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農業簿記の基礎

農業簿記2級について

今回より、農業簿記検定教科書2級(第4版)について整理していきたいと思います。本検定の正式な略称はわからないのですが、私は農業簿記2級と呼んでいるのでこのnote内でも農業簿記2級と書かせて頂くことにします。
農業簿記2級は原価計算編と財務会計編に分かれています。原価計算編は売上原価(材料費、労務費、経費)の計算、部門別計算、製品別計算等がメインです。財務会計編は農業者で必要になる簿記の手続や各勘定科目の仕訳方法等についてがメインとなっております。
資格の難易度的には日商簿記2級を取得できる能力があれば問題なく受かるレベルかと思われます。私は農業簿記2級を受けずに農業簿記1級に挑戦しました。ですが、農業簿記2級についてもテキストと問題集は一通り学習しました。
第15回試験の合格率は(2021年7月実施)43.2%でした。

そんな農業簿記2級ですが、テキストに沿って少しずつやっていきたいと思います。というか私の記憶が薄れかけているのでそうしないと何書いていいか分かりません。

第1編 原価計算編 第1章 農業簿記の基礎(p3~10)

農業簿記とは?

「農業簿記とは農企業に適用される簿記を言う。農企業は、種苗・素畜、肥料・飼料、農薬などの材料や労働力、機械施設などを購入し、これらを消費することによって製品(農産物)を製造し、さらにそれを販売して利益を獲得することを目的とした企業である」(原文ママ)
ということらしいです。種苗や素畜(販売用肥育牛の素材となる牛のことです。機械メーカーでいう鉄やらプラスチックやらだと思ってください)等といった特徴的な単語が出てきていますが、農業は製造業と類似しているということが分かります。製造業には製造原価報告書が作成されるように、農業でもそれに該当する生産原価報告書や畜産業原価報告書なるものが作成されます。という訳で農業にも原価計算が必要になってくるわけですね。


生産原価報告書や畜産業原価報告書の様式がないか探してみたんですがありませんでした。でも基本的には上記URLにある製造原価報告書と変わりません。

原価について

原価には製造原価を意味する場合と、いわゆる販管費を加えた総原価を意味する場合があるため、原価報告書内の原価計算をするには発生した費用が製造原価なのか販管費なのかを分類する必要があります。
私は現場で発生する費用か事務所やスーツを着た人に発生する費用かという基準で判断しています。そんな判断でいいのか。
耕運機の固定資産税は現場で使う機械にかかる費用だから製造原価、自社米の展示会出展費用は現場ではなく展示会でスーツを着てプレゼンするから販管費といった具合に分類しています。

製造原価の分類

<1>基本的な分類

製造原価は材料費、労務費、経費に分類されます。
①材料費…製品製造のために要した物品消費高。種苗費、肥料費、素畜費等
②労務費…製品製造のために要した労働力の消費高。従業員給料等
③経費…製品製造のために要した物品や労働力以外の消費高。水道高熱費等

<2>製品との関連における分類

この3つの大きな分類にそれぞれ直接費・間接費の小分類があります。製品との関連性において、「製品等に対する原価発生の態様、すなわち原価の発生が一定単位の製品の生成に関して直接的に認識されるかどうかの性質上の区別による分類」(原文ママ)とテキストには書いてあります。
肉牛生産業、養豚業、養鶏業で用いられる総合原価計算を行う場合は、直接材料費以外の製造原価は加工費としてまとめられて費用計算します。
個人的な感覚では直接費・間接費をダイレクトに問う問題と総合原価計算の問題くらいしか必要ないんじゃないかと思っています。
ぶっちゃけいうと、ここの分類についてはそれくらいの認識しか持っていません。わかりません。
私が本テキストを勉強していた時はこの辺は読み飛ばしていました。ここに変に拘泥するよか、問題を解いたほうがええやろと思っていたからです。

<3>生産規模との関連における分類

損益分岐点計算等で用いられる変動費と固定費の話です。工業簿記では操業度によって分類されますが、農業では操業度が高まれば売上が伸びるなんて話にはなりづらくなっています。
ニュースで白菜やニンジンが暴騰してるだの暴落してるだのと報道されるように、作況市況で売上高が大きく変動します。

https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp011013999602100030/6
より引用。
ニンジンは北海道が全国No1の生産地となっていますが年によって相場状況が変動します。なんでこんなに上下するんだという話は何件かのお客様から聞いたことはあるのですが、推測の域を出ない話で私も自信が持てないので書きません。

という訳で単純な操業度(稼働率↑で売上も↑)で図ることは難しいため、農業簿記で固変分解を行うときは作付面積や飼養頭羽数等の生産規模を基準とします。
また、農業では限界利益(売上-変動費)を算出する際に変動益という概念を用います。変動益は生産規模の増減に応じて比例的に変動する収益のことを指しますが、ここには売上に類する収益(野菜販売売上、生乳売上、仔牛売上等)のほか、作付助成収入も含まれます。
※作付助成収入…畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)が有名でしょうか。
簡単にまとめると販売した数量に応じて1俵(1俵=60㌔)あたり何円当たりますよ~という補助金です。北海道では小麦・大豆・甜菜の農業者の営業外収益として計上されているのをよく見ます。

原価計算の手続

原価計算は費目別計算、部門別計算、製品別計算を順番に行います。
①費目別計算…原価要素を費目別に分類測定する手続
②部門別計算…費目別計算において把握された原価要素を部門別に集計
③製品別計算…原価要素を製品単価に集計し、単位製品の製造原価を算定
この辺のことはほとんど忘れているのですが、進めていくうちに思い出すはずです。

製品別計算の方法

生産形態の相違によって個別原価計算と総合原価計算に分かれます。
①個別原価計算…種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用します。と書かれても分かりにくいですが、例示で造船業・産業機械製造業・年1回の耕種農業が挙げられているので「製造期間が長く、大量生産を行わない製造業(農業)」に用いられると認識しています。 
②総合原価計算…同種製品を反復連続的に生産する生産形態に適用します。これも抽象的ですが、衣料製造業、製紙業、畜産農業、年数作の野菜作が例示として挙げられているので「製造期間が短く、大量生産を行う製造業(農業)」に用いられると認識しています。

テキストの第1章の内容を概ね整理しました。ページ数としては少ないのですが、かなりの分量になってしまいました。こんなに飛ばしてバテないのでしょうか。我が事ながら心配です。失踪しないように頑張ります。



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