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麻痺を取る温冷マッサージ

ある夏の暑い日に私はかき氷屋さんに行きました。あまりにも暑くて暑くて耐えられなかったので私は注文したイチゴミルクのかき氷にかぶりつきました。私が食べているのを見て私の子供は自分も欲しいと手を伸ばして奪って1人前をペロリと食べました。二口くらいしか食べていなかった私は自分用のものをもう1つ買って食べました。私はよくそのお店に来ていたのですがうちの子がそこでものを食べたのはその日が初めてでした。

その次の日の朝、子供の体を見てとても驚きました。体のやわらかさと硬さのムラが少し取れているんです。手で触っていてもビクビクしたりしない。

あれ???足の麻痺が取れている???

当時私の子供はビリビリとするような感覚になる場所がいくつかありました。

・口の中
・手のひら
・足の裏

ここ以外にも全身に散らばった麻痺と過敏と感覚鈍麻のまだら模様は手で触るとなんだか皮膚のやわらかさや熱の感覚でなんとなくわかるのです。私は麻痺マップを書きながらそれらを観察していました。

それがかなり改善しているんですよ。これは何?!何かある!!と、衝撃を受けました。それまでこんなに大きな体の変化は感じたことがなかったからです。

変わったことと言えば「かき氷を食べたこと」しかありません。それから私は海外の論文サイトで氷を使った麻痺のケアについて調べました。たくさん方法があったのですがそのうちのいくつかでよさそうなものを見つけて自分なりに応用してやらせてみたのがこちらです。


お風呂で温冷療法

「手のひらに氷を触れさせると足の麻痺が取れる」という論文を見つけました。やってみたら効果がありましたが心配な部分があったのでこれを応用してみました。

①お風呂で子供の心臓よりも低い位置になるように少なめのお湯をお風呂にためます
②子供をお風呂に入れ、アイスボールで遊ばせます

具体的な遊ばせ方は子供の状態によると思いますが「手で持たせる」「嫌がらない程度に体に触れさせる」が基本です。慣れてきたら「水に浮かせて捕まえる」「投げる」「拾う」「握る」「潰す」「溶かして遊ぶ」「隠して見つける」ということもできます。私の子供は片手に私が小さな氷を隠して「どっちだ?!」と言って握っているほうの手を当てるという遊びが好きでした。これだと氷を長く握らせられるのでよくやりました。氷を器に入れては別の器に移すという遊びも好きでしたし、ただ単に浮いている氷を拾って投げるという遊びも好きでした。

このやり方を成功させるコツは、「氷を使うと体が冷えてコルチゾールが出てしまうのでお風呂で身体を温めながら行う」ということです。氷をお風呂につけるとあっという間に溶けてしまうので、できるだけ頑張って触らせてやらないとすぐに消え去ってしまいます。溶けるとお風呂の温度が下がるのでやりすぎると風邪をひきます。追い炊きをしながら温度管理をしつつ、子供に遊ばせるので親はかなり忙しい。あっちにもこっちにも気を使わなければならないので何かと消耗しますが、思った以上に効果を感じられました。

基本は「子供にお風呂の中で氷を触らせる」ということですが、慣れてきたら気になるほかの部分にも氷を当ててやると良いです。


麻痺の場所と刺激を入力する場所の違い

そしてここからが一番大事。麻痺がある位置によって氷を当てる場所を変えるのです。

・足に麻痺がある場合➡手の平に氷を持たせる
・手に麻痺がある場合➡口やその周りに触れさせ、安全性に考慮しながら舐めさせる
・口元に麻痺がある場合➡デコルテ部分に少しづつ氷を近づける

これは何かというと、小脳に関係した作用なのです。

簡単に言うなら、足裏の反射区のようにこの位置はここ、この位置はここ、と脳と体の感覚が対応する場所が決まっているんです。それに基づいて氷を当てる場所を変えてやるんです。

ここで重要なのが感覚入力があった場所と、出力がある場所がちょっと異なるということです。手の麻痺を取ろうと思って手を触ってやっても手の麻痺は取れないんですよ。しかも手でぐりぐり触っても取れない。温度変化の感覚とか細かい振動などが効果があります。

しかも感覚入力には順番があって自分が困っている部分だけをケアしようとしてもダメで、ここをやったら次はここ、それが終わったらここというように順序を経ながら目的の場所までたどり着かないと意味がないんです。

つまり「足に麻痺があるからと言って足だけを手で触ってやるとか、目的の場所だけを弄っていても効果はない」ということなんです。麻痺を取るケア方法は「決まった順序に沿って全部やって初めて1か所に効果がある」ような感じなんですよ。


大本命!口内冷却マッサージ!

その順番の一番最初がまさに口の中への冷たい刺激でした。

高齢者の摂食嚥下障害のリハビリに大き目の綿棒を水で濡らして凍らせてから口の中をマッサージするという手法があるそうなのですが顔周りにも麻痺のある私の子供にそんなことをしたらオエエエエっと吐き戻されて終わりに決まっています。棒を突っ込むなど、ありえない。しかも冷たい棒なら大暴れですよ。

「どうやって過敏のある子供の口の中を冷やすのか?」という問題が出てきます。かき氷をあの日食べてくれたのは限界まで暑い日だったからです。普段なら絶対に食べてはくれません。

砕いた氷なんて絶対嚥下に問題のある子供には食べさせられないし。

ジュースが入っていて凍らせてチューチュー吸うお菓子が昔はあったと思うのですが、私の家の周りにはほとんど売っていなくて手に入リませんでした。
それっぽい入れ物で食べさせられそうなものはパピコしかありません。この頃は小さかったのでファミリーパックの箱入りのものを選びました。中身はちょっと小さめサイズです。

もはやトレーニングというよりはただのおやつです。

お菓子を使うのが抵抗があるならシャーベット状になるまで氷を砕いてからスプーンですくって食べさせてやる方法でもよいと思います。

あらかじめ冷たいものを口の中に入れて冷やしてやると、その後お風呂の中のアイスボールの温冷療法の効果がきちんと出ます。


一番大事なのは続ける事

麻痺があると言うと病院ではマッサージを勧められましたが効果はありませんでした。足ばかり延々と触られましたが足が腫れただけでした。

でも「入力と出力の場所が違う」というルールを理解していれば効果がないマッサージをしなくてもよくなります。

首のすぐ下の鎖骨側のきわの部分をマッサージしたら足の親指の裏側の麻痺が取れたことがありました。それはなんだか玉川温泉で脳疾患の女性が見つけた二の腕の裏の部分の湯ただれと似ていますね。

正確にどの部分をマッサージしたら脳のどの部分に伝わって今度は体のどの部分の麻痺を取ってくれるのかすべて解明してくれる人がいればそれは素晴らしい事だと思います。今はまだ少ししかわかっていません。

でもそれほど難しく考えなくても、お風呂の中で氷で遊ぶのを3年ほどしただけである程度の麻痺はほとんど取れました。いろんな氷の扱い方をするうちに胸にあたったり肩にあたったり、全身使えたような気がするんですよ。それこそペロペロとなめてみたりしたこともあります。3年は長いようであっという間です。大事なのは続けることです。

麻痺を取るための漢方薬も使ったので単純にマッサージだけの効果ではないはずですが、お風呂の温冷療法は決して無駄なことではなかったと思っています。

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