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Photo by
debupinoko
with love on your Birthday.
「え?こんなのもらっていいの?」
今日は家人の誕生日。
迷いに迷ってプレゼントを選んだ。
家人が驚いた言葉とおり、多分これまでで一番高価な代物である。
「え、いいの?」
まだ言っている。
本気で困惑した顔が可愛らしいと思った。
このプレゼントは、おそらくあなたに出来る
最後の誕生日プレゼント。
だから長く使えてきちんと形に残るものにしたのよ。
とは言えず、
「普段のプレゼントがちゃちぃみたいにいわないでよ」
と私。
「そんなことは言ってないよ」
と目を細め、顔をクシャっとして笑った。
その笑顔がずっとずっと見られたらいいのに。
残された日々を惜しんで涙する事は減ったけど、
こういう顔を見せられると、
もう少し、せめてもう一度、と惨めにも思う。
起こり得ない奇跡さえ願ってしまう。
それと同時に、なんの気無しではなく、
この瞬間のすべてを焼き付けようと
見つめていられることが逆に幸福だとも感じた。
死が間近にある特権、とでもいうのだろうか。
余命宣告を受けてからというもの、
不謹慎である故、誤解を恐れずに言えば
事故で起こる瞬間の不幸が羨ましくさえあった。
あちこちに痛みを抱えながら生殺しのように生きて行くなんて、
もう一瞬で死んでしまいたい、と思っていた。
けれど。
いつか忘れてしまうとしても、こんな風に
強く記憶しておこうと意識出来るのは、有り難い事かも知れない。
生きてきた証を、
あなたと過ごした日々を、
あなたの笑顔を、
ただ流れて行く走馬燈のピースにはしない。
誕生日おめでとう。
あなたの人生がこれからもずっとずっと幸せでありますように。