出雲駅伝の(最初の)エントリー10名を想定すると、図16の左下から、Stephen②、吉田響④、小池②、石丸惇③でまず4名。
次は持ちタイムのポイント合計としては藤ノ木④なのですが、今季は最初の3000m(3/30のTOKOROZAWAゲームズ)と最後の1500m(7/27のMDC)でPB更新があったものの、それ以外、特に10000mで苦労している印象が強く(29分半、30分弱×2、31分)ここでは留保。夏合宿明けの全日本インカレ10000mからの選考レース次第といったところでしょうか。
その後は、小暮④・吉田凌④・織橋②、齊藤大②、黒木③とこれに新留学生のSolomon①を加えた10名が現状のPBと今季トラックシーズンの結果から想定される出雲駅伝エントリー予想となります。
勿論、前述の藤ノ木に加えて、MDCで1500mのPBを大幅に更新しスピード特性を示した若狭④も(同じく上半期は10000mで苦労している印象ですが)エントリーしている全日本インカレ1500mを含めた今後の選考レース次第だと思います。また、4年間全ての駅伝に出走する目標を掲げる山口①は当然狙って来ると思いますし、夏合宿明けの5000mでの念願の13分台達成がまずは一つの試金石となるでしょうか。
全日本大学駅伝の(最初の)エントリー16名を想定すると、上述の出雲予想10名(Stephen②、吉田響④、小池②、石丸惇③、小暮④・吉田凌④・織橋②、齊藤大②、黒木③、Solomon①)と上述の留保付きで藤ノ木④、若狭④で12名。それに加えて持ちタイム(PB)のWAポイント合計で言うと、川上②・野沢③、山下蓮③と濱口④までが上位16名となりますが、ここも今季トラックの情況を勘案すると留保が必要と考えます。
川上②は6/1日体大10000mのDNFなど故障があったようでホクレンシリーズは回避しましたが、本人のインスタ情報によると8月は1000km?!目標で走り込み実際300km/週も達成されたとか。箱根6区が最重要ミッションと思われますが、そこに向けて秋トラックで10000m・28分ギリを期待したいところです。
野沢③は1月の大阪ハーフで61分台PB・創大記録更新から2月の熊日30kロードで学生トップと好調でしたが、2024年度のトラックシーズンの出走がしばらくなく、6月末の函館ハーフで63分台で復帰となりました。その後はホクレンDCは回避されましたが、今夏は選抜ケニア合宿に参加し好調を伝えられおります(後輩を厳しく指導?していたとかいないとか)。フルマラソンも見据える野沢としては、箱根(4区リベンジ?)が最優先と思われますが、もし全日本で終盤ロング区間を担える状態まで上がってきているなら非常に頼もしいところ。
山下蓮③は竹田③と共に、2024年上半期はトラック・ロードともに出走なし。記録会などで元気な姿は見かけますし、特に最近の久保田HCのインスタリールでの活躍はファンならば周知のところ。小数精鋭の現3年生世代、復帰を焦らず待ちたいと思います。
濱口④は、今季の関東インカレ800m/1500mでの大活躍は本記事で紹介した通り。但し、長距離種目は4月の法政大競技会での5000m1本のみ(14:34.67)で、夏合宿後の全日本インカレ1500mから先はまた距離を延ばしていくと思われます。藤ノ木・若狭とともに最終学年の彼らには、昨年度の上杉先輩(11月上尾ハーフで63:35 PB・12月日体大10000mで28:45 PB)のような覚悟の奮闘を切に願います。
これらに続く選手としては、4年生の有田(しっかり卒業もしてほしい)・野田(復帰具合は?)、そして前述の山口①と榎木凜①の一年生コンビに、前述の通り今季好調の池邊②、夏の走行距離暫定トップの根上②などが選考に絡んでくることが予想されます。勿論、これ以外にも選手にも期待です|特に、合宿練習消化率150%の石丸修①や個人的に注目度の高い浦川①なども3次深川合宿に参加のようですので、実りの秋に期待したいと思っております。
尚、箱根駅伝(エントリー16名)については、【ロード|ハーフマラソン編】の最後にハーフマラソン PB vs. 10000m PBプロットにもとづいて現時点での展望に触れていますので、そちらをご覧いただけば幸いです。
・最後に|現地観戦リスト(完全な備忘録)
【ロード|ハーフマラソン編】の最後にも書きましたが、今年は元旦のニューイヤー駅伝5区の葛西潤選手や新家裕太郎選手、アンカー嶋津選手を地元・群馬で現地観戦することから始まりました。2024年にこれまで現地観戦・応援したリスト(ロード編・トラック編に加えて一部OB等出場のレースも含まれる)は以下の通りです。
1/1|ニューイヤー駅伝@群馬|OB葛西選手/新家選手/嶋津選手
2/23|Addidas Tokyo City Run@神宮外苑|5kロード・山森選手
3/10|日本学生ハーフ@立川昭和記念公園|ハーフ
3/30|TOKOROZAWAゲームズ2024@早稲田大学所沢キャンパス|1500/3000m
4/21|東海大学記録会@湘南キャンパス|10000m
5/9・12|関東インカレ@国立競技場|10000m・800m/3000mSC/5000m/ハーフ
5/18|早稲田大学記録会@所沢キャンパス|5000m
5/25|世田谷陸上競技会@世田谷大蔵|1500m・OB新家選手
6/1・2|日体大記録会@健志台キャンパス|10000m・5000m
7/21|トワイライトゲームス@飛田給AGFフィールド|800m/1500m
7/27|On Track Nights:MDC@世田谷大蔵|1500m
このように並べてみると、我ながら結構たくさん足を運んだなぁ、と思います。夏合宿明けの全日本インカレから、下半期・駅伝シーズンも出来得る限り現地観戦・応援できればと思います。最後に、選手・関係者および運営に携わる皆様に、現地観戦させていただけることに感謝申し上げます。
ということで、「夏休みの宿題」をようやく書き終えることができました。【ロード|ハーフマラソン編】が約1.15万文字相当、【トラック編①】が約1.34万文字相当、【トラック編②】が約0.91万文字相当、【トラック編③】が約1.30万文字相当ということで、「2024年上半期振り返りまとめ」で合算すると約4.7万字となりました。流石に冗長の極みという反省もありますが、ともあれ最後まで書き終えられたことに安堵しているとともに、ここまでお読みいただいた方に感謝申し上げます。有難うございました、大変にお疲れ様でした。
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