菊池病になった話
2020年4月の終わり、菊池病と診断された。
病名を聞いた時、全く聞いた事のない病気だったのと、ネットで調べても症状など詳しく分からなかった。
病気の事を調べる中で体験談をいくつか読ませていただいて「自分だけじゃないんだ」と言う安心感があったので、
私がこれを書くことで、今後誰かの目に留まって、私と同じように少しでも気が楽になれば良いなぁと思って、自分自身の備忘録も兼ねて書くことにした。
正直、体験談を読んだって何の解決にもならない。
特効薬がなく、自然治癒を待つしかないから。
症状や治るまでの期間も人それぞれだと思うし、誰かの体験談を読んでも自分と同じとは限らないし。
何をしても、気休めだけど、気休めでも精神的には幾分か楽にはなる。
そもそも、菊池病って何?
Wikipediaによると、
組織球性壊死性リンパ節炎(そしききゅうせい・えしせい・リンパせつえん)とは、リンパ節の腫脹・疼痛を伴う良性疾患。亜急性壊死性リンパ節炎、また報告者の菊池昌弘にちなみ菊池病とも呼ばれる。
原因は未だ不明である。(中略) 菊池病で特異的な病原体が検出されるわけではない。
扁桃腫大を伴う風邪症候群の様な症状で始まり、38℃程度の発熱(40%)、自発痛または圧痛を伴うリンパ節腫脹、白血球数減少を主要徴候とする。リンパ節腫脹は後頸部に多いが、まれに両側性頸部や他の部位もみられる。倦怠感(7%), 関節痛(7%), 皮疹(10%)などもみられる。
無治療で自然軽快することも多い。基本的には対症療法しかない。
…とにかく、良く分からない(笑)
原因が不明なので予防策もなく、
特効薬がなく自然治癒を待つしか無いのだけは分かる。
私が菊池病と言われた時にお医者さんから受けた説明は、
①病理検査をしないと菊池病と断定は出来ない。
②1~3ヶ月くらい発熱が続く。
③原因は分からない
④どんなに高熱続いてしんどくなって泣きつかれても、解熱剤出す事しか出来ないから頑張って耐えて。
でした。
いや、1ヶ月と3ヶ月じゃ全然違うよ??って感じだし、
凄く明るくて気さくな先生なのは良かったけど、
ニコニコしながら「頑張って耐えてね~」って言われた時は、医者は言うだけだから楽で良いよな!!!って思った。サイコパスみ強かった…
4月5日 最初に気付いた異変
2020年4月、世はコロナ禍のただ中。
まだ緊急事態宣言が出される前。
最初に異変に気付いたのは4月5日。
晩ご飯を食べようとした時、
首の左側がつっぱるような感じと、ほんのり熱を持ってるような気がして首を触ってみる。
筋肉痛みたいって思った覚えがある。
痛いところを辿っていくと、耳の真後ろに触って分かる程度のしこりが1つ。
何これ?!と思ってビックリしたけど、
触ってもそのしこり自体が痛いわけでもなく。
でも首の筋肉は張ってるような…
因みにその時の熱は36度台。
即ググってみたけど、耳の後ろのしこりはリンパ炎だの腫瘍だのいくつか出てきて。
万が一腫瘍だったら早めに病院行った方が…って思ったけど、
時期が時期なだけに、迂闊に病院に行ってコロナにかかる方が嫌って言う意識が勝って、暫く様子を見る事に。
2日後の4月7日、たまたま仕事は有給を取ってて休み。
しこりは消えず。
1人で悩んでても…と思って、母親に耳の後ろのしこりの話をしてみる。
が、この時期に病院行くのは控えたいよね…と言う結論に至り、やはり様子見。
最初に感じた筋肉痛みたいな張った感じや痛みもなく、熱もなかったし。
しこりのサイズが大きくなるようだったら病院行くことも考えよう、と言うことになった。
またこの日、世間では緊急事態宣言が発信され、私が住んでる大阪は勿論対象地域になり、仕事は2グループに分かれて週替わりで在宅ワークをする事になる。
4月24日 近所の内科を受診
そんな在宅ワーク中の4月23日、
髪が長く鬱陶しいから束ねようとした時、
手が首に触れた事で新たなしこりを発見。
左の首の、ど真ん中より少し下…肩とのつけ根に近い位置。
