インターネットの思い出
初めてインターネットに触れたのは、我が家に「パソコン」がやってきた時だろうか。
当時親が買ってきたノートパソコンでインターネットにつなぐため、家ではにわかに工事が始まった。
無線LANやADSLはすでに普及していたが、そこまでネットを使わないだろうという考えから、わが家では電話のモデムから分配器をつけ、電話線経由でインターネットにつなぐことになった。
インターネットにつなぐには、いろいろな段取りがあった。
まず、この線をパソコンにつなぐ。そしてインターネットにつなぐための「ダイヤルアップ接続」が必要だった。
今のようにブラウザを開いたら、すぐにYahoo!のトップページが開かれるわけでもなく、接続のボタンを押さない限りはネットに接続されなかった。
・・・この時間が、とても長い。「ピー、ピョロロロ・・」という独特の、いままさにインターネットに繋いでますよ、と言わんとしている音を、パソコンの前にじっと座って聞いている時、ああ、パソコンが頑張ってインターネットに繋がろうとしているんだな、と思っていた。
今ではまったく無くなったが、ダイヤルアップ接続が完了すると、決まってWebページがゆっくりと上から順番に画面がロードされていったものだ。
無論、クリックして別のページにいくときには毎回そのような遅延が発生していたわけだから、一回一回のページを今よりもゆっくり見ていた。
家の居間にいながら、外の世界の情報を自由に閲覧できる。その気になれば海外のページも閲覧できるというのは画期的だった。
わが家のインターネット環境のせいだとも思うが、あの頃のインターネットは、本や雑誌の閲覧の延長線にあるようなゆっくりとしたものだった気がする。
今は当然ながら光回線を引き、ルーターに無線LANでいくつもの機器をつないで、ネットが生活環境の一部になった。便利になったのに疑いの余地はない。
ただ、あの頃のインターネットにあった、何か特別な環境に繋いでいる感覚や、色々なページをネットサーフィンする、あの少し大人になった気分を味わえたのは、まだ幼かったからというのもあるが、インターネットという言葉にまだ特別な響きがあった時代だったからだろう。