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しっかり食べて頭脳展開!

今回のテーマは、私の学校のプロフィールと、子供達の間の食糧難問題, そして学校の食事無料サービスです。アメリカでは、コロナ禍の中、貧困層の子供達が、食料不足に直面しました。

アメリカと同じく、裕福な日本でも、同じ問題を抱えている子供達がいます。この記事を読んで、日本とはガラッと違う環境から、何かを感じたり、考えたりして頂けるきっかけになったらうれしいです。

学校の朝

私の学校は、玄関が空いた途端、朝ごはんをもらう生徒たちでごった返します。

7時。カフェテリアのスタッフが、長いテーブルを玄関先において、朝食が入ったブラウンバッグを並べ始めます。

7時15分。校舎の玄関がオープン。生徒たちがバスから次から次へと降りてきて校舎に入り、ブラウンバッグをもらうために、テーブルの前に一直線に並びます。周りは、たちまち、マスクをして、分厚いコートやスノーブーツを履いた生徒たちで大混雑。その中を子供達と挨拶を交わしながらくぐり抜けて、オフィスに行くのが私の朝の日課です。

朝5時半に起きてくる生徒がほとんど。よくこんなに早く起きてきたものだと、愛おしくなってしまいます。私も、起きたばかりだけど、声を高らかにあげて、元気っぽく挨拶。

「おはよう、マリア!」「おはよう、ルイス!」3年生のマリアはお姉さん、弟のルイスは幼稚園生。二人とも静かで恥ずかしがり屋。メキシコからの移民です。ルイスはまだちょっと英語が苦手、でもやる気満々。お姉さんは本当に勉強熱心。英語力も身についてきました。目がクルクルした、小さいルイスは、何も言わず、マリアの後ろに並んでいます。

「おはよう、 エー!」「おはよう、ミズ・ルボー!」4年生の男の子です。ミャンマーからのカレン民族です。勉強が本当に熱心で、真面目。算数が得意。英語の勉強を熱心にしています。

「おはよう、デンゼル!」手をかすかに上げて挨拶してくれました。黒人の活発な5年生です。とにかく、足が早い。地元の陸上競技大会の短距離走でメダルをもらいました。私が体育の代行教師をした時、マラソンの授業だったので、喜んでいました。勉強は嫌い。いつも、黒人の担任の先生に怒鳴られています。

アメリカに最近移住した、アフガニスタンの子供たちの姿も見えました。手を振ったら、手を振り返してくれました。元気そうです。

学校のプロフィール

全生徒は350人ぐらい。80%の生徒が低所得家庭から。黒人は、46%、アジア系16%、ヒスパニック系15%、白人13%。ネイティブ・アメリカンが1%。あとは、2つ以上の人種が混じった生徒たちです。

私は、ほとんどのクラスに行くので、子供達の名前をなんとか覚えています。自分でも驚いてます。名前がバラエティに富んでいるので、発音やスペルでは苦労しますけど。

学校は、上中流階級の白人が多い住宅地区にありますが、学校の生徒は、ご説明した通り、90%が非白人マイノリティ。先生やスタッフは、ほとんどが白人です。

セントポールは、近所の子どもたちが近所の学校へ行くという、ネイバーフッドのスタイルを取っていません。近所の子供だけが行く学校を作ると、人種が偏ってしまいますから。

マグネットスクールというスタイルで学校にスペシャルティを設けて、家族に選択してもらいます。家族は、セントポールのどの学校でも選択ができて、スクールバスは、どこへでも子供をピックアップしに行きます。

子供の食糧難

さて、メインの話をします。深刻な問題ですが、希望の光も出てきているので、しばし、読み続けてください。

アメリカのような豊かな国でも、パンデミックの一番の犠牲者は、パンデミックで苦しみ、食べ物不足でも苦しむ、貧困階級の子供たちでした。

コロナ禍前でも、アメリカでは、子供の5人にひとりが、食べ物が十分にありませんでした。だから、コロナ禍のピーク時は、もっと食べ物がなかったと思います。

お腹が空いている黒人とヒスパニック系の子供達が、白人の子供達の2倍以上もいるとか。ニューヨークでは、ヒスパニック系の家族38パーセントが、食糧難に陥っています。

アメリカは、いつの時代も、貧富の差が大きい構造的格差問題を抱えています。その問題は、パンデミックのためにさらに浮き彫りにされ、パンデミックが終わっても、貧しい人たちの食糧難は簡単に解決されることはないだろうと言われるほど、深刻な問題です。

私が住むミネソタでも、9人にひとりの子供が食料不足。ヒスパニックや黒人だけでなく、農村地方に住む白人の子供達も、パンデミック時代の経済状況に影響を受けているようです。

ブラックパンサーで始まった無料サービスは今も健全

今年に入って、アメリカ農林省は、パンデミックの食糧難は、低所得階級だけでなく、中流階級にも及んでいるとして、家庭の収入額に関わりなく、子供達全員に、朝食とランチの無料サービスを、今年2022年六月まで延期することにしました。

食事を十分にとっていない子供は、元気がなかったり、授業に集中できなかったり、授業をサボったり、学校に遅れたり、その結果、学年を繰り返すという、ネガティブな結果が出ています。

アメリカでは、朝食の無料サービスといえば、1969年にブラックパンサーが、カリフォルニア州のオークランドで始めたのが最初です。黒人たちは、食べ物に容易にアクセスすることができず、健康などの問題に直面してきました。

コロナ禍でも、貧富格差の構造問題が再発してしまいました。ブラックパンサーが始めた、無料の制度で、また、黒人やいろいろなマイノリティーの子供達が助かりました。

アメリカの学校の場合、摂氏零下20度の極寒でも、全生徒の3分の1が欠席しているコロナ禍でも、容易に休校にはできない理由の一つは、貧困層の食糧問題があるからです。単に、寒いのに慣れているから、休校ではないんです。

帰り際のスナックも、とても大切な栄養源です。

先日も、算数を教えていて、スナックのことを忘れていたら、生徒が、催促してくれました。「先生、スナックの時間だよ。僕、カフェテリアに行ってもらってきます。」「あ、僕も行きたい」と他の生徒。二人で行って、小さいダンボールを抱えて、持ってきてくれました。中身は、キウイ。プラスティックの袋一つ一つに、3個ほどの切ったキウイが入っていました。酸っぱいといって食べない子。美味しいと言って、2、3袋平らげる子。私も、いただきました。美味しかったです。

りんご、トマト、甘いズッキーニ、マンゴ。毎日、子供達はスナックを楽しみにしています。幼稚園生は、帰る前に、ミルクももらいます。

大学で、貧困問題は教えたけど、小さい子供達を前にして、こんなに食べ物が大切だということを、毎日、実際に体験すると、時々、目頭が熱くなったりします。

子供達は強いです。貧しくても、パワーにみなぎっています。これからも、ずっとサポートしていこうと思います。

最後まで読んで頂けてありがとうございました。次回は、私の好きな給食メニューについて。お楽しみに。

資料

Child Hunger in America: Today, millions more children in America are struggling with hunger

Feeding America: Hunger in Minnesota



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