触ると、耳の後ろのしこりより圧倒的に大きい。
恐る恐る鏡を見ると、触らなくても一目瞭然なくらい首がボコっと腫れてる。
一気に不安になる。
いつから?何故気付かなかった??と思いながら、また母親に見せると、
これは病院行った方が良いって話になり、
即職場に有給申請を出して、翌4月24日に近所の内科へ。
今から思うと、この時点で発熱がなかったのは本当に不幸中の幸いだったと思う。
少しでも熱があると診察してもらえなかったり…みたいな事もネットで見ていたりしたので。
で、近所の内科では何も分からず、
大きい病院への紹介状だけ出してもらった。
お医者さんの「何なんだろうな、このしこり」みたいな様子が、患者側としてはとても不安。
そしてこの時、頸部のリンパは内科ではなく耳鼻科だと言うことを生まれて初めて知った。
4月25日 総合病院へ
土曜日だったけど、耳鼻科はたまたま午前中だけ初診オンリーでやっててラッキーだった。
他の科も外来はやってなかったりで空いてて快適だったし。
まずは触診。
自分では2つと思ってたしこり。
鎖骨のとこにもあるねって言われて、触ってみれば確かに!
次に、エコーと血液検査。
エコーの結果、頸部のリンパ節に計5つのしこり。
触って分からないところに後2つもあったのか…。
大きさはどれも1.5センチ程度。
甲状腺は異常なしとの事。
血液検査の結果も、
その日すぐに分かるものは大きな異常はなし。
ただ、リンパ腫かどうか判断する項目の結果が時間がかかるとの事。
この時点で発熱の症状もなかったので、薬の処方も何もなくそのまま帰宅。
翌週は出勤組だったのもあり、
会社がGWに入った4月30日に血液検査の結果を聞きに行く予約を取った。
エコーの画像見た感じ、腫瘍では無いと思うけどねー。と言う先生の言葉を信じて。
4月25日 夜から発熱
その病院に行った日の夕方、
何だか熱っぽい感じ。
19時頃に計った時は37.4度。
…熱やん。
そのまま自室から母親に「熱があります」とLINE。
万が一コロナだったら大変!
って事になり、家の中で隔離が始まる。
夕食は部屋に運んで貰ったけど、食べ切れず。
食欲は凄くあるのに、胃が受け付けない。
寝るまでに何度か熱を計ってみたけど、
37.5度を越える事はないけど37度以上。
どうすれば良いのか分からず、風邪薬だけ飲んだ。
明けて日曜日、変わらず微熱続き。
この時期、まだコロナの対応として“37.5度以上が4日以上”になるまでは様子見と言われていたので、何とも微妙な体温。
そして変わらず自室で隔離。
腫瘍だったらどうしよう、コロナだったらどうしようを延々ループ。
余談だけど、ちょうど1年前の2019年3月から、不安症・パニック症と診断されて心療内科に通ったりもしてたので、
それも相まって何が何による体調不良なのか自分でも分からず、ひたすら不安。
4月27日 菊池病と診断される
月曜日の朝、変わらず微熱は続いてる。
母親が病院に電話してくれて、発熱してても受診OKと言う返事だったので、午前中の診療時間ギリギリ滑り込みで病院へ。
本当に今から思い返せば、近所の内科から総合病院の初診まで発熱してなかったのが不幸中の幸いでしかなかったように思う。
電話では普通に受付まで来てって言われたらしいけど、
病院の入口で「発熱してます」って言ったら離れた場所の簡易テントに連れて行かれて、
詳しい問診と検温などを経て、入場許可札を持たされて病院内へ。
コロナ対策だから仕方ないけど、色々な人の手を煩わせて申し訳ない気持ちでいっぱいに。
この時点ではコロナの可能性も無くはないので。
耳鼻科の待合室でも、発熱者所定の場所へ。
周りの人の視線がつらい。
診察室に入ると、土曜日と同じ先生で、
開口一番「熱出ちゃったかー」って超笑顔。
先生楽しそうだな(笑)
まずは血液検査の結果、腫瘍では無いだろうとの事。
不安は1つ解消である。
血液検査で若干白血球の数が少ない事から、
ここで初めて「菊池病だと思います」
と言われる。
………………菊池病って、何?
で、最初に書いた通りの説明を受ける。
原因不明、予防法なし、特効薬なし、解熱鎮痛剤を処方するからそれで耐えて、どれくらい続くか分からない。
コロナ以外にそんな良く分からん病気があって良いわけ?!って思った。
次は2週間後に受診と言うことで、
2週間分の解熱鎮痛剤としてカロナールが処方された。
ちょうどGW期間な事もあり出勤日も少なかったので、
会社に連絡して取り敢えず次の通院日まで全部有給にしてもらった。
休みを取りやすいのだけはうちの職場の良いところだ。
そして翌日から、熱は38度を越える。
この日病院に行って良かったと心底思う。
4月28日~5月1日 発熱&頸部の痛み
翌朝、暑くて目が覚めて熱を計ったら38度を越えていた。
熱が出始めてからの3日間は微熱だったからダルさはあっても動けてたのに、
38度になると身体に力が入らない。
手すりを掴まないと階段危ない。
トイレ行くのめんどくさい。
38度の状態で薬を飲むと、
私の場合は約2時間経てば37度くらいまで下がり、
薬が切れてくるとまた上がり…の繰り返し。
その熱の上がり下がりも身体には負担。
急激に熱が上がるせいか、
とにかく悪寒と戦慄が凄まじい。
そろそろ片付けようかな…なんて思ってた毛布とブランケットを頭まで被り、
普通のパジャマだと寒くて冬用の裏起毛のトレーナーを着てもまだ寒く、
タオルを首に巻いて。
それでも身体が自分でドン引きするくらいガタガタ震えて、
ぼんやりと「真冬に積もった雪の中に裸で放り出されたみたい」なんて思いながら、
気付いたら疲れて眠ってて38度越して汗でびっしょり。。。
そしてまた薬飲んで熱下げて、薬切れて熱上がって…のループ。
いっそ薬飲まなければ、体温は一定だから悪寒と戦慄に襲われる事は無いかな…
とも考えたけど、長時間38度以上の熱があるのは、それはそれでしんどくて、やっぱり薬飲んじゃう。
さらには熱に加えて、
首に出来たしこりが、とにかく痛い。
めちゃくちゃ痛い。ビックリした。
酷い時にはアイスピックで刺されたような痛さ。
刺された事ないけど(笑)
「痛い痛い痛い痛い」って口から思わず出るくらい。
そのうち、首が痛いのか頭が痛いのか歯が痛いのか分からなくなり始める。
それも薬を飲むとだいぶ和らいだ。
この時期は、アイスノンと保冷剤に助けられた期間でもある。
我が家にはアイスノンが2つあったから、
少しでもぬるくなってきたら新しいのに変えて。
保冷剤は、しこりのところをピンポイントで冷やす用。
母親が手作りマスクを作ってた余りの布とガーゼで首に巻く用に作ってくれてありがたかった。
直接冷やして良かったのか悪かったのかは分からないけど、
とにかく痛いのと首自体が熱持ってるから直接冷やすのが私には1番楽だった。
5月2日 全身に蕁麻疹
お昼ご飯を食べていたら、突然全身に蕁麻疹が出た。
因みに、これから4ヶ月経った9月現在、まだ毎日のように身体のどこかに蕁麻疹が出るからストレスが原因なんじゃないかと思う。
ただその時は、背中1面、腕、脚、お腹のあたりと、本当に全身、しかも一気に蕁麻疹が出て痒くて仕方なかった。
菊池病の症状かと思ったけど、次の通院時に医者に言うとそれは考えにくい、と。
もしかしたら薬が合ってないのかもしれないと言うことで、カロナールからロキソニンに変えてもらった。
ひたすら耐えるだけ
そう。
治療法は無い。
ぶっちゃけ病院に行っても何もする事はなかった。
ただ、時期が時期だけにコロナだったら困るからとレントゲンを撮ってもらった。
綺麗な肺ですね、と言われた。
結核でもリンパが腫れるらしいけど、それも除外された。
他にも膠原病の検査等もしてもらったけど、どれも陰性。
菊池病は病理検査をしない場合はこうやって考え得る他の病気から潰していって「菊池病です」と診断されるらしい。
本当に謎の病気である。
熱は続いているものの、
仕事はちょうど在宅ワーク期間な事もあり、
会社側が「有給取るよりは良いでしょう」と当面の間在宅ワークにしてくれた。
ただ、時間帯によっては38度の熱を越えてくるから、その時に仕事を振られるのは言わなかったけど実はきつかった。
それと「次病院行くのいつ?いつ復帰できるの?」と言う連絡が頻繁に来るのが精神的にしんどかった。
たまたまその時期に始動するプロジェクトのメンバーに選ばれていたのもあり、
「1回目の会議出れる?」と2週間近くずっと聞かれた。
ぶっちゃけ、知らねーよって思った。
初回会議もまだの状態だったし、たまたま私がメンバーに選ばれただけで、私みたいに役職就いてなくても新人でもやろうと思えば出来る仕事だったから、変わりに誰かやれよって思ったし、言った。
なのに代役は立てられなかった。
在宅ワークのくだりでは優しい会社だなと思ったものの、
その後の「早く治せよ」の無言の圧力が、病人に優しくない会社だなと思った。
毎日38度の熱が出て身体的に満身創痍。
その上精神的にはストレスしか感じなかったから5月後半はしんどかった。
6月になって仕事復帰
医者からは、自分が大丈夫だったらいつでも仕事行っても良いよと言われていた。
熱があるだけで誰かに移すわけでもないし、家にいたって治療法もないし。
会社の在宅ワークが5月いっぱいで終わると言うことで、いよいよ早く復帰してこいの圧力が凄くなった。
正直その頃には、多少熱も出るけど微熱程度で、しこりは痛むものの、日常生活を送れるくらいには回復した。
ただ、会社的に「熱が37度以上あれば休め」は引っ掛かるから完全にアウトだった。
1ヶ月寝たきりみたいな生活をしてたせいで、筋力の衰えがひどく、1度リハビリのつもりで片道徒歩10分ほどのコンビニに行ったら翌日全身筋肉痛に襲われた。
でも、いつまでもゴロゴロしてるわけにも行かないし、
会社も在宅ワークなくなるから、休むなら有給だって言ってくるので、
6月から職場復帰する事にした。
最初の1週間は午前中だけで、昼からは半休を取った。
それでも結構しんどかった。
通い慣れた片道1時間の電車通勤が地獄のようだった。
菊池病がしんどいわけではなく、間違いなく1ヶ月寝込んだ事での筋力低下が原因だった。
それも1週間、2週間と経つうちに、じっと立ってじっと座ってられるくらいには回復するものだ。
結果として。
現在9月。
首のしこりはまだあるけど、これが何によるしこりなのか、ぶっちゃけ分からないでいる。
ただ、もう痛くないし、熱もない。
最初に言われた通り、熱をひたすら耐えるだけの病気だった。
そして気付いたら徐々に治っていく。
何とも謎な病気だった。
そこそこの確率で再発するらしいのが、今の心配事ではある。
熱が何日も続くのは、想像以上に体力を奪われる。
願わくば、このままもう2度と、菊池病にはかかりたくない。
